子どもたちへ。いつもありがとうございます。
ハグプリがとうとう最終回を迎えました。
社会問題や大人の事情などをふんだんに取り入れた今作は、ネットニュース等にも取り上げられる等、単なる児童向けアニメを超えた広がりを見せてきたのは周知の事実です。
しかし、世に出る作品というは、万人から批評されることが宿命づけられています。
1.ハグプリへの批判について
ハグプリについては、子どもに対してポリコレを押し付けている、説教臭い、ストーリーの大筋は勧善懲悪の方がいい、といった意見等があったようです。
今年のプリキュアがフェミ・ポリコレの押しつけで面白くないことに疑問の声「大人の思想じゃなく子供が楽しめるものを」 - Togetter
作品を批評することは国により保証された自由であり、批評すること自体を否定するとなると、まさしく「華氏451度」の世界へ繋がることになりかねないので、その点についてはノープロブレムです。
私としては楽しく鑑賞した今作でしたが、こういった否定的な意見についても一部理解はできるところはありますし、中にはうなずける意見もあります。
しかし、私たちは忘れていないでしょうか。
プリキュアは誰のために放送されているのか、ということを。
そうです。
プリキュアのメインターゲットは大人ではありません。
子どもなのです。
2.プリキュアのメインターゲットは誰か
このことについては、プリキュアシリーズの生みの親の鷲尾天プロデューサーと、プリキュア映画を監督した神木優プロデューサーのインタビュー記事でも語られています。
(神木)20周年でも50周年でもなく、プリキュアは“15周年”を大事にしたいと思っていました。プリキュアは3~6歳がメインターゲットで、15年経つと5歳の子がハタチを迎えます。将来の事、自分のことを見返したり、いろいろな選択がある、そういった世代にこそ、あの時見てたなと、思い出してもらえればと。そういう想いで今回の劇場版は初代『ふたりはプリキュア』にフィーチャーしています。初代をはじめ、歴代をきちんと観ていただきたいという想いでした。
(プリキュア生みの親が語るヒットの背景、時代と共に女児の自立を応援し15年 | ORICON NEWS より引用。太字は著者による)
私たちはメインターゲットではない。
その事実をかみしめて考えたとき、大人である私たちがプリキュアを批判することは、いわば遊園地にある幼児向けのミニジェットコースターに乗り「スリルが足りない!」と言うようなものではないかと思うのです。
つまりですね、何がいいたいかというと、プリキュアを批評批判するときには、まず子ども視点で考える必要があるということです。
もし子どもたちがプリキュアを見なくなったら、プリキュアは消滅してしまうか、今までの姿とはまったく異なるものに変わらざるを得ない、ということを忘れてはなりません。
プリキュアの未来は、子どもたちにかかっているのです。
とはいっても、「ハグプリは子どもにとっても満足できる作品ではない」という批評もあることでしょう。
では、実際のところ、ハグプリは子どもたちから受け入れられているのでしょうか?
それについては、ハグプリの売上にヒントがあるはずです。
3.ハグプリの売上は好調
では、ハグプリの売上を見てみましょう。
https://www.bandainamco.co.jp/cgi-bin/releases/index.cgi/file/view/9029?entry_id=6242
(株式会社バンダイナムコホールディングスIR・投資家情報より)
数字を見ると一目瞭然ですが、前回のアラモードよりも売り上げが伸びていることが分かりますね。
上半期実績(グループ全体) :38億(アラモード)→52億(ハグプリ)
上半期実績(国内トイホビー):38億(アラモード)→51億(ハグプリ)
売上には様々な要因が影響するとはいえ、この数字は「ハグプリが子どもたちに受け入れられている」ことへのポジティブ要素です。
(もちろん、売り上げがすべてであるとはいえませんが、ひとつの要素であることにも変わりないと考えます)
(これは全体レベルの話で、個人レベルの話はまた別です。ある子どもにとって「面白くなかった」というのは当然あり得ます。しかし、多くの子どもに受け入れられていることにはやはり変わりないと考えます)
様々な批評はあったとしても、子どもたちに受け入れられているのであれば、ひとまずは「成功している」といえるのではないでしょうか。
3.おわりに~誰が為にプリキュアは放送される~
この記事をまとめると、下記の通りです。
- プリキュアのメインターゲットは子ども。.
- プリキュアにおいては子どもが満足するかという視点がもっとも重要。
- ハグプリの売上は好調で、「子どもからも受け入れられてない」とはいいがたい。
というわけで、私たちがまずすべきことは、プリキュアについて熱く語ることでも、否定的な意見を出すことでもなく、私たちにプリキュアを観せてくれている子どもたちに、感謝の念を伝えることではないでしょうか。
子どもたちのおかげで、プリキュアを観ることができるのだという事実を、まずは謙虚に受け止めるべきではないでしょうか。
とはいえ、前述したインタビュー記事の中では、下記のようにも語られています。
――ハタチどころか、15年の歳月で母親になって、親子2世代になっているプリキュアファンもいると思います。
(神木)そうですね。2世代という点ですと、特に子ども向けの映画は親子で観るものですよね。親の皆さまに観てもらうことも意識しています。
これは映画についてのインタビューではあるものの、プリキュアのメインターゲットは子どもである一方で、一緒に見る親に観てもらうことも意識した作品作りをしていることがうかがえます。*1
大人としても、メインではなくとも多少のターゲットには入っていることを踏まえると、大人視点での批評や批判もまったく的外れというわけではないかもしれません。
しかし、メインターゲットが子どもであることは歴然たる事実であり、大人である私たちはそのことをゆめゆめ忘れてはなりません。
もしプリキュアが大人に媚びを売るような作品になれば、そのときは子どもたちの熱も冷め、プリキュアという作品の終焉が訪れてしまうかもしれません。
というわけで、これからも謙虚さを忘れずに、プリキュアについて熱く語っていきたいと思います。
自戒をこめて。
また、過去にはこんな記事を書いています。
こちらは、ハグプリとナウシカの類似点について書いた記事です。
こちらは映画を見たときの興奮のままに書いた記事です。
【現在放送中の「スター☆トゥインクルプリキュア」についての考察はこちらから】(毎週更新中)
プリキュア 感想 全力考察 カテゴリーの記事一覧 - 金色の昼下がり
*1:
過去の名作子ども向けTV番組「ハッチポッチステーション」が、一緒に観ている親を虜にするべく、子どもには絶対にわからないようなパロディを挿入していたことを彷彿とさせますね