スタプリ6話、泣きましたね。
ゴッドオブゴッドの喧嘩回であった3話とはまた趣旨が異なりますが、6話においてもひかるとララのあいだにちょっとした亀裂が生じます。
もちろん最終的には丸くおさまったわけですが、そこに至るまでの過程が素晴らしかったですね。
また、変身時における4人での合唱も最高でした。
熱い。熱いすぎる。十万石饅頭ばりの熱さ。
この記事は、スター☆トゥインクルプリキュア 6話、ララが星奈ひかるに助けを求めたことと、プラネタリウムで登場した南十字座についての考察をしたものです。
ネタバレありです。
1.困ったときに助けを求められるか?
1.大人のララはすべてを自分で背負おうとした
まずは6話の冒頭。
ロケットを修理するララは、なかなかうまくいかないことにストレスをため込みながら作業を続けています。
そこへ星奈ひかるたちが手伝いにやってくるわけですが、ララは「邪魔だルン!」といってみんなを追い払ってしまいます。
ここで思い出していただきたいのは、ララはサマーン星では大人として扱われていることです。
つまりララは大人のメタファーになっていて、「大人である自分がやらなければ」という強い責任を感じているわけです。
そもそもロケットはララのものでありますし、「自分の失敗は自分で拭うのだ」という気持ちは、実際に仕事などをしている大人にとっても共感できることです。
2.ララは「助けて」といった
アイワーンとの戦闘になった当初も、ララは「自分が何とかするんだ」という意思のもと、自分一人で突っ込んでいきました。
当然、無策に突っ込んだララは、敵の攻撃を受けて吹き飛ばされてしまいます。
しかしその後、星奈ひかるが負けてしまいそうなララを助けに来ます。
星奈ひかるは、「ララを守る!」といい、ララに手を差し伸べます。
その手を、ララはしっかりと握り返しました。
ララは「助け」が必要であることを自覚し、それを認めたわけです。
星奈ひかるが差し伸べた手を取るララ
出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第6話(C)ABC-A・東映アニメーション
3.ひかるも「助けて」といった:3話との対比構造
さて、視聴者である私たちは、この場面を見たとき、過去のあのシーンを思い出さずにはいられなかったことでしょう。
すなわち、ひかるとララが重めの喧嘩をしたスタプリ3話です。
スタプリ3話において、ララと喧嘩した星奈ひかるは、テンジョウ率いるノットレイたちに一人で突っ込んだものの、きっちりやられてしまいます。
しかしその後、ひかるは考えを改め、ララに助けを求めます。
ひかるは、「分析分析うるさい」と喧嘩したララに対して、「ララの分析が必要なんだ」といって手を差し出しました。
つまり「助けて」と手を伸ばしたわけです。
ひかるは「助け」が必要であることを自覚し、それを認めたわけです。
ここに、3話と6話の美しい対比構造を見出すことができます。
3話では、ひかるがララに。
6話では、ララがひかるに、助けを求めているわけですね。
同時に、ひかララの溢れんばかりの魅力も見出すこともできます。
戦闘中にひかるとララが手を取りあって敵を倒すシーン
出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第3話(C)ABC-A・東映アニメーション
4.ノットレイダーは「助けて」といわない
ちなみにノットレイダーたちは助けを求めることをしません。
カッパードもテンジョウもアイワーンも、手柄は自分ひとりのものだといわんばかりに、自身の力を過信し、他人を頼らずプリキュアを攻撃します。
プリキュアがけっこう強いことが分かっていてもなお、他の幹部たちに「助けて」とはぜったいにいいません。
プリキュアもノットレイダーも、見た目や種族がバラバラである点においては同じですが、手を繋ぎ合っているかという点においては明確に異なります。
プリキュアとノットレイダーとの対比構造もあるわけですね。
5.『ひぐらしのなく頃に』が示した類似メッセージ
ところで、同人ゲームの巨匠、竜騎士07による『ひぐらしのなく頃に』をご存知でしょうか?
大規模なメディアミックス(アニメ化、漫画化など)もされ、殺人などのエグイ描写でも有名な作品ですが、あの作品においても、同様のメッセージが示されていました。
危機的状況に陥ったとき、悩み事や心配事を抱えているとき、周囲に助けを求められるか?
手を差し伸べられたとき、その手を握り返すことができるか?
悩み事というのは、得てして、その人にとって恥ずかしい要素、自分でも直視したくない弱み、他の人に知られたくないセンシティブな問題を孕んでいます。
だからこそ、他人に助けを求めるという行為は、簡単そうにみえて非常に難しいものであり、多大な勇気を必要とするものであります。
勇気をもって、助けを求めることができるか?
それとも、手段を選ばず自分一人だけでの解決を目指すか?
ただエグイだけの話ではなく、強いメッセージ性のこめられた熱い作品です。
未読の方はぜひ。
しかし青年向けの『ひぐらしのなく頃に』も、幼児向けの『プリキュア』も、表現の方法が異なるだけで、扱っているテーマがそのものは同じというのは面白いですね。
2.南十字座(みなみじゅうじ座)の考察
1.6話に登場した南十字座はプリキュアを表している
ララがつれていってもらったプラネタリウムでは、南十字座(みなみじゅうじ座)が紹介されていました。
南十字座(みなみじゅうじ座)(public domain)
南十字座(みなみじゅうじ座)は、英語ではサザンクロスともいいます。カッコいい名前ですよね。
『銀河鉄道の夜(旅の終わりに登場する)』や『ファイナルファンタジーシリーズ(魔法・特技の名前として登場)』などでも聞き覚えのある名称です。
さて、そんな南十字座ですが、実は、全天でもっとも小さな星座であると同時に、南天星座の中でもっとも美しいと称される星座です。
南十字座そのものが小さいのに加えて、構成する各星も明るさがバラバラであるため、近くにあるニセ十字と間違えやすいともいわれています。
明るさはバラバラで、もっとも小さい、だけど綺麗な星座。
それが南十字座です。
まさしく、見た目も性格も生まれも種族もバラバラな4人を表すような星座だとは思いませんか?
「なにかに似ているとは思わないかね?(中略)星座とは、まるで人と人とのつながりのようだね」
出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第6話(C)ABC-A・東映アニメーション
今後、プリキュアの4人が、どのようにして星座のように繋がっていくのか楽しみですね。
2.南十字座(みなみじゅうじ座)5つ目の恒星
十字を形作る星は全部で4つなんですが、その4つについで明るい4等星の恒星もあります。
「ε(イプシロン)星」と呼ばれる恒星です。
イプシロン星は、十字を作った右下に位置します。
十字のすぐそばにあり、割と明るいためか、有名な星です。
オーストラリアやパプアニューギニア、ブラジルの国旗にはみなみじゅうじ座が描かれているんですが、イプシロン星も漏れなく国旗に描かれていたりします。
もし、みなみじゅうじ座がいまの4人のプリキュアを示しているのだとすれば、今後もしかしたら、イプシロン星をモチーフとする5人目のプリキュアも登場するかもしれません。
3.ダークペンとかいうえげつない道具
アイワーンの使っていたダークペン、えげつなくないですか?
他の敵と比べ物にならないくらいえげつないと思うんです。
というのも、他の敵は、「人々の大切にしているものを壊す」という悪さをしますが、ダークペンにいたっては、「何かを大切にする想いそのものを壊す」ものだからです。
天文台のおじいさんは、ダークペンに塗り潰され、「星なんかどうでもいい」とさえ発言していました。
大好きだったものに対する想いを完全に失っていたのです。
大切な宝物を壊されたら悲しいですが、宝物を大切に想う気持ちそのものががなくなれば、悲しみすら生まれません。
ダークペンとは、人々の想い、思想や宗教観などを塗り替えるものです。
その人のアイデンティティそのものを揺るがし、人格を破壊する魔の道具です。
村上春樹がもっとも影響を受けた3冊のうちの1冊であり、
村上春樹の『1Q84』のモチーフにもなったディストピア小説にしてSFの名作『1984年』というものがあります。
この作品に登場する国家では、人々を国家(支配者)にとって都合のいい傀儡するための巨大な国家システム(≒ダークペン)が構築されていました。
【追記あり(2019.12.31)】
村上春樹が最も影響を受けた三冊のうちの一冊として『1984年』というものがあります、と書いていましたが、これは誤りでした。
村上春樹が最も影響を受けた三冊は『グレート・ギャツビー』と、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』と、レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』の三冊でした。曖昧な記憶に基づき間違った内容を書いてしまったことを謝罪致します。申し訳ございませんでした。
eminusさん、この度はコメント欄で教えて頂き誠にありがとうございました。深く感謝申し上げます。
【追記終わり】
ダークペンがあれば、人々を支配者にとって都合のいい傀儡にすることなどお茶の子さいさいです。
ダークペンはまさしく支配者がもっとも欲する道具であり、支配者を支配者たる存在として存続させる重要なキーアイテムであるわけです。
プリキュアの力の源は「大切なものに対する強い想い」ですが、ダークペンを使えばその「想い」そのものを塗り替えられます。
つまり、もしダークペンをプリキュアにも使うことができるなら、力をまるっきり奪い、プリキュアとしての存在意義すらも喪失させることが可能となります。
そうなると、プリキュア同士の殴り合いも勃発するかもしれません。
4.スター☆トゥインクルプリキュア 6話のネタバレまとめ
というわけで、この記事をまとめると下記の通りです。
- ララはひかるたちに助けを求めた
- 3話ではひかるがララに助けを求めていたのと対比になっている
- みなみじゅうじ座はプリキュア4人を表しているよう
- イプシロン星をモチーフとする5人目のプリキュアも登場するかも?
- ダークペンの機能がえげつない
以上、スター☆トゥインクルプリキュア6話は3話と対になっていて最高でしたよ、という話でした。
例のごとく、ろくに推敲せずに書いているので、加筆修正するかもです。
【他のプリキュアの感想・考察記事です(スタプリ)】