私はインデックス派の人間であり、アクティブファンドへの投資は一切していません。
なぜなら、構造上の問題として、アクティブファンドはインデックスファンドに勝てない宿命を背負っているからです。
ゲームに参加する者が全員平均を上回ることは不可能である
株式は(過去の歴史を参考にする限りでは)、プラスサムゲームです。
株式に投資した人間は、平均的には儲けられる計算になります。
そして、株式に投資した全員が得られた平均的なリターン、それがインデックスファンドのリターンとなります。
アクティブファンドは、その平均を上回る成績を残すべく、様々な戦略を以って戦いを挑む猛者であります。
そして、アクティブファンドは、インデックスファンドよりも平均的に勝つことを目標としています。
当たり前ですね。
平均に勝てないのであれば、誰だって確実に平均を取れるインデックスファンドを選びます。
そこで、ほとんど全てのアクティブファンドはインデックスファンドよりも優れた成績を残すことが求められるわけですが、問題は、ゲームに参加する者が全員平均を上回ることは不可能である、という点です。
これも当たり前ですね。
皆が試験で100点を取ってしまえば、平均点もまた100点になります。
平均を上回る者がいるなら、平均を下回る者も必ずいます。
とあるアクティブファンドが平均を上回るリターンを得たとしましょう。
それはつまり、平均を下回るリターンに終わってしまった他の誰かが存在しているということを意味します。
では、その「他の誰か」とは誰なのでしょうか?
正解は、「他のアクティブ運用をしている者」です。
つまり、アクティブファンドは、他のアクティブ運用する者たちに勝たなければ、平均を上回るリターンを得ることは決してできないのです。
アクティブ運用する者は、ざっくりいうと「個人投資家(の一部)」と「機関投資家(の一部)」に分かれます。
機関投資家というのは、いわばプロ。それで飯を食っている者たちです。
そして、日本の株式市場の場合、個人投資家が占める割合(2019年1月第1週において)は、18.8%となっています。*1
つまり、平均を上回るためには、大半がプロの集まりである地獄のようなフィールドで殴り合い、勝たなければならないわけです。
勝ち続けることのできるアクティブファンドに投資すれば良いのでは?
結論を先に言うと、そのような魔法の弾丸は存在しませんが、もしあったと仮定して話を進めましょう。
あるアクティブファンドが優れた運用方法「最強の投資法」を開発し、あなたもその優位性に気付きました。
そのアクティブファンドは大儲けをし、あなたもその恩恵を受けます。
しかし、仮にそのような「最強の投資法」が存在するのであれば、他のアクティブファンドも我先にとその方法を用いる真似をするでしょう。
他の人々も、その「最強の投資法」を用いて勝ち続けるアクティブファンドに投資しようとするでしょう。
そうすると何が起こるか?
今度は、それらのアクティブファンドが、市場の平均値そのもの=インデックスファンドになるのです。
つまり、仮に勝ち続けるアクティブファンドが存在するとすれば、企業はその「最強の投資法」を周囲にバレることなく実行し続ける必要があるわけですが、現代の情報社会において、そのようなことは不可能に近いです。
新しく発見された「最強の投資法」はすぐさま過去のものとなるので、アクティブファンドが勝ち続けるには常に新しい「最強の投資法」を発見し続ける必要があります。
そんなことができるファンドが存在するのか?
その問いかけに、あまり意味はありません。
なぜなら、仮にそのようなファンドが存在したとしても、そもそも論として、私たちにはどれが勝ち続けられるファンドなのかを事前に知る方法がないからです。
もしどのファンドが勝つのか事前に分かる方法があるなら、皆がその方法に沿って投資をするはずであり、結局それが平均値となってしまいます。
どのアクティブファンドが平均を上回れるかを事前に知る術がないのであれば、アクティブファンドに投資することは、くじ引きのようなものです。
そのくじ引きの期待値は、インデックスファンドよりも低いです。
なぜなら、アクティブファンドはインデックスファンドと比べ極めて高コストであるからです。
アクティブファンド全体の平均リターンは、必ず、そのコストの分だけインデックスファンドよりも低くなるのです。
おわりに
もしあなたが投資に関心があまりなく、勉強もあまりしないのであれば、どのアクティブファンドが平均を上回るかを正確に予想することも難しいはずなので、素直にインデックスファンドを買う方が良いでしょう。
もしあなたが勉強熱心で、市場平均を上回るアクティブファンドを選べる自信があるのだとすれば、アクティブファンドを買ってもいいかもしれません。
しかし、そのような自信があるのであれば、自分で個別株を買う方が低コストで済むのではないでしょうか?
*1:https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/investor-type/nlsgeu000003rcny-att/stock_val_1_190101.pdf参照。内訳としては、約73%が海外の機関投資家、約8%が国内の機関投資家、約0.1%が海外の個人投資家となっています