数年前まで、超低コストでパッシブ運用をしたいと思えば、行き着く先はVTやVTIといった海外ETFでした。
国内で売買されているインデックスファンドのコストもだんだん安くはなっていましたが、まだまだ海外ETFには一歩届かないという感じでした。
ところがどっこい、昨今ではニッセイシリーズが登場したかと思うと、今度はeMAXIS Simシリーズが満を持して現れ、「超低コスト戦争」が勃発しました。
この記事では、私が海外ETFを買うのを辞めた理由についてまとめています。
1.インデックスファンドの超低コスト化
ニッセイシリーズの登場後あたりでしょうか。
あれよあれよという間に国内のインデックスファンドの超低コスト化が進み、今や海外ETFと比べて遜色ないどころか、売買手数料や為替コスト、三重課税問題、税の繰延効果などを考慮すると国内のインデックスファンドを買う方が、手間もかからない分メリットは大きいのでは? という時代が到来しました。
昔から多額の海外ETFを保有している人であれば、外国税額控除ごときもはや赤子の手をひねるように行えることでしょうが、これから投資を始める人や、海外ETFを購入し始めたのはまだ最近という人にとっては、手間を感じずにはいられないのが実情でしょう。
NISA口座で海外ETFを購入していた私も、そのうちの一人でした。
確かに、超低コストインデックスファンドが登場しても、なお、海外ETFの方が若干低コストで済みそうではありました。
しかし、私の投資額というのは、緒先輩方とは比べるのもおこがましいレベルの金額であります。
たとえば、資金が一億円あれば、年間0.01%のコスト減をするだけで、一万円の節約になりますが、資金が100万円であれば、節約できるのは百円に過ぎません。
そもそもの投資額がそれほど大きくはない私にとって、あれこれと手間暇をかけて小遣い程度のお金を節約するのは、果たしてコスパに見合うかというと、実に微妙なところでした。
というわけで、今後も海外ETFを購入し続けるべきかどうかとても悩みました。
2.私が死んだとき海外ETFを管理できる者がいない
私は一応結婚しており、家庭がある身なわけですが、自分が仮に事故や病気で死んでしまったら、遺族は海外ETFを管理できるだろうか? という問題にぶち当たりました。
少し考えて、結論は出ました。
無理だ。厳しい。
自分ですら楽しさを覚えるとはいえ面倒さも感じずにはいられない海外ETF。
うちの場合、遺族が管理を続けるのは難しそうでした。
管理が難しければ売ってもらえればいいか、とも考えました。
しかし、ただでさえ自分の死後バタバタしている状態で、片親となり、子どももまだ小さい中、海外ETFを売ったり、ドルから日本円に替えたり、そんな余裕があるだろうかと考えたとき、やはり負担が大きいという結論に至りました。
私にとっては、コスト差が小さくなったことよりも、こちらの方がとどめとなり、海外ETFの購入を断念することになりました。
3.日本の企業にお金を落とし税金を納められる
これはまあおまけ程度の自己満足みたいなものです。
日本のインデックスファンドを購入すれば、日本の企業にお金が落ちていきます。
また、ファンドの費用の一部には消費税がかかるため、日本に税金を納めることになります。
日本の企業が潤い、国の税収が増えれば、影響としてはごくごく僅かでしょうが、めぐりめぐって私たちを取り巻く環境も良くなる方に進むんじゃないでしょうか。
そんなわけで、コンビニの募金箱におつりの1円を入れるような面持ちで、国内のインデックスファンドを買っています。(変な感情移入をしている分、投資家としてはよろしくないでしょうけども)
まあ、国内の消費税が増税になればなるほど実質コストは増えていくという問題はありますが、消費税が上がる(もしくは導入される)リスクについては諸外国においても同じだと思うので、今回はこの話については省きます。
3.まとめ
というわけで、私が海外ETFを買うのを辞めた理由は下記の通りです。
- 海外ETFと国内で販売されるインデックスファンドの実質コスト差が小さくなった
- 自分が死んだとき遺族が海外ETFを管理するのは難しい
- 国内で販売されるインデックスファンドなら日本の企業により多くのお金を落とせる
今よりもっと昔、海外ETFと国内で販売されるインデックスファンドの実質コストにもっと開きがあった時代では、こうした世帯に潜むリスクのことを考えたうえでも、海外ETFを選ぶメリットが上回っていたかもしれません。
しかし、正直ここまで国内で販売されるインデックスファンドの低コスト化が進むと、いくら低コストを求めていても、悩む方が多いのではないかと思います。
たいした参考にはならないでしょうが、私の場合はこういう理由で辞めたよ、という話でした。