11話、ヒリヒリとしましたね。
次回最終回に向けて、ゴム鉄砲のゴムを伸ばしまくった感じがします。
原作漫画との違いもちょこちょこあったので、それにも触れつつ書いていきたいと思います。
残り物には…
最初にジンランが母国語で何やらつぶやきます。あれはアニメオリジナルでもあり、初めは何と言っているのか分からなかったんですが、「上伊那ぼたん、酒の肴になる話 おかわり#11」によると、あれは「好酒沉瓮底」、直訳すると「良いお酒ほどボトルの底にある」という意味で、日本風に言うと「残り物には福がある」たそうです。え? 残り物…?
これ以上は郡上先輩に怒られそうなのでやめておきます。
次はそうしよ

おんなじの頼むなら徳利でもらってもよかったねー。
ん。
次はそうしよ。
ここ、自然と「次はそうしよ」という言葉が出ているのがいいですね。二人のサシ飲みといえば、前回、10話でジンランから郡上先輩に告白の言葉がありました。郡上先輩の返事は描写されていなかったものの、それからもこうして二人はサシ飲みを続けていますし、「次」も当然のようにあることが示されています。二人はまだ付き合っているわけではないにしても、確実にひとつ、親密な仲になっているわけですね。
怒涛の映画トークその2
最近はカサヴェテスをよく観てる。
カサヴェテスって「ローズマリーの赤ちゃん」?
それはポランスキー。「ハズバンズ」とか「グロリア」知らない?
それは知ってる! シャロン・ストーンが出てた!
そっちはルメットのリメイク版なの。
そうだったんだ。
オリジナルはジーナ・ローランズだね。音楽はビル・コンティ。
え? 「ロッキー」とかの?
そう。
へーそうなんだ。でも何でいま?
この前一緒にさ、「ドライブ・マイ・カー」観たでしょ? 監督がインタビューで話してて。
始まりました、ジンランと郡上先輩による怒涛の映画トーク第二弾。
例によってまとめてみたいと思います。
■カサヴェテス
アメリカ合衆国の俳優・映画監督。
■「ローズマリーの赤ちゃん」
ホラー映画。カサヴェテスは出演のみしている。監督はロマン・ポランスキーなので、「それはポランスキー」と訂正されている。
ローズマリーの赤ちゃん 4K Ultra HD+ブルーレイ Ultra HD Blu-ray
■「ハズバンズ」とか「グロリア」
カサヴェテスが監督している映画。
■シャロン・ストーンが出演している、ルメット監督によるリメイク版「グロリア」。
■「ドライブ・マイ・カー」の濱口監督がカサヴェテスに言及するインタビュー
濱口竜介インタビュー:連載「新時代の映像作家たち」 – ecrit-o
映画監督・濱口竜介、自身の人生に影響を与えた“偶然”にまつわる一説を紹介 | J-WAVE NEWS
相変わらずの郡上先輩
エドワード・ヤンのクーリンチェを観たんだ。ホオ・シャオシェンやマー・ジーシアンの作品も、どれも初めて観た。みんな台湾の監督だね。それは、わたしに興味をもってもらっていると、うぬぼれていいのかな。
好きにしたら。
好きにする。
最近、台湾の映画を観ているという郡上先輩。ザ・迂遠ですね。やり方が。さすがとしか言いようがありません。
それに対して、「うぬぼれていいのかな」というジンラン。いちいち迂遠な郡上先輩に対して、ジンランはいつでも直球ストレートですね。
ちなみにこの「うぬぼれていいのかな」は、原作者の塀先生曰く、武田日向先生の「やえかのカルテ」のオマージュだそうです。武田日向先生といえば、「異国迷路のクロワーゼ」が昔アニメ化してますね。それから桜庭一樹先生の「GOSICK」シリーズのイラストでも有名です。もう亡くなってしまっていますが、私も大好きな漫画家さんです。
自惚れて良いのかな、は武田日向先生の『やえかのカルテ』オマージュでした#上伊那ぼたん
— 塀@アニメ放送中🎉 (@tonarinohey) 2026年6月19日
■クーリンチェ
エドワード・ヤン監督の「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」のこと。
映画 クー嶺街少年殺人事件 (1991) - allcinema
『なんとなく、クリスタル』ばりの固有名詞

トーガとポーターのコラボでしょ?
MM6も見たい! あっサカイも寄っていい?
(中略)
ネイルエスの新色も試したいなー。
この秋、ザ・ポリッシュもポームムも買い逃がしてるし。
Bパート。漫画版いぶき曰く、まるで『なんとなく、クリスタル』の朗読のように繰り広げられた固有名詞の数々。私も知らないものばかりだったので、一つずつ調べてみました。
■トーガとポーター
ファッションブランドの名前。トーガはファッション全般、ポーターは主に鞄を販売。実際に両社は2019年より定期的にコラボレーションを展開しているようてす。
TOGA × PORTER 11/21(金)発売 – TOGA ONLINE STORE
■MM6
ファッションブランドの名前。フランスのメゾンマルジェラ(Maison Margiela)から誕生した派生ラインです。
■サカイ
日本発のファッションブランド。
sacai Official Store サカイ オフィシャル
■ネイルエス、ザ・ポリッシュ、ポームム
ネイルポリッシュ、いわゆるマニキュアのブランド。
■『なんとなく、クリスタル』
田中康夫が1980年に発表した小説。1981年に第84回芥川賞の候補にもなりました。作中、実在するブランドや音楽などが大量に登場します。
固有名詞がたくさん出てくるのは『上伊那ぼたん』も同じですが、これがまたこの作品の良いところだとも思います。
ちなみに原作者である塀先生の妻・富士フジノ先生はXで「9割分からないから安心してほしい」と述べているので分からなくても安心しましょう。
上伊那ぼたんに出てくる映画や音楽や本等、私も9割くらいわかんないから安心してほしい。ファッションブランドもわからないし香水もナイルの庭しか持ってないし線形代数のせの字もわからん。教養などない。
— 富士フジノ🗻コミレコ12巻発売中! (@fujino114) 2026年4月11日
影に飲まれるぼたん


帰り道。ぼたんは、お酒がなかった今回のデートをいぶきが本当に楽しんでくれたのか心配になります。そのときの描写が上のカットですが、ぼたんの不安がピークに達したとき、影に飲まれているのが分かります。まさにぼたんの心理と情景描写がリンクしたカットだと言えます。
また、いぶきとのこれからについて不安になるぼたんがたどり着いた先がまた面白い場所なんです。下のカットをご覧ください。

トンネルのような穴を抜けると、そこには白ウサギのオブジェが設置されています。白ウサギと言えば、「不思議の国のアリス」を彷彿とさせませんか?
不思議の国はアリスにとってある種、悪夢の世界です。ここでは、ぼたんが悪夢の世界に迷い込んでいることを示しているようです。
ちなみに買い物後の一連のシーンは原作漫画にはないシーンで、アニメオリジナルとなっています。このシーンがあることによって、原作ではただただイチャイチャしていた買い物デートの話が、なんだか一気に重たくなっていますね。
世界線AとB

Cパートでは、進路に迷うあかねの姿が描写されます。
A世界線(大学をやめて音楽の道に進む)か、B世界線(就職する)か。
自分の将来に悩むあかねの姿は、後述するように、いぶきとの将来に悩むぼたんの姿とも重なります。
今すぐ焦がれたい

普通に就職しながら音楽をやっていても、音楽とはそこそこいい関係でいられると語るあかね。しかし彼女は今すぐ音楽に焦がれたいのだと言います。
このときの一連のカット、喋ってるのはあかねなのに、あかねの顔は一度も映されないんですよね。ただ、最後にハッとした表情のぼたんが映り込みます。
ここから、いぶきとの将来に悩むぼたんが、自身の悩みをあかねの悩みと重ねていることが伝わってきます。
実際、ぼたんもいぶきとはこのままでもそこそこいい関係でいられるでしょう。しかしぼたんも、今すぐ焦がれたいと思っている。単なるお酒友だちではなく、もっと深いところで繋がった関係性を築きたいと思っている。
9話にて、ぼたんはいぶきと友だちをやめました。そして今回、ぼたんといぶきは初めてお酒抜きのデートをしたわけで、ぼたんは楽しかったものの、肝心のいぶきはデート終わりのお酒トークで一番のテンション爆上げ。え、私たちってお酒の関係だけ…? とぼたんが不安になる気持ちも分かります。単なるお酒友達をやめたはずなのに、いぶきは私(ぼたん)ではなく、お酒で一番テンションが上がっているわけですからね。
おわりに
今すぐ焦がれたいという気持ちを抱くぼたん。いぶきはぼたんと同じように考えているのか。友だちをやめた先の関係とは、どういう関係なのか。
次回、最終回にて、その答えが示されるのか。楽しみですね。
↓12話(最終話)の感想です
↓10話の感想です。