9話、神回でしたね。
ついに、ついにこの時が来た!!という感じです。
それでは詳しくは後述するとして、今回も気になったところについて語っていきたいと思います。
互いに緊張し合う郡上先輩といぶき

ううん、大丈夫。必要ない。
いぶきはここで「大丈夫」と自分を鼓舞するわけですが、何が大丈夫なのかというと、ぼたん以外の人とぼたんなしで飲むことに対して、です。その証拠に、いぶきは何かに耐えるような表情をしながら、ぼたんの連絡先を見ています。
ぼたんありで他の人と飲むことについてはジンランと飲んだときに実績解放済みですが、ぼたんなしで飲むのは今回が初となるので、その緊張感が伝わってきますね。
ところで、このとき緊張しているのは何もいぶきだけではありません。
郡上先輩もまた同じように緊張していることが分かります。

何の緊張ですか、郡上先輩。
いぶきと郡上先輩、二人が互いに緊張しあっていることからも、二人の関係性がどんなものなのか改めてよく分かる描写となっています。
なお、いぶきはこのあと「片付けに手間取っちゃって」と郡上先輩たちを待たせたことを謝罪していますが、いぶきが片付けをしていた描写はありません。時間がかかっていたのは片付けのせいではなく、ぼたんなしで他人とお酒を飲む覚悟を決めていたからなのかもしれません。
ジンランと郡上先輩の映画トーク
ジンランと郡上先輩の映画トークで出てきた映画監督についてまとめます。
ギョーム・ブラック(Guillaume Brac)
フランスの映画監督。代表作は『みんなのヴァカンス』『宝島』『やさしい人』など。
ポン・ジュノ(봉준호)
韓国の映画監督。代表作は『パラサイト 半地下の家族』『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』など。
ウェス・アンダーソン(wesley anderson)
アメリカ合衆国の映画監督。代表作は『グランド・ブダペスト・ホテル』『犬ヶ島』など。
ポール・ウィリアム・スコット・アンダーソン(Paul William Scott Anderson)
イギリスの映画監督。「ポールの方」と言及されていたのはこちらの映画監督。代表作は『ヴァイオハザード』シリーズ、『モンスターハンター』など。
ニュルブルクリンクの事故動画
ジンランちゃん普段どんな動画見てんの?
あー、ニュルブルクリンクで高級車が事故する動画とか
ニュルブルクリンクは「緑の地獄(グリーンヘル)」とも呼ばれるドイツ北西部にあるサーキット場です。高級車がクラッシュする様子は下記リンクから見れますのでジンランと同じ気持ちになりたい方はどうぞ。
参考リンク
ぼたんとお酒飲むのが楽しい

ぼたんと出会って、ぼたんとお酒飲むのが楽しい。
…楽しいのは良いことだね。
このときの郡上先輩の気持ちといったら計り知れないものがあります。
というのも、郡上先輩はいぶきのことが好きというのもありますが、今このときお酒を飲んでいるのは郡上先輩(とジンラン)なんですよ。なのに目の前で一緒に飲んでいる自分を飛ばして、「ぼたんと飲むのが楽しい」と言われたわけですから、それはショック以外の何物でもないと思います。
そしてそのショックは背景にも現れていて、郡上先輩の背景は紫色に染まります。

さらにいぶきが部屋を出ていくのと同時に、黄色い背景が消えていくのが見て取れます。この黄色い背景が消えていく演出は、単にいぶきが退出したというだけではなく、郡上先輩の心から喜びの感情が消えていくことを示しているようです。


蜂蜜酒はやさしい味

やさしい味だね。ほんとにやさしい…
…はい
ぼたんと飲むのが楽しいと言われたあと、ジンランは郡上先輩にあるお酒を渡します。それが蜂蜜酒(ミード)なわけですが、ここで郡上先輩が「やさしい味」がするというのは、単に味覚としてのやさしさだけを指しているだけではなく、いぶきの言葉で傷付いている自分を気遣うジンランのやさしさが身に沁みていることを示しているともいっていいでしょう。お酒と心理描写が見事にリンクする、切なくも美しいカットだと思います。
ついでに言うと、蜂蜜酒を飲んだ際、背景に黄色がふわりと浮かんできます。
これもまた、ジンランのやさしさが郡上先輩の身に沁みていることを表していると言えますし、いぶきの代わりに、ジンランが郡上先輩の心に入ってきていることを表しているとも言えるかもしれません。


また、郡上先輩とジンランのお酒が隣同士で並んでいるのも、郡上先輩の隣にジンランが寄り添っていることを示すメタファーのようです。

にほいたる 紅葉のいろのすがるれば 雪ふるまへの山のしづまり

これは大正から昭和前期にかけて活躍した斎藤茂吉という歌人の書いた短歌で、『暁紅』に収録されているものです。
短歌の内容としては、美しく色づいている紅葉はもう枯れ始めている、それは雪の降る前の山の静けさだ、といった感じでしょうか。
斎藤茂吉の生まれた山形県では、その土地柄、秋はあっという間に終わり、すぐに冬がやってきますので、その風景を描いた短歌といえます。
参考リンク
「故郷の紅葉」 (山形県 上山) | 暦を歩く | BS朝日
※すがれるの意味
草木が盛りの季節を過ぎて枯れはじめる
「末枯れる(ウラガレル, スガレル)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
心ここにあらずのぼたん

晴れてよかったね
え?
え、じゃないよ。星、見に来たんでしょ、私たち。本物の星。あのプラネタリウムの続きを
プラネタリウムの続きを見に来たぼたんといぶきですが、ここでぼたんは心ここにあらずといった調子です。しかも今回のデート、誘ったのはぼたんなのに、本来の目的であるはずの「星を見る」ことがすっかり抜け落ちてしまっていることが描写されています。
さて、ぼたんが心ここにあらずの調子なのは、今回のデートの一番の目的が星を見ることではないからでしょう。星を見ることは口実でしかなく、一番の目的はいぶきとお泊まりデートをすることそのもの。そして、後述する「告白」のためです。
空に立ち込める雲

あ、雲…。はたして今夜、視えるだろうか
星を見に来た二人ですが、空には雲が立ち込めています。
雲はぼたんの抱える不安のメタファーです。要するに、いぶきに自分の本心を伝えることに不安を覚えるぼたんの心理と重なっているわけです。
そして温泉へ…

先入る
ほーい
待ってるから
ここ、ぼたんの「待ってるから」というセリフがとてもいいんですよね。
先に入ってるけど、先に出ることはしない。
二人で温泉に入るために、待っているとぼたんは言っているわけです。
友達をやめたふたり

私はぼたんを一人じめしたいよ
じゃあ…友達やめていい?
うん…友達やめよ
私はかねてよりぼたんといぶきに付き合ってくれと思ってきたのですが、ついに、ついに二人が「友達」をやめて「恋人」になりました! って思っていいですよねこれは! おめでとうございます! ありがとうございます!!
こうして友達をやめて恋人になった二人の前に広がるのは満天の星空です。

先ほどまで雲が出てきたと心配していたのが嘘のようですね。この情景描写もまた、ぼたんの心理とリンクしていると言えるでしょう。不安が晴れて、空も晴れるというわけです。
※ちなみに友だちをやめた二人という名作百合小説があるのはご存知でしょうか。
本当に名作なので過去に記事にもしてます。よろしければ。
ところで、告白シーンでいぶきが水辺にいるぼたんのところに歩いていく演出がありましたが、これは8話に登場した川の比喩の再登場だと思います。それ以上奥にいくと深くて危ないと言われてたぼたんが、大丈夫と答えた8話。今度はいぶきがぼたんの方に、川の奥に足を踏み入れる、というわけです。

終わりに
無事に付き合うことになったぼたんといぶきですが、これから先、二人の物語はどこに向かっていくのでしょうか。楽しみで仕方ありません。
以下、5話と8話、10話の感想考察です。
