金色の昼下がり

プリキュアについて割と全力で考察するブログ

嘔吐百合って何ですか?~吐いてるあなたから目を離せない~

 突然ですが、皆さんは嘔吐百合という概念をご存じですか?

 

 もちろん「嘔吐百合とは何か?」という問いに対する唯一絶対的な答えなどありはしません。百合という言葉が内包する意味が多様化しているのと同様に、嘔吐百合の定義そのものも将来的に変化していくかもしれません。

 とはいえ、それぞれの考える嘔吐百合の概念が大きく違っていると話をすることが困難になるため、とりあえずこの記事では現時点での私が考える嘔吐百合について説明し、分類していきたいと思います。(※1)

 

※1 そもそも百合という言葉の用い方、感じ方は人によって異なりますが、ここでは「女性同士の特別な関係性」と定義して話をしていきます。つまり恋愛的な関係性のみならず、友達、友達以上恋人未満、宿敵、 憎い、殺したい……そんな女性同士の関係性です。

 

 

 

 

嘔吐百合の定義

 嘔吐百合=嘔吐を伴う女性同士の特別な関係性のこと

 

 はい、そのままですね。

 ここで明確にしておきたいのは、嘔吐百合は「女性の吐瀉物」のことを指すわけではない、ということです。嘔吐百合とは、「女性が嘔吐したことに伴う女性の感情の動き」、あるいは「女性に対する感情の動きによって生じる女性の嘔吐」なのです。

 

①「女性が嘔吐したことに伴う女性の感情の動き」

 例)Aが嘔吐しているところを見たBが、その姿に何かしら感情を動かされる。

 

 これは「かわいい子が吐いてる」「いつもすました顔してる憎いやつがみっともなく吐いてる」ときなどに起こりやすい事例です。普段とのギャップから、見てはいけないものを見てしまったというドキドキ感、それを女性が覚えるところを私たち読み手が観測することで、嘔吐百合が発生します。

 

②「女性に対する感情の動きによって生じる女性の嘔吐」

 例)AはBのことが好きなのに、BはAにCのことが好きなのだと恋愛相談してくる。AはBのために相談に乗るが、その結果BはCと付き合うことに。BとCから感謝されたAは、苦しさのあまり思わず嘔吐する。

 

 これは「女性を思うがゆえに行動したのにそれが裏目に出たとき」「女性のことを忘れるためにヤケ酒したとき」などに発生しやすい事例です。相手女性を思うがゆえに精神的に追い詰められたとき、激しい罪悪感を覚えたときに生じる感情の発露が、そのまま嘔吐に繋がるわけです。

 

③「女性が女性を嗜虐することで生じる嘔吐」

 例)大嫌いなBから嫌がらせを受け、Aが吐いてしまう。

 

 これは①②とは異なり、ややサディスティックな意味合い、嗜虐性を伴う嘔吐百合です。また嘔吐そのものにフォーカスが当てられているというより、嘔吐が舞台装置・小道具のひとつになっているという点で、「嘔吐百合」と言えるのかどうか少し悩みましたが、場合によっては嘔吐百合を感じる可能性もあるので書きました。

 

 というのも、「女性が女性に虐められて吐いた」という事実のみ(サド・グロ・リョナなど)では、個人的には嘔吐百合を感じません。嘔吐百合とは「嘔吐を伴う女性同士の特別な関係性」であり、もっとも重要なのは関係性です。逆に言えば、「AとBの間にはどのような関係性があるのか?」といったことにフォーカスを当てつつ、嘔吐が活かされている場合は、嘔吐百合を感じ得る可能性はあります(※2)

 

※2 もちろんどのようなシチュエーションで百合を感じるかは千差万別です。私個人は百合=女性同士の特別な関係性と定義しているので、そもそも特別な関係性がない女性の嘔吐には嘔吐「百合」を感じないというだけです。

 

嘔吐百合の何がいいの?

 キャラクターが涙するシーンを見ると、つい心が動かされてしまいますよね。

 でも、何の情報もないキャラクターが泣いてるところを見せられても特に心は動きません。私たちはキャラクターの涙という物質そのものに感動するわけではなく、涙を伴うキャラクターの感情の動きに感動しているわけです。

 

 嘔吐百合も同じです。

 吐瀉物そのものを見ても私の心は動きませんし、ただただ女性が吐いているところを見ても百合は感じません。重要なのは嘔吐したキャラの感情の動き、あるいは嘔吐したキャラを目にしたキャラの感情の動きです。

 

 そして、嘔吐というのは普通、滅多なことではしないものです。

 だからこそ、普通はしないものをするに至った経緯、普通は見ないものを見たときに感じた心の動き、そうした大きな感情に「エモさ」を感じてしまうのです。(※3)

 

※3 余談ですが、私の場合、嗜虐性の高い描写(いわゆるグロ・リョナなど)は苦手です。「ひぐらし」や「うみねこ」を見た後は怖すぎてしばらく夜眠れなりました。ただ、嗜虐性の高い描写があるからこそ描かれる関係性や感情の動きはとても好きなので、「苦手だけど好き」という感じで、ひぐらしもうみねこも大好きです。

 嘔吐もそれと同じで、グロ・リョナの一環で描かれる嘔吐そのものには百合を感じませんし、むしろ苦手な方ですが、そこに女性同士の特別な関係性があれば(百合を感じれば)好きになることは普通にあります。

 

《宣伝です》

 割と直球で嘔吐百合も描いている作品です。

 そういうのが苦手でなければ、たいへんオススメ。

 

 他にもこんな嘔吐百合作品があったよ!というのがあれば、マシュマロかコメント欄で教えていただけると嬉しいです。

 

 あと、嘔吐百合ではないですが、色んな意味でヤバイ百合小説といえば『少女帝国』は色んな意味でヤバイのでこちらもオススメです。何を言ってもネタバレになってしまうので何も言えないのですが、とにかくヤバイです。

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