金色の昼下がり

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リスクが大きいほどリターンが大きくなるって本当?誤解の多い話

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 投資にはリスクがつきものであり、大きなリターンには大きなリスクがつきもの。

 巷ではこんな話をしばしば耳にします。

 しかし、多くの人がこの言説を誤解をしているように思います。

 

 この記事は、

「リスクとは何なのか?」

「リターンとは何なのか?」

「リスクを取ればリターンが大きくなるというのは本当か?」

 以上の3点について考察したものです。

 

 

投資におけるリスクとはリターンの振れ幅のこと

 一般の人にとって、リスクとは「危険性」「損失が出る可能性の高さ」といった印象を持つ言葉かもしれません。

 しかし、投資におけるリスク(標準偏差)とはリターンの振れ幅のことを指します。

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出典:日本証券業協会ホームページ

 

  振れ幅が大きいほど、元金がいくらになって戻ってくるか予想することが難しくなります。

 

 この振れ幅が上に突き抜けたときには大きなリターンを得られますし、下に突き抜けたときには大きなマイナスリターン(損失)が発生します。

 

 リスクが大きいというのは、この振れ幅が大きいという意味であり、不確実性が高いという意味なのです。

 

投資において重視すべきリターンは平均年利

 次に、リターンの話です。

 一般に、リターンとは「儲けられるお金」のことをイメージするかもしれません。

 確かに、実際いくら儲かったのか?(投資収益)というもリターンといいます。

 

 しかし、投資において重視すべきなのは「平均年利(期待値)」です。

 

 宝くじを買えば10億円を稼ぐことができるかもしれませんが、実際に10億円が当たる確率は非常に低く、そもそも期待値はマイナスであります。

 

 いくら多額のお金を稼げる可能性があったとしても、その期待値が低い(もしくはマイナス)であれば投資としての価値はないのです。

 

 では、これらの話を踏まえたうえで、次の話に移ってみましょう。

 

リスクとリターンの関係

 投資においては、リスクとリターンには密接の関係があり、リスクが大きいとリターンも大きくなるといわれています。

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出典:金融庁ウェブサイト

 

 債券は、リスクが低く、リターンも低いです。

 株式は、リスクが高く、リターンも高いです。

 

 この点に異論はありません。

 すると、「リスクが大きければリターンが大きくなる訳ではない」といっていたのは何だったんだ? と思う方もいるかもしれませんが、少々お待ちください。

 

重視すべきは平均年利(期待値)

 リスクとはリターンの振れ幅のことであり、

 投資で重視すべきリターンとは平均年利(期待値)のことだと説明しました。

 

 リターンの振れ幅が大きければ、高い収益を得られる可能性も生じ

 その分だけ収益がマイナスになる可能性も生じます

 

 たとえば、次の2つの商品があったとしましょう。

  1. リスク(標準偏差)が5%、期待リターン(平均年利)が1%の商品
  2. リスク(標準偏差)が20%、期待リターン(平均年利)が1%の商品

 

 1も2も平均年利は同じです。

 しかし、リスクは2の方が大きいです。

 

 1がローリスク・ローリターンの商品だとすれば、

 2の商品はハイリスク・ローリターンと称するのが妥当でしょう。

 

 一方、リターンという言葉を、平均年利(期待値)ではなく、「得られるお金」と捉えれば、2の商品の方がリスク(リターンの振れ幅)が大きい分、多額のお金を得られることがあるといえます。

 

 下記の図を見比べてみてください。

 

A.リスク(標準偏差)が5%、リターン(平均年利)が1%で30年運用

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 B.リスク(標準偏差)が20%、リターン(平均年利)が1%で30年運用

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 出典:ファンドの海のページにて作成

 

 2つとも、リターン期待値は同じです。

 しかし、リスクが異なる分だけ、振れ幅も違っています

 

 1は、上位10%の成績が183.8万円、下位10%の成績が91.8万円。

 2は、上位10%の成績が299.4万円、下位10%の成績が19.1万円。

 

 より大きいリターン(収益)を得られる可能性があるのは、2といえます。

 同時に、より大きい損失が発生する可能性があるのも、2といえます。

 

 しかし、1も2もリターン(平均年利・期待値)は同じです。

 

 賢明な投資家ならば、1を選ぶでしょう。

 期待値が同じであるなら、見通しの立てやすい(リスクの小さい)1の方が投資として優れているからです。

 

 つまり、リスク(標準偏差)が大きかったとしても、リターン(平均年利)が大きくなければ意味がないのです。

 

5.「リスクが大きければリターンも大きくなる」という言葉の誤解

1.リスクだけ大きくても意味がない

 リターンという言葉を、「収益額」と捉えれば、確かにリスク(リターンの振れ幅)が大きいほど、得られる「収益額」も大きくなるかもしれません。

 

 しかし、繰り返しになりますが、投資において重視すべきなのは、「収益額」ではなく、平均年利(期待値)です。

 

 リスク(リターンの振れ幅)だけはやたらと大きいのに、リターン(平均年利・期待値)はプラスどころかマイナスといった商品がこの世には溢れています。

 

2.具体例:FXはハイリスク・マイナスリターン

 FXを紹介しているサイトでよく使われる文言は、次の通りです。

 

FXはハイリスク・ハイリターンなので注意しましょう」

「しかし、レバレッジを調整することで、ローリスク・ローリターンにすることもできます

 

 さて、ここまでの説明を読んできたのなら、そしてFXが本質的にはマイナスサムゲーム(期待値がマイナスのゲーム)であることを理解していれば、この説明がいかに誤解を招く説明であるかであるかが分かるはずです。

 

www.konjikiblog.com

 

 投資におけるリスクとは、リターンの振れ幅のことです。

 FXでは、(レバレッジにもよりますが)リターンの振れ幅は大きいといえます。

 つまり、FXのリスクが大きいというのは正しいといえます。

 

 一方、投資におけるリターンとは、平均年利のことです。

 FXはゼロサムゲームであり、平均年利は0%です。

 いえ、むしろFX会社からスプレッドという形で手数料がかかるので、その分だけ平均年利がマイナスとなる、マイナスサムゲームといえます。

 

 したがって、FXはハイリスク・ハイリターンなどではなく、イリスク・マイナスリターンの投資なわけです。*1

 

株式のリターンが債券より大きい理由

 株式は債券よりもリスク(リターンの振れ幅)が大きく、同時にリターン(平均年利)も大きくなっています。

 なぜ、そうなるのでしょうか?

 

 そのヒントは、市場原理にあります。

 

 リスクが異なり、リターンが同じ商品があれば、多くの人はリスクの小さい方を購入するでしょう。

(先の例でいえば、合理的な人間は商品Bではなく、Aを選ぶ)

 

 そうすると、リスクの小さい方の商品から得られるリターンは、より多くの人で分配することになり、結果的にその分だけリターンが目減りします。

 

 逆に、株式を購入し、債券よりも大きなリスクを引き受けた人は、その引き受けたリスクの分だけ、いわばボーナスとしてリターン(リスクプレミアム)を得られるわけです。

 

 こうした市場原理がはたらくことで、リスクの大きい株式はリターンが大きくなり、リスクの小さい債券はリターンが小さくなっているわけです。

 

 しかし、これは株式や債券には当てはまりますが、他のすべての投資商品(エセ投資商品)に当てはまるわけではありません

 

 たとえば、FXの場合は、いくらレバレッジを大きくしてリスクを増やしたところで、リターンは向上しません。

 カジノのルーレットも同じですね。

 構造的にゼロサムゲーム(あるいはマイナスサムゲーム)となっている商品においては、どれだけリスクを大きく取ろうが、リターンは向上しないのです。 

 

まとめ

 というわけで、本記事を要約すると、下記の通りです。

  • リスク(標準偏差)とは、リターンの振れ幅のこと
  • 投資で重視すべきリターンは、平均年利(期待値)である
  • リスクを取ればリターンが向上するとは限らない(それは商品による)

 

 現代において、もっともリターン(平均年利・期待値)が優れている可能性が高いと考えられているのは株式です。

 もし株式以外の商品について、「リスクは大きいけど、リターンも大きいよ」と勧める者がいれば、まずは「騙されていないか?」ということを疑いましょう。

 

 以上、リスクとリターンについての誤解を解きつつ、リスクが大きくても必ずリターンが大きくなるわけではないよ、という話でした。

*1: もちろん、運に打ち勝ち、期待値をプラスにできる実力があれば、話は別ですし、趣味や道楽でやる分には問題ないです。

 宝くじは完全な運ゲーですが、麻雀やポーカー等の頭脳スポーツは、実力があれば、たとえ胴元(雀荘やカジノ)に場所代を取られたとしても、己の期待値をプラスに持っていくことは可能です。FXも、頭脳スポーツの一種であるなら、己の期待値をプラスに持っていくことは可能かもしれません。(全体レベルでの期待値がマイナスであることには変わりありませんが)

 もっとも、この話をすると、「FXの成績を長期的にプラスにできる人が本当にいるのか?」という問題が生じます。これについては、話が長くなり、本筋からも逸れてしまうため、今回は省きます。