金色の昼下がり

プリキュアについて割と全力で考察するブログ

『さんみの嘔吐百合』※さんみのの二次創作

 さんみの嘔吐百合です。

 閲覧注意です。15歳未満の方は読まないでください。嘔吐百合の意味が分からない方は十分に覚悟の準備をしてください。

 万が一読まれる場合は、自己責任でお願いします。

 

(百合/GL/嘔吐/さんみの/R15/2000字程度)

 

 

 

『さんみの嘔吐百合』

 

 さんごの口から黄色の液体が溢れ出している光景を、一之瀬みのりはじっと見つめていた。昼休みも終わりかけた頃、二人しかいない屋上での出来事だった。


「だ、大丈夫……?」
「は、はい……ごめんなさ……っ」


 言いかけたさんごは目にいっぱいの涙を浮かべながら口を押さえる。次の瞬間には小さな獣のような声を上げて、再び嘔吐した。コンクリートに跳ね返ったさんごの体液が、みのりの脚にかかった。生暖かい。ツンと鼻を刺激する酸っぱいにおいが漂った。


「……ご、ごめんなさい……ごめんなさい……」


 さんごは喉を震わせながら謝罪を繰り返す。その隣には、さんごのことをそこまで追い詰めた犯人――みのりの作ってきた特性オリジナル弁当が、半分程度残された状態で置かれている。


「ごめん……わたしのお弁当、そんなにおいしくなかったかな」
「そ、そうじゃないです! みのりん先輩がわたしのために作ってきてくれたお弁当なんですから! おいしくないわけがないです! ただちょっと、おいしすぎてつい吐いちゃったっていうか……」


 さんごは痛々しい笑顔を浮かべながら取り繕う。
 みのりはほっと息をついて、


「良かった。今日のお弁当は自信作なの。銀杏とミカンの皮とトカゲの尻尾、それにドリアンと発酵させたニシンを入れてみたんだけれど……」
「わ、わ~~~! ど、独創的だな~~~!」
「ふふっ、ありがとう。じゃあ、残りも食べる?」
「……えっ?」
「あ、いらなかった……? やっぱりわたしのお弁当って……」
「い、いえ! 食べます! ほら見ててください!」


 さんごは「ふぅぅぅぅぅぅぅ」と中国拳法の達人のような呼吸をすると、カッと目を見開いて弁当を一気に傾ける。その小さな口のどこにそんなスペースがあるのだろうか。一瞬にして弁当は空っぽになった。


「味はどう?」


 さんごはもごもごと咀嚼しながら、こくこくとうなずく。
 それを見たみのりは満足げに、


「じゃあ、明日も同じものを作ってくるね」


 するとさんごは口を大きく開けて、いままででいちばん激しい音を立てて吐いた。


「……ゆ、許して」
「? いま、何か言った?」
「い、いえ……な、何も……」


 顔を真っ赤にして、目に大粒の涙を浮かべながらも懸命に笑うさんご。
 そんな彼女を見ていると、みのりは胸の奥がドクドクと疼くのを感じずにはいられなかった。


 もちろんみのりはちゃんと理解していた。自分の作った料理がいわゆるゲテモノと呼ばれるものであることも、その味が嘔吐を催させるほど酷いものであることも。なぜならこの前のトロピカる部の活動で、みのりは「味見」という概念を覚えたからだ。
 では、なぜそれが分かっていながらこんなことをしているのかと言うと――


「……さんご、かわいい」
「……ふぇっ?」
「あ、ううん。何でもない」


 頬が緩んでしまいそうになるのを必死に堪えながら、みのりは首を横に振る。
 この前に告白して、さんごとは恋人になった。
 恋人としてのさんごは、いままでみのりの知らなかった色んな顔を見せてくれるようになった。どのさんごも好きだったが、中でも印象的だったのはさんごが嘔吐するときの表情だった。そのときは狙ってやったわけではなかったが、やはりみのりが作ったご飯を食べたときだった。かわいい顔をしながら汚い吐物を出すその光景は、衝撃的であるのと同時に、なぜか耽美な色香を感じずにはいられなかったのだ。


「うぐっ、う、う、」


 またスイッチが入ってしまったのだろう。
 再び、さんごの口からびしゃびしゃととめどなく吐瀉物が出てくる。


「うぇぇん、み、見ないで、せんぱい……」


 うつむきながら泣きべそをかくさんごの顎を、みのりはクイッと持ち上げる。


「大丈夫だから、もっと見せて」
「で、でも……わたし……」
「わたし、さんごのことをもっと知りたい。吐いてるさんごの顔も、もっと見たい。だから、」


 みのりは両手を差し出す。
 さんごはいろいろなものが混ざった液体を垂らしながら、少し躊躇ったあとで、けっきょく我慢することはできずに、嘔吐した。
 さんごの体温と等しいその体液を手のひらに感じながら、みのりは微笑んだ。

 
「いっぱい出せて、偉いね」
「あ、う、ぅぅぅ……」


 手のひらにたまった液体を弁当箱の中に戻す。
 羞恥心で真っ赤になったさんごは、ボロボロと涙を流している。
 涙やら何やらでぐしゃぐしゃになっているさんご。そんな彼女のことが、心の底から愛おしく思えてしかたない。
 みのりはさんごの体を抱き寄せて、その耳に囁く。


「さんご、好き」
「だ、だめ、いまは……」


 さんごは抵抗したが、嘔吐を繰り返して弱った彼女にもはや逃れる術はなかった。
 この日のキスは、苦くて、酸っぱくて、リアルな味がした。

 


 終わり

 

あとがき

 すみませんでした。

 

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