金色の昼下がり

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【スタプリSS・小説】『塩味の紅茶』 ※ユニアイの二次創作

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  スタプリ38話(ユニとアイワーンちゃんの回)を視聴した私は、居ても立っても居られなくなり、気が付いたらまた和解後の妄想をしていました。

 

 

 上記の妄想から広げていくうちに、ちょっと違う内容になりました。

 和解したユニとアイワーンちゃんがいちゃいちゃする短編です。

 

(ユニアイ/百合/ややシリアス/全年齢/2500字程度)

 

※トップ画像はJill WellingtonによるPixabayからのフリー画像です

 

 

 

『塩味の紅茶』

 

「――悪かったっつーの」


 お湯を沸かしているユニに、アイワーンが声をかける。


「突然どうしたのよ」


 ユニは笑いながら尋ねる。
 しかし、アイワーンの表情は真剣そのものだ。両手を力強く握りしめながら、アイワーンは言う。


「昔のこと……あたいが、あんたに……みんなにしたこと……」
「もうその話はいいわよ」
「でも、あたいはひどいことを……」
「だから、もういいって」
「でも、」

 

 ユニはアイワーンの頭に手を載せる。


「そんなことより、わたしはもっと聞きたい言葉があるんだけど」
「……え?」


 ぼこぼこと音が鳴る。お湯が沸いた音だ。
 ユニはヤカンを掴むと、慣れた手付きでお湯を注ぎ、紅茶を淹れていく。


「あなた、今日が何の日か分かってないの?」
「何の日って……今日は……」


 戸惑うアイワーンを見て、もう、とユニは小さくため息をつく。


「今日はお祭りの日――身近な人に自分の想いを伝えるのが“ならわし”だって、前に言ったニャン?」
「あ……」


 アイワーンはハッとしたような顔をすると、恥ずかしそうにうつむく。


「それは……その……」


 もじもじするばかりで、アイワーンはなかなか言葉を出せないでいる。
 ユニはニッと笑うと、カップに紅茶を注ぎ、アイワーンの前に差し出した。


「紅茶ができましたよ、アイワーン様」
「……そ、その呼び方はやめろっつーの」
「ふふ、顔が赤いニャン?」
「……湯気のせいだっつーの」


 そう言うと、アイワーンは隠れるようにユニの背中にすがりつく。


「ちょっと、紅茶は飲まないの?」
「……もう少し、こうしてるっつーの」
「早く飲まないと、冷めちゃうわよ」
「そしたら、また淹れてもらうっつーの」
「もう……あなたは昔から人遣いが荒いわね」
「……あたいのこと、嫌いになるっつーの?」


 アイワーンは上目遣いでユニのことを見る。
 どうやらよくないスイッチが入ってしまったらしい。ユニはそっとアイワーンの体を離す。そのまま隅に置いていた箱を持ってくると、アイワーンに手渡した。


「開けてみて」


 アイワーンは首をかしげると、丁寧な手つきで箱を開封していく。
 中から取り出したのは、一体の人形だ。


「……バケニャーンだ」


 ポツリ、とアイワーンがつぶやく。


「……あんたが作ったっつーの?」
「まあね。たいしたものじゃないけど」


 アイワーンはまじまじとバケニャーンの人形を見つめると、両手でぎゅっと抱きしめる。

 

「あ、あの……」

 

 アイワーンが言いかけた、そのとき。

 外から、花火の音がした。

 二人は反射的に体を離す。そろって外に目を向けると、他の人たちが外に出て来ているのが見える。

 

「……そろそろ、わたしたちも行かなくちゃね」

 

 ユニはこほんと咳ばらいする。

 

「何て言ったって今日は――」

 

 惑星レインボーのお祭りニャン、とユニが言う。

 

 アイワーンは返事をしない。おもむろに椅子に座ると、うつむいた状態で、ユニに問いかける。

 

「……あたいは、本当に行ってもいいのかな」

「オリーフィオから招待されてるのに、行っちゃいけないわけないでしょ」

「でも、あたいはレインボーを滅ぼした、狂科学者だっつーの」

「いいえ。あなたはレインボーを救った、超天才科学者よ」

 

 アイワーンは手元のティーカップを強く握る。

 

「……そう思わないレインボー星人だって、いるはずだっつーの」

「それは……いるかもしれないわね。あなたのことを許せない人が、絶対にいないとは言えないわ」

 

 ユニの言葉に、アイワーンは唇をきゅっと結ぶ。

 でも、とユニは続ける。

 

「言ったはずよ。わたしは、あなたと一緒にいたいって。あなたと一緒に、未来に行きたいって」

「…………」

「ねえ、アイワーンは、どう想ってるの?」

 

 アイワーンは答えない。ティーカップに手をかけたまま、紅茶をじっと見下ろしている。

 カチ、カチ、カチ、と時計が進む音がする。

 大丈夫だろうか。心配になって声をかけようとしたとき、ユニは気が付いた。

 アイワーンの紅茶に、大粒の滴がこぼれ落ちていることに。

 

「……紅茶、しょっぱくなっちゃうわよ」

 

 アイワーンはごしごし目をこすると、勢いよく紅茶を飲んでいく。飲み干したカップを置いて、椅子から降りる。

 

「……あたいも、同じだっつーの」

 

 目を逸らしながら言うアイワーンを見て、ユニはふふっと笑う。

 

「な、何笑ってるんだっつーの」

「何でもないニャン」

「馬鹿にしてるっつーの」

「してないわよ」

「だったら、何で笑っ」

 

 それ以上、アイワーンは文句を続けることができない。

 誰でもそうだが、口を塞がれたら、声は出せないものだ。

 唖然としているアイワーンをよそに、ユニはゆっくりと唇を離す。そして、アイワーンに手を差し伸べた。

 

「さ、紅茶も飲んだし、もう行くニャン」

 

 その顔が赤らんでいるように見えるのは、アイワーンの気のせいではない。ましてや、湯気に当たったせいでもない。

 落ち着かなさそうに揺れるユニの尻尾を見て、アイワーンも思わず笑ってしまう。

 

「ちょっと、何笑ってるのよ」

「何でもないっつーの」

「馬鹿にしてない?」

「してないっつーの」

 

 アイワーンはユニの手をしっかり握り返す。もう片方の手には、バケニャーンの人形が携えられている。

 

 二人は目を合わせると、手を繋いだまま、花火の音がする方へと歩き出した。

 

 

 了

 

 

その他のスタプリSS(ユニアイ)

『正しい温泉の入り方』

 和解後のユニとアイワーンちゃんが一緒に温泉に入る話です。ゆるい百合コメディ。

www.konjikiblog.com

 

『心の拘束具』

 アイワーンちゃんがユニを捕えてケチョンケチョンにしようとするけどうまくいかなくて泣いちゃう話です。和解前なのでシリアス。

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『四度目の嘘、あるいは』

 記憶が後退する病に罹ったアイワーンちゃんのことをユニが看病する話です。和解前なのでシリアス。

www.konjikiblog.com

 

 ユニとアイワーンちゃんが公然と(?)いちゃいちゃする話を書いたのは、なんだかんだ初めてでした。ユニアイ好きだ……。

 

 以上、読んでいただき誠にありがとうございました。