スタプリ12話、単なるカオス回ではなく、様々な示唆に富んだ話でしたね。
ただ、今回の見所は何といってもひかララの尊さであり、正直なことを申しますと、もうあれこれ考えることをやめて「ひかララ尊い」とつぶやくだけの機械になりたいです。ひかララ尊い。ひかララ尊い。
この記事はスター☆トゥインクルプリキュア第12話の感想・考察をしたものです。ネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。
- ひかるは真っ先にララのことを見ていた
- 今までありがとう さようなら
- 運命に従ったアブラハム、運命に逆らったひかる
- 羽衣伝説:ひかるとララの結末予想
- 天宮えれなという完璧超人
- バケニャーンの怪しさ3点盛り
- スタプリ12話の小ネタ集・パロディ(元ネタ)
- 今週のひかララも尊い
- スタプリ第12話まとめ
ひかるは真っ先にララのことを見ていた
映画の撮影がなかなかうまく進まないプリキュア一同。
もしうまくいかなければ、ララは地球を離れることになってしまうこともあり、4人の表情には不安の影が落ちます。
で、次の場面を見ていただきたいんです。
ララとのお別れをいちばん心配していたのは、やはり星奈ひかるだということが示されています。
お判りいただけたでしょうか?
みんながうなだれているときに、ひかるだけが真っ先にララの方を見るのです。
ひかるだけが、ララのことを見るのです。
このときのララ、まどか、えれなの3人は、たぶん映画の撮影に必死になっていて、撮影がうまくいかないこと自体にストレスを感じているようにも見えます。
ただ、ひかるは違います。
ひかるにとっていちばん大切なのは、映画の撮影ではなく、ララのことです。
そのことを、ひかるは片時も忘れることはありませんでした。
だからこそ、映画の撮影が思うように進まないとき、他の3人がしょんぼりとしているなかでも、ひかるは真っ先にララのことを見たわけです。
今までありがとう さようなら
お別れの言葉をいいかけたとき、星奈ひかるの脳裏には、これまでララと紡いできた想い出がリフレインします。
どうでもいいんですけど、私、ひかるのこの「にっ」と笑う顔がめちゃくちゃ好きなんですよ。ひかるって笑顔を浮かべる場面は非常に多いんですけど、そんなひかるの笑顔がいちばん煌めくのは、やっぱりララの前だと思うのです。
※「にっ」と笑うこの天使のような顔はララにしか見せない説を提唱中。異論反論は認めます。
ハンカチなしでは見れない回想シーン。
それが終わったかと思うと、私たち視聴者は文字通り現実に戻されます。
回想が終わった直後のシーンをご覧ください。
それまで、作中劇であることを明確に示していた「フィルムの縁取り」がなくなっていることが分かります。
つまり、このシーンは映画でもなければ虚構でもなく、現実なのです。
ここでひかるが「さようなら」の言葉を発してしまえば、それは虚構のなかの言葉ではなく、現実の言葉になってしまうのです。
運命に従ったアブラハム、運命に逆らったひかる
第12話において、アブラハム監督(≒映画の台本)はいわばひかるたちの「運命」のメタファー(暗喩)であったともいえます。どう足掻こうが、既に「筋書」は決まっているのだ、と運命は無慈悲にいいます。
しかし、星奈ひかるはその運命を否定します。
そんなのは嫌だ、と抗います。
さよならなんて 絶対嫌だよ!
そんなひかるとララを見て涙するP・P・アブラハム監督。
彼もまた、運命という荒波にもまれてきた異星人です。
仕事とはいっても、辺境の星でありプリミティブな惑星でもある地球に行けといわれて、素直に「はい喜んで」とはなかなかいえないでしょう。
いまでこそ地球を気に入ってはいるものの、最初はたぶん、嫌だったと思うんですよ。彼が地球に来たであろう1800~1900年代(あれは100年以上前のこと...はじめは...と彼は回想しています)の世界はあちこちで戦争も起きていたわけで、身の危険を覚えることもたくさんあったことでしょうし。
でも、上司からの命令で、従わざるを得なかったんじゃないかな、と。
いきなりわけの分からない星に飛ばされた彼の苦悩を想うと、同じ勤め人としては涙を禁じ得ません。
アブラハム監督の名前の由来・元ネタ
ところで、アブラハムという名前に聞き覚えのある方、その名前に思いあたる節のある方はいるでしょうか?
J・J・エイブラムス監督のパロディ?
いえいえ。
アブラハムとは、旧約聖書に登場する預言者*1の一人です。
彼が「信仰の父」とも呼ばれる所以は、その信仰心の厚さです。
アブラハムには不妊の妻がいたわけですが、いろいろと頑張った結果、齢100歳(!)(妻は90歳)にしてついに二人の間に子どもが生まれます。
ところが、神はアブラハムに対して、その子どもを生贄に捧げよと命じます。
えっ、やっとのことで生まれてきた愛しい我が子を生贄に?
その後、アブラハムがどうしたかというと、神の命令とあらばと、いわれた通りにその子を生贄にささげようとしたのです。
すごいですよね。これにはさすがの星奈ひかるさんもキラやばというのを忘れてしまうレベル。
このとてつもない信仰心の厚さから、彼は「信仰の父」と呼ばれているのです。
※その後どうなったかというと、アブラハムが我が子を殺そうとした瞬間、神が「もういいやめろ」と止めて、事なきを終えました。
何がいいたいかというと、
- アブラハムは、「神から授かった言葉」をその通りに実行し、「運命」をそのまま受け入れた
- 星奈ひかるは、「神から授かった言葉」=「映画の台本」を否定し、「運命」に抗った
という対比構造が浮き出てくるわけです(無理矢理)
参考:信仰の父・アブラハム | Bible Learning
聖書ガイドMOOK リアル聖書入門 第二部
羽衣伝説:ひかるとララの結末予想
さて、「神の言葉=運命=映画の台本」を否定した星奈ひかるは、今回のところはララとお別れせずに済みました。
しかし、羽衣という名前がさすとおり、そう遠くないうちに再び「お別れ」の場面が生じることでしょう。
というのは、羽衣という名前と今回の演出からも分かるとおり、ひかるとララの関係は、羽衣伝説がモチーフとなっているからです。
羽衣伝説は、厳密には七夕伝説(織姫と彦星)とは異なります。
羽衣伝説のあらすじは下記の通りです。
地上に降りた天女が水浴びをしていると、その美しさに心を奪われた男が、天女の羽衣を隠してしまう。
羽衣を失った天女は、天上へ帰ることができず…。
物語のオチは地方によって異なっており、大まかに分けると、
- 天女が羽衣を見つけて天上に帰る話
- 男と結ばれてそのまま地上に残るという話
- 織姫と彦星の七夕伝説に繋がるような話=年に1度だけ会える
といったものがあります。
羽衣伝説をスター☆トゥインクルプリキュアに当てはめてみると、こうなります。
- 天女=ララ
- 羽衣を隠した男=星奈ひかる
- 羽衣=ロケット
- 天上=サマーン星(ララの母星)
最終話付近で、再び「お別れになるかもしれない」場面が出てきたとき、ひかるは今回と同じことをいうのでしょうか?
ララはまた、「ずっと一緒にいたいルン」というのでしょうか?
それとも、「運命」は無慈悲にも二人の間を引き裂くのでしょうか?
実のところ、スタプリの終わり方については、私はそこまで心配していません。
というのも、第12話における最終カットに「フィルムの演出」があったからです。
第12話における映画撮影のシーンは、ひかるやララたちを待ち受ける運命の暗喩ともいえるわけです。
もしそうであるなら、最終話における彼女たちは、「みんなそろって笑顔」であるはずです。それこそが、彼女たちの「運命」の結末だからです。
(ひかる)「わたしは ララとララとずっと一緒にいたい! もっとおしゃべりしたい! また一緒に『スタードーナツ』を食べたい! もっと色んな星を冒険したい! ララ…行かないでよ…」
(ララ)「ひかる…わたしも…ずっと一緒にいたいルン!」
出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第12話(C)ABC-A・東映アニメーション
羽衣伝説など、それぞれのキャラクターの名前の由来となっている伝説や神話について詳しく書いています。
天宮えれなという完璧超人
今回はまた天宮えれな先輩の超人っぷりが炸裂していましたね。
- 英語が堪能(第9話)
- スポーツ万能
- 仲直りの仲介をしたり(第3話)、異星人とも打ち解けられるコミュニケーション能力の高さ
- 優しくて頼りになる人柄
- 映画の撮影は自分達を庇うための嘘だと真っ先に理解する察しの良さ←new!
- 完璧な演技力←new!
ここまでくると、天宮えれなのハイスペックぶりは「わざと」、意図的であるように思えてきます。すなわち、スタッフの何らかの企みではないかと。
スポーツ万能、コミュニケーション能力が高い…くらいまでならそこまで珍しくもないと思うんです。
しかし、運動能力の対極的存在として描かれがちな学力(英語)も高いですし、芸術的センス(演技力)も高く、融通もバツグンに効く(察しの良さ)…ここまでくると、いかに天宮えれなというキャラクターが際立っているかが分かるでしょう。
この先、天宮えれなが決定的な弱みを見せる場面はあるのでしょうか?
えれなの心がへし折られることがあるとすれば、どういった場合なのでしょうか?
天宮えれな先輩の原動力は「みんなの笑顔」であるため、その「みんなの笑顔」が失われたときこそが、いちばんの絶望ポイントかもしれません。
気になるのは、そのときに笑顔を失う「みんな」とは、誰なのかということです。
えれなの兄弟かもしれませんし、母親、父親かもしれません。
いまだ登場していないえれなの両親、特に外国人と思われる父親がその鍵を握っているような気もしますが、はてさて、どうなることでしょう。
そういえば、えれなは何人のハーフなのか?
設定や作中の描写から考察・推測した結果、スペインがもっとも有力であり、次点でアルゼンチン、ペルーではないかという結論に達しました。
完璧超人・天宮えれなの抱える弱み・挫折予想については、語り始めると非常に長くなってしまいそうなため、別途記事にしたいと思います。
バケニャーンの怪しさ3点盛り
これまでもバケニャーンに関しては怪しい描写が散見されていましたが、スタプリ第12話においてはそれがまた顕著でありました。
たとえばあのお方からのパワーアップは、第10話と同様、バケニャーンだけ仲間外れでした。
また、「あのお方」の力を見たときの、バケニャーンの焦るような表情。
ご主人様がプリキュアに敗北を喫したときに浮かべた、チェシャ猫のようなニヤニヤ笑い。
バケニャーンの正体については、9つの仮説を立てたうえで、バケニャーン(あるいはその姉妹)は追加戦士ではないか? という予想に至りました。
ほとんど立っているだけで台詞も少ないのに、これだけの意味深な印象を与えるのですからすごいキャラクターですよ、バケニャーン。
また何かバケニャーンについて思いついたら考察していきたいと思います。
スタプリ12話の小ネタ集・パロディ(元ネタ)
今回はカオス回ということもあり、小ネタやパロディが多かったですね。ざざっと気付いたところをまとめてみます。
国有地における撮影許可の管轄・申請先はどこ?
撮影許可を求められたまどかパパたちが、自分にいわれても困るわ…という内心のつぶやきが聞こえるようでしたね。
(まどかパパ)しかし、わたしの一存でみとめるわけには…
それはそうです。まどかパパの管轄は宇宙開発特別捜査局であり、いくらその局長だったとしても、管轄外のことに関しては一切の権限を有しません。そういう意味では、非常に公務員らしい応答でありました。
最終的には総理大臣が許可するというウルトラCにより、ひかるたちは映画の撮影の許可をもらったわけですが、視聴者である私たちはこのような疑問を覚えたはずです。
そもそも国有地における映画の撮影許可はどこが出しているんだろう?
調べてみました。
出典:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/location_renrakukaigi/dai1/siryou2.pdf
こんなことしてたら撮影を始めるよりも先に帰還ポッドが来ちゃいますね。キラやば~。
映画のパロディネタ(元ネタ)
- 人の中に小さい宇宙人=『メン・イン・ブラック』
- 撮影は続ける!カメラは止めるな!=『カメラを止めるな』
- すったもんだウォーズ=『スターウォーズ』
- 宇宙清掃=『宇宙戦争』
- 八十年間世界一周=『80日間世界一周』
- インディJAWS=『インディ・ジョーンズ』+『ジョーズ』
P.P.アブラハム監督の帽子のばんそうこうの謎
星奈ひかるの投げた手裏剣がアブラハム監督の帽子に刺さったあと、監督は帽子に大きなばんそうこうを貼っていました。
常識的に考えたら、帽子にばんそうこうを貼るのは意味のない行為ですよね。なぜアブラハム監督がそのようなことをしたのか、真剣に考察してみた結果、以下の3つの仮説を思いつきました。
- 帽子の中は機械部分がむき出しになっているので隠したかった説
- アブラハム監督は人間の人体構造についてよく知らないので間違えた説
- 実はあの帽子はただの帽子ではなく他の異星人説
1、むき出しになっているとまではいかなくても、何らかの制御装置(スイッチ等)が頭部に隠されているなら、帽子でカモフラージュしておいた方がいいのは確かでしょう。手裏剣にあけられた穴をふさぐのも、万全を期した防御策だったのかもしれません。
2、アブラハム監督は100年以上前に地球に来たとはいえ、ずっとロボットを操作して生きてきたわけですから、人体構造についての知識には欠けている可能性もあります。なんだかよくわからないけど傷ついたしばんそうこうをつけておくか、と間違えた可能性もなくはない…かもしれません。
3、あの帽子が生物であるという可能性もあるかもしれません。他の異星人が変身して、帽子の姿に化けているわけです。もしそうであるならば、手裏剣が刺さったら痛いでしょうから、ばんそうこうをつけたのも理解できます。
3はけっこう衝撃的であり、これならアブラハム監督と帽子の再登場もあることでしょうね。ただ、いちばんそれっぽいのは1でしょうか?
(単なるアニメの描写あるあるだと思います)
今週のひかララも尊い
スタプリ第12話はもう最初から最後までとにかくひかララが尊い回であり、ひかララ信者である私はただただむせび泣くことしかできませんでしたが、なかでも尊かったのは最後のララの表情でしょうか。
星奈ひかるから、「羽衣」という名前をもらったときの表情です。
少し照れたような、気恥ずかしいような。
この表情は、星奈ひかるという人間を信頼しきっているからこそのものです。
地球の文化に触れ、地球人と仲良くしたいと思っているからこそのものです。
さもなければ、「名字なんて非効率的ルン」といって拒否していたかもしれません。
さもなければ、「地球人の考えはよく分からないルン」といって呆れていたかもしれません。
ほんのちょっとでも何かが欠けていれば、ララのこの表情を見ることはできなかったでしょう。
ひかるとララは、互いの価値観や世界観を、少しずつ、ゆっくりと、しかし確実に共有して、友情を育んできました。
それが第12話にて、改めて証明されたわけです。
これを尊いといわずして、何といえばいいのでしょう?(反語)
ちなみに、第9話でひかララのキスシーンがあったとかいう妄想を爆発させたような記事も書いています。
スタプリ第12話まとめ
- ひかるはララのことをいちばん見てた(尊い)
- ひかるはララのために運命に抗った(尊い)
- 最終話はたぶんみんな笑顔(尊い)
- ララの最後の照れ笑いが今まで積み重ねてきたものを示している(尊い)
- 天宮えれなさんのハイスペックぶりが目立つ
- バケニャーンの怪しさが目立つ
前回、スタプリ第11話の感想考察です。
キュアスターが涙した理由や、カッパード達の事情、スタプリの目指す終着点などについて考察しています。
みんな大好きアイワーンちゃん様の感想考察です。
アイワーンの抱える矛盾と2つの予想をしています。
長々と読んでいただきありがとうございました。
スタプリの感想考察は毎週更新中(最近は月~火あたり)ですので、どうぞよろしくお願い致します。
Twitterでもちょこちょこスタプリについてつぶやいていますので、よかったら見てみてください。(最近は9割スタプリネタ)
※過去のスタプリの感想、考察記事については、このページのいちばん下にある「プリキュア考察」のボタンか(スマホ版)、いちばん上の「プリキュア感想考察」のボタン(PC版)から移動できます。
*1:「預言者」とは、神の言葉を預かり、それを人々に伝える者のこと。誤解されがちですが、いわゆる「予言者」とはまったく異なるものです。