スタプリ15話、演出もいつもと少し違っててすっごくカッコよかったですね。
今後の伏線と思われる個所もたくさんありましたが、やはり何より注目すべきはマオ様という新キャラクターの存在でしょう。
猫といえば泥棒猫、というわけでマオ様はやっぱり宇宙怪盗でした。
そしてそんなマオ様や金にまみれた大人たちと対等に渡り合った香久矢まどかさんは文句なしにカッコよく、非常に輝いていましたね。
この記事は、スター☆トゥインクルプリキュア15話の感想・考察・分析をしたものです。ネタバレがありますので、未視聴の方はご注意ください。
後編の感想考察はこちら。
15話 マオの正体は宇宙怪盗ブルーキャットではない説(後編)
※長くなってしまったので、記事を前編と後編で二分割しています。前編では香久矢まどかについて、後編ではマオについて語りたいと思っています。
- 香久矢まどかはマオに興味がない?
- オークションのお宝には伏線が張られている:チェーホフの銃
- 500円で競り負ける星奈ひかるさんがかわいい
- 旧価値観へのリスペクト:香久矢まどかは父親・冬貴を尊敬している
- プリキュアは「大好き」を馬鹿にしない:危機を救った「大好き」
- スタプリ15話の感想考察まとめ(前編)
香久矢まどかはマオに興味がない?
ホログラム?によって映し出されたマオの姿を見たときのみんなの表情を見ていただきたいんです。
ララは宇宙アイドルのマオのことを知っているので楽しそうな表情をしています。
ひかるは「何だろう?」という顔をしていて、えれなは興味を示すような表情です。
しかし、まどかだけは一瞥するだけで、まったく興味がないような顔をしています。
まどかさんは家柄として、俗世の文化に触れる機会が少なく、アイドルという存在についてよく知らなかったのかもしれません。なんといったって、スタードーナツも知らなかったくらいですからね。
だからアイドルに対して興味もなかったのでしょう。
…と考えていたんですが、Twitterのフォロワーさんから、「親が政治家で、幼い頃からオークションにも参加していたまどかはゼニにまみれた大人の汚い社会を知っているはず。あの表情はゼニー星のヤバイ空気を感じ取ったまどかの警戒心の表れでは?」というご意見もいただきました。
直前に、プルンスが「ゼニー星は無法地帯。気を引き締めていくでプルンス(低音)」ともいっていましたし、警戒心の表れという可能性も高そうです。
(なおプルンスはその5秒後に「マオたん!!!」とはしゃぎ回っていた様子)
そんな大人の社会を知るまどかさんは、このあと、ゼニにまみれた大人たちと対等に渡り合っていくわけです(後述)。
オークションのお宝には伏線が張られている:チェーホフの銃
オークションではいくつかのお宝が出品されていましたが、重大な伏線のにおいを感じずにはいられませんでした。
具体的にはこれです。惑星レインボーのお宝。
惑星レインボーは滅んでしまった星であり、その理由は「人々が石になってしまった」というものです。しかもプルンスいわく、原因は分かりません。
原因が分からないということは、誰かのせいかも分かっていないということであり、これはノットレイダーの仕業ではない可能性が高いです。
チェーホフの銃とは?
さて、少し話が逸れてしまいますが、ストーリーの描き方には、「チェーホフの銃」というルール(テクニック)があります。
「もし第1章で、壁にライフルが掛けてあると述べたなら、第2章か第3章で、それは必ず発砲されなければならない。もし、それが発砲されることがないなら、そのライフルはそこに掛けられるべきではない。」
出典:S・シチューキン『回顧録』(1911年)
簡単にいうと、「ストーリーにおいて意味のない要素を出してはならない」ということです。
チェーホフの銃のルールを適用させるなら、惑星レインボーにまつわる話は今後重要な意味を持つことでしょう。
では、その「重要な意味」とは何なのでしょうか?
惑星レインボーに隠された「重要な意味」
次のような説を考えました。
- 惑星レインボーはノットレイダーの母星
- ノットレイダーたちの母星は惑星レインボーと同じ理由で滅んだ/滅びつつある
- 惑星レインボーはマオやバケニャーンたち猫族の母星
- マオやバケニャーンたち猫族の母星は惑星レインボーと同じ理由で滅んだ/滅びつつある
個人的には、2,4を合わせた状況が起きているのではないかと予想しています。
これについては、マオ様について語る際に合わせて考察しようと思いますので、後編の記事をお待ちくださいませ。
今後の展開に注視しつつ、何か作中でヒントの提示があった際には改めてじっくり考えてみたいと思います。
500円で競り負ける星奈ひかるさんがかわいい
今回、ひかるさんはオークションに出品されていたプリンセススターカラーペンを手に入れるべく、全財産である500円を取り出すわけですが、一瞬にして負けてしまいます。
その直後のシーン、ぱっと見だとちょっと分かりにくいんですが、よく見るとひかるさんが顔を伏せて落ち込んでいるんです。
かわいい。
律儀に落ち込むひかるさんかわいくないですか。
えっ? それだけ?
はい、これがいいたかっただけです。
強いていうならば、ひかるさんが持っているのは旧500円玉と思われます。
平成後期~令和に生きるひかるさんにとって、旧500円玉は珍しいものです。
物欲の強そうなひかるさんですら使うことを躊躇していた旧500円玉、それはひかるさんにとって大事な宝物で、「いざというときのため」に取っていたものなのでしょう。
その大切な宝物を手放す覚悟でひかるさんはオークションに参加したのだと思うと…そして一瞬にして散ったのだと思うと…
かわいそかわいい。
ひかるさんはカッパードさんたちからの精神攻撃を受けて自信を失ったときもそうでしたが(スタプリ11話)、ちょっとかわいそうな目に遭っているときもかわいいですよね。
だからこそ、カッパードさんもひかるさんのことをいじめたくなっちゃうのかも。
カッパードさんがキュアスターをいじめ抜いた神回。
旧価値観へのリスペクト:香久矢まどかは父親・冬貴を尊敬している
幼い頃より父親にオークションに連れられていたというまどかさん。
今回のオークションでの危機を直接的に救ったのはまどかさんですが、間接的にはまどかパパが救ったともいえます。
それは何も、今回に限ったことではありません。
まどかさんが初めてプリキュアになった時も、パパの言葉を思い出してプリキュアになる決意を固めていました(スタプリ5話)。
まどかさんはパパに「自分のやりたいこと」を抑制されているとはいえ、パパのことを尊敬しているし、見習うべきところはきちんと見習っているのです。
スタプリのまどかパパの描き方は本当に絶妙です。
自らの背中で「かくあるべし」と語り、「香久矢の家に秘密はない」と断じ、子どものまどかに自由ではなく「自らの理想」を押し付けるまどかパパは、旧価値観の象徴たる人物ともいえます。
しかし、スタプリの面白いところは、そういった旧価値観を全否定せず、リスペクトすべき点はリスペクトしているところにあります。
決して、新価値観こそが「正しい」のだと断じることはしません。
それもそのはず。
スタプリのテーマのうちの1つは「多様性の受容」です。
旧価値観を全否定することは、多様性の受容に真っ向から反対する行為です。
旧価値観の象徴(まどかパパやひかるの祖父)、新価値観の象徴(まどかやひかる)がそれぞれ歩み寄り、手を繋いでいくこと。
それこそが、スタプリの目指している終着点ではないでしょうか?
キュアセレーネが誕生したときの回であり、プリキュアが親に対して公然と嘘を吐いたという、語り継がれるべき回。
※加えていうならば、まどかさんがオークションで逆転できたのは、スタードーナツの美味しさを知っていたからというのもあります。
つまり、ひかるたちがまどかさんにスタードーナツの美味しさを教えていなければ、今回の逆転劇をみることは叶わなかったかもしれないのです。
人と人とのつながりが大きな力になっていくそのさまは、さながら星座のようではありませんか?
千手観音:香久矢まどかは大人の世界で水を得る
オークションを強気に制した香久矢まどかさん、カッコよかったですね。
この立ち姿はまさしく千手観音のそれでした。
千手観音(public domain)
直後のシーンでは後光も指していたので、千手観音をモデルにしていることは間違いないと思われます。
ドラムスが競り負けたのもしかたありません。
千手観音様には勝てません。
ちなみに、このカットでは後光が差しているわけですが、前述した父・冬貴のカットでも同じように後光が差していましたよね。
これは、まどかさんがオークションという戦場において、父・冬貴と同じ高みに立てたことが示されているのだと思われます。
ところで、香久矢まどかさんはオークションという「大人の世界」では水を得た魚のように生き生きとしていました。
学校という「子どもの世界」ではわちゃわちゃしてしまうまどかさんが、打って変わって、「大人の世界」で大活躍するというのは大変面白かったです。
スタプリメンバー中、「大人の世界」でもっとも自由に泳げるのは香久矢まどかさんなのでしょうね。本当にバランスの取れたパーティですね、この4人。
あとまどかとプルンスが勝利のドーナツでハイタッチしているシーン、お互いをたたえ合っていてすごく好きです。
冬貴はまどかのことを大人として接している?
また、パパ・冬貴さんは、まどかさんをオークションに連れて行っていたことから、まどかさんを「子ども」としてではなく、「一人の大人」として見ている節もあります。
なぜなら、単なる「庇護すべき/判断能力に欠ける子ども」だと見ているならわざわざ幼い頃から「大人の世界」に連れて行ったりしないでしょうし、これまでの描写でも子ども相手にしては厳しい指導をしているシーンが多々ありました。
(もっとも、自分の指示には従うよう命じるので、関係性としては「部下」のように見ているのかもしれません)
つまり、パパがまどかさんのことを「一人の大人」として見ているのであれば。
いずれまどかさんが、自らの「やりたいこと」を見つけ、その決意と信念の強さを見せることができれば、パパもまどかさんの「やりたいこと」を受容してくれるのではないでしょうか。
フレフレ、まどかさん。
プリキュアは「大好き」を馬鹿にしない:危機を救った「大好き」
プルンスはマオ様が「大好き」なようで、びっくりするくらい熱烈な声援を送っていたんですが、スタプリメンバーは誰一人としてそんなプルンスのことを揶揄しませんでした。
それだけではありません。
プルンスの「大好き」の表れであるドーナツが、最終的には70億キランという大金になり、スターカラーペンをドラムスに買われてしまうという危機を救ったのです。
スタプリは「大好き」を否定したり、馬鹿にしたりすることは決してしません。
折れかけた心を救うのは、諦めたくなるような危機を救うのは、「大好き」という気持ちなのです。
私は、スタプリのこういうところが「大好き」です。
スタプリ15話の感想考察まとめ(前編)
- 最初、香久矢まどかだけがマオに興味がなさそうだった
- まどかは「大人の世界」を知っている
- 惑星レインボーが滅びた話は今後重要な意味を持ちそう
- 旧500円玉で競り負ける星奈ひかるさんがかわいい
- まどかは父親・冬貴を尊敬している
- まどかは千手観音になった
- 冬貴はまどかのことを大人として接している説
- スタプリは「大好き」を馬鹿にしない
- オークションでの危機を救ったのはプルンスの「大好き」
前回のスタプリ14話の記事です。
ひかるに救われたララが、今度はとうま君を救うという感動的な回でしたね。随所に隠された素敵な描写の解説もしています。
www.konjikiblog.com
バケニャーン=マオ説だったら展開的に面白いなと思っていましたが、それだとバケニャーンかマオのどちらかが消えてしまう可能性があり、そうなったら悲しいなと思い直しています。
それにしてもスタプリ15話、新キャラも展開も演出もどれもすごくて、控えめにいってめっちゃ面白かったですね。
ワックワクワールドが広がる素晴らしい回でした。
後編の記事についてはこちら。
マオのことを中心に書きました。マオの正体は宇宙怪盗ブルーキャットではない説。
以上、スター☆トゥインクルプリキュア15話の感想・考察・分析でした。
【過去のスタプリ本編の感想考察記事です】
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