スター☆トゥインクルプリキュア19話の感想考察(後編)です。
こちらの記事では、成長したララの勇姿について、アイワーンの犯した罪と罰などについて考察していきたいと思います。
スタプリ19話のネタバレがありますので、ご注意ください。
- 祖父・春吉は「悪人」ではない追加根拠
- アイワーンの犯した罪
- アイワーンの受けた罰
- キュアスターたちは罪を犯さない
- ララの成長:データの奥にある大切なもの
- ブルーキャットは石化していない理由
- 待望のシーン:戦闘するバケニャーン
- スタプリ19話の感想考察まとめ(後編)
祖父・春吉は「悪人」ではない追加根拠
春吉「一雨来そうだな」
春吉は心配そうな表情でそういいます。
物語の展開に陰りが出てくるときに、それを心配するような台詞を別のキャラにいわせるのはよく使われるテクニックの1つですが、ここで注目すべきはそれを「ひかるの祖父」にいわせたということです。
こういう役回りをするのは、たいていは「善良」なポジション、つまり主人公たちの味方のキャラクターであることが多いです。なぜなら、主人公たちと敵対するポジションのキャラクターが、「(主人公たちの)今後の展開を心配する」と矛盾してしまうからです。
つまり、そう考えると。
ひかるの祖父・春吉は、ひかるさんたちのことを心配しているわけで、敵対する立場にはいないということです。
スタプリ1話においては、ひかるさんに挨拶のしかたをけっこう厳しく指導していて、私なんかは「ひかるの祖父はそのうちひかるさんの趣味を否定したりするのかな…」「普段はひかるさんの行動を強制するようなことをしているのかな…」といった心配をしていたんですが、現時点において、それらは杞憂だったと思われます。
おそらく春吉は、まどかパパ・冬貴のような役回りです。
つまり、旧価値観の象徴たる人物であり、現代の感覚からすると「ん?」となる点もある一方で、良い面もある。
ハグプリでは、旧価値観VS新価値観の対立構造を描きつつ、旧価値観を否定し、新価値観を正当化する場面もありましたが、スタプリの目指す終着点は、おそらくそれではありません。
スタプリのテーマの1つは「多様性の受容」。
その「多様性」のなかに含まれるのは、「新価値観」だけではなく「旧価値観」もまた含まれるはずです。
新価値観の良い面、悪い面。
旧価値観の良い面、悪い面。
複数の価値観が、互いに歩み寄り、互いに受容していくこと。
互いの良い面を尊重し合い、力を合わせて前に進んでいくこと。
それこそが、スタプリの目指す終着点の1つだと思うのです。
旧価値観の悪い面だけをプッシュして否定することは、スタプリのテーマにはそぐわなくなってしまう。 どちらがより優れているか、より劣っているかという話ではないのです。
だからこそ、スタプリはあえて旧価値観の象徴たるキャラクターを登場させながらも、単純な「嫌なやつ」として映らないようにしつつ、そうした旧価値観のキャラクターに主人公たちの成長を助ける役回りをさせようとしているのだと考えます。
スタプリ18話では、感動の親子愛の裏で、ひかるの祖父・春吉がいい味を出していました。春吉は悪いやつじゃないよってことを、作中描写を根拠に書いています。
アイワーンの犯した罪
アイワーンちゃんはその界隈では愛されているキャラですが、やっていることはけっこうえげつないことが判明しました。
- 惑星レインボーの人々をダークペンの実験に使おうとした
- 実験に失敗して惑星レインボーの人々は石化
- 「それはそれでラッキー」と宝を売りさばき研究資金を得る
非の打ちどころのない悪行ですね
ノットレイダーの悪行が具体的に判明したのは今回が初めてでしたが、これがなかなかエゲツナイ。
ここまでエゲツナイと同情する余地もあまりないわけですが、おそらくそれこそが今回の話の狙いでしょう。
どういう意味なのか、順を追って説明します。
アイワーンの受けた罰
アイワーン「バケニャーンはどこだっつーの!?いつ入れ代わったっつーの!?」
ブルーキャット「いないのよ 元々バケニャーンなんて ずーっと私が化けていたニャン」
アイワーンはブルーキャットに騙されていたことが判明します。
このときのアイワーンの台詞がなかなか心に来るんですよ。
「バケニャーンはどこだっつーの!?」
アイワーンが真っ先に口にした言葉です。
アイワーンは、「バケニャーンはいる」ということをギリギリまで信じていたのです。
考えてみると、アイワーンはこれまでバケニャーンの言葉をなんだかんだ受け入れていたんですよ。
ダークペンは使うなといわれたときは使いませんでしたし(スタプリ10話)、合体ノットリガーを断られたときも、じゃあアタイがやるといって妥協していました(スタプリ11話)。
つまりですね。
文句はいいつつも、アイワーンは執事のバケニャーンのことを信頼していたんですよ。その様子を慮るに、アイワーンにとってバケニャーンは単なる道具としての存在ではなく、ある意味「大切なもの」にまで昇華していた可能性もあります。
しかし、ブルーキャットはアイワーンのその「大切なもの」を奪うわけです。
バケニャーンなんて元々いなかったニャンといって。塵一つ残さず。
さすが、宇宙をまたにかける怪盗ですよ。
もしアイワーンがここまでの極悪非道さを見せていなければ、視聴者のキッズ様たちは、「仲間から裏切られたアイワーン」に対する同情心が大きくなっていた可能性があります。
そうすると、今度はブルーキャットの人気に陰りが出てしまう危険があるのです。
また、今後アイワーンが光堕ち(更生してプリキュア側の味方につくこと)をするのだとすれば、徹底的な「悪」を描けば描くほど、カタルシスが大きくなることが期待できます。
(もっとも、その「悪」が酷いものであればあるほど、説得力をもって更生させるのは難しくなりますので、「諸刃の剣」ともいえます)
以上の理由から、アイワーンは今回、「極悪非道さ」を見せる必要があったと考えます。物語の都合上、これは必然であったのだと。
アイワーンの「光堕ち」について
もちろん、そうはいってもアイワーンの幸せを願っていた人は少なからずいるでしょうし、それは私にとっても同じことです。
最終的には、アイワーンにも救いの手が差し伸べられることを切に願っております。
もしアイワーンが光堕ちするならば、視聴者から納得感を得るためには、
- 石化したレインボー星人を救うための手段を発明をする
- レインボー星人の生活環境を向上させるために尽力する
- 出回っているレンイボーの宝の回収を手伝う
といったようなことをする必要はあるのかなと。
個人的には、
- アイワーンが自分の命と引き換えに石化したレインボー星人を救おうとする
- ブルーキャットがそんなアイワーンのことを止める
- 2人の力を合わせて石化したレインボー星人を救う
みたいな展開があれば熱いなと思っています。
確実に昇天しますね、私。
アイワーンの考察です。
アイワーンの抱える矛盾と3つの予想について書いています。
キュアスターたちは罪を犯さない
アイワーンがスターカラーペンを奪おうとしたときのキュアスターの応答がまたよかったですね。
アイワーン「ペンはもらうっつーの!」
キュアスター「渡さない! ていうか ブルーキャットのペンだし!」
ブルーキャットのペンだ、とキュアスターはいいます。
星奈ひかるさんたちもスターカラーペンを探しに来ていたわけですが、ブルーキャットの隠れ家で見つけたペンについては、あくまでも「ブルーキャットのもの」だという認識を外さないのです。
ここでもし、ひかるさんたちがブルーキャットが不在なのをいいことにペンを取っていたら、それはまさしく「窃盗」であり、ブルーキャットと同じ罪を犯すことになってしまいます。
だからこそ、ペンを盗むつもりのないキュアスターは、「ブルーキャットのもの」だと強調しているのです。
少なくとも、キュアスターたちメンバーの4人にとって「窃盗」は正義に反するものであり、それはたとえ宇宙平和という高尚な目的のためであっても同様なのです。
最終的にはキュアミルキーがペンを取りましたが、それも「持ち主のブルーキャットから促される描写を挟む」という徹底ぶりです。
私はスタプリのこういうところが好きです。
ブルーキャット「今よ ペンを取って!」
ララの成長:データの奥にある大切なもの
今回の見所のうちの1つは、なんといっても成長したララの勇姿でしょう。
初期のころのララは「データ至上主義者」であり、何よりもデータに重きを置いて行動していました。
たとえば、自分がプリキュアになれる確率が0.000000012%だというAIの報告を聞いたとき、ララは「自分はプリキュアにはなれない」のだと意気消沈します(スタプリ2話)
また、スターカラーペンを探すときに、まずは足を動かして探そうとするひかるとは対極的に、ララはまずデータ分析をするのだといって譲らす、最終的には大喧嘩に発展しました(スタプリ3話)
しかし、そんなララが、ひかるや仲間たちとの交流を深めていくことで、少しずつ、「データや数字だけではない」ことを知っていきます。
今回のスタプリ19話は、そんなララの成長の集大成ともいえるべきものでした。
ララ「たかがじゃないルン! 惑星レインボーは住民が石化して滅んだってデータにはあったルン ただ およそ1800人石化したって でも違ったルン 来てみて初めてわかったルン いろんな人がいたルン この星の人達はデータや数字じゃないルン たかがで済ませられるものじゃないルン!」
感涙ものですよ、ほんと
ララのこの成長。
もしひかるさんと出会っていなければ、ララの口からこのような発言が飛び出すことはなかったかもしれないのです。
※ちなみに、ララに助けられたブルーキャットの瞳がサングラス越しに映る描写、めっちゃ良くないですか。こういう演出、大好きです。
価値観に「優劣」はない
しかも、ですよ。
ララは今回の話で、「データは重要なものではない」と主張しているわけではありません。従来通り、「データはデータで重要視」しているのです。
その根拠はこちら。ララがアイワーンとタイマンを張ったときのカットです。
ララ「データ的にはあなたに勝ち目はないルン! 観念するルン!」
お判りいただけたでしょうか?
ララはアイワーンと戦闘中においても、しっかりデータを分析しています。そしてデータ結果から、「アイワーンに勝ち目はない」との判断をくだしているわけです。
この描写からは、ララが依然としてデータを重要視していることがうかがえます。
つまり、ララは何も「データが大切」だという自らの価値観を捨てたわけではなく、「データも大切だが、時にはデータよりも大切なものもある」というふうに、自らの価値観をアップデートしているわけです。
複数の価値観を比較して、片方を「劣っている」と、もう片方を「優れている」とするのではく、「両者の良い面を繋げていく」こと。
繰り返しになりますが、これこそが、スタプリのテーマとして掲げる「多様性」に対する1つの答えではないでしょうか。
ひかララの描いてきた軌跡をまとめつつ、独自の考察をした記事です。ひかララってなんでこんなに尊いんでしょうね。
ブルーキャットは石化していない理由
ここで、ひとつ疑問に思うことがあります。
それは、ブルーキャット/マオはなぜ石化を免れたのか、ということです。
いかんせん作中では根拠となりそうな描写がほとんどないので、これは私の憶測にすぎないのですが、下記のような仮説を考えてみました。
- アイワーンが惑星レインボーに来たとき、ブルーキャットは他の惑星でアイカツ(アイドル活動)をしているところだった
- アイワーンが惑星レインボーに来たとき、ブルーキャットは他の惑星で宇宙怪盗として盗みをしているところだった
- アイワーンが惑星レインボーに来たとき、ブルーキャットはもそこにいたが、誰かから守ってもらうことで石化を免れた
1ならば、ブルーキャットは元々アイドルになりたかったか、アイドルとなって何らかの目的(稼いだお金で貧者救済など)を果たそうとしていたのかもしれません。
2ならば、「怪盗をしていたおかげで助かった」というようにもとられかねないので、食い合わせがあまり良くない気もします。ただ、「怪盗をしていたせいで自分だけ助かってしまった」という罪悪感にはなるかも?
3、母が子を守っているレインボー星人もいたので、そう簡単には石化を免れることはできなさそうですが、何らかのパワーでどうにか防いだのかもしれません。
ブルーキャットの「変身香水」もどこで手に入れたものなのか謎ですし、何かしらのパワーの源となるようなものがあって、それを利用することで自分の身を守ったのかも?
いずれにしても根拠らしい根拠がないので、今後の展開を注視していきたいと思います。
待望のシーン:戦闘するバケニャーン
いや、面白すぎる
待ちに待ったバケニャーンの戦闘シーン。
是が非でも紅茶をいれるのだという決意が見えますね。
戦いに参加しているようで、参加していないバケニャーン。
何をしたかって、紅茶をいれていただけです。
バケニャーンほんと大好き。
まあ、元々バケニャーンなんていないんですが(白目)
スタプリ19話の感想考察まとめ(後編)
- ひかるの祖父・春吉は「悪人」ではない
- アイワーンはけっこうエグイことをしてた
- アイワーンは「信頼していた人から裏切られる」というしっぺ返しを食らった
- キュアスターは盗みをしない
- ララの成長が著しくて(尊い)
- ブルーキャットが石化していない理由予想
スタプリ19話の前半の考察です。こちらではブルーキャットの犯した罪についての考察をしています。彼女に「罰」がくだることも、あるのでしょうか?
スタプリのキャラクターの名前の由来です。元ネタとなっている神話や民話、逸話などの紹介もしています。
私事ですが、バケニャーン喪失のダメージを誤魔化すためにひたすらTwitterにアイワーンの妄想話を書いていました。寝ても覚めてもアイワーンな日々…。
そんな妄想話もけっこう溜まってきたので、このブログにも掲載しようか考え中です。もし記事にしていたら、「めっちゃ書いてるやん…」と生暖かい目で見守ってくださるとうれしいです。
以上、スター☆トゥインクルプリキュア19話の感想及び考察、分析でした。
長々と読んでいただきありがとうございました。