金色の昼下がり

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スタートゥインクルプリキュア 30話 感想 全力考察 「共有」がサマーンを救う(前編)

 スタプリ30話、ちょっと泣きました。嘘です。めっちゃ泣きました。細やかな描写も見事で、心を震わせながら視聴していました。

 

 この記事はスター☆トゥインクルプリキュア30話の感想考察です。30話のネタバレがありますのでご注意ください

 

※惑星サマーンは「ディストピアなのか?」という考察です。未読の方はぜひどうぞ。

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ロロたちはララを犯人だと思っていたか?

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第30話(C)ABC-A・東映アニメーション

トト「きっと何かの間違いルン!」
カカ「何か理由があるルン!」
ロロ「僕たちも協力するルン!」

 

 ロロたちはララが悪意をもってペンを盗んだとは考えていない、というのは上記の描写から読み取れます。が、ララが「悪いことをまったくしていない」と考えているのかというと、それはそれで微妙なところです。その根拠は次のカットです。

 

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第30話(C)ABC-A・東映アニメーション

ロロ「ララ! 出てくるルン!」
トト「一緒に謝ってあげるルン」
カカ「心配しなくていいルン」
ロロ「僕たちがなんとかしてあげるルン!」
ララ「オヨ…やっぱり半人前。子ども扱いルン」

 

 トトはここで、「一緒に謝ってあげる」という言葉を使っています。トトは、ララが「謝らなければならない」ことをしたと考えていることが読み取れます。つまり、ララが悪意をもってペンを盗ったとまでは考えていないにしても、何らかの理由があって、ペンを盗ってしまったのだと考えていることが想像できます。

 

 いうなれば、幼い子どもが、そうとは知らずにお店の商品を外に持ち出してしまったのを謝る親のような感じでしょうか。

 

 この描写の絶妙なところは、そのバランス感覚です。ロロたちがララのことを完全に疑っているような描き方にすると、視聴者はロロたちに感情移入することができず、むしろ「敵」のように見なしてしまう危険があります。

 かといって、ララの無罪を完全に信じ切り、ララに全幅の信頼を寄せるような描き方にしてしまうと、「子ども扱いされるララの葛藤」を描くことができなくなり、後のカタルシスが弱くなってしまいます。

 

ララにかけられた言葉の「重み」

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第30話(C)ABC-A・東映アニメーション

ユニ「だったらプリキュアだっていいにいけば。みんな認めてくれるわ」
プルンス「逃げた方がいいっていってたくせに話が違うでプルンス」
ユニ「状況が違うから。信じてくれる家族がいるなら」

 

 ユニの言葉の裏には様々な「想い」が秘められています。

 前回、「こういうときは逃げた方がいい」と、ユニは経験に基づく判断をしていました。そのユニが、「状況が違う」「信じてくれる家族がいるから」というわけです。何と比べているのかというと、これは明らかに自分の境遇と比較したものです。

 

 ユニはブルーキャットとしてお宝を盗んで回っていたとき、「信じてくれる家族」などひとりもいませんでした。家族はみんな石になっていたので、当然といえば当然です。そのときの状況とは違うのだと、ユニは想いを寄せながらいうのです。経験に基づく発言だからこそ、ユニの言葉には「重み」が含まれます。

 

 ユニだけではありません。えれなさん、まどかさんも、ララにこんな励ましをかけます。

 

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第30話(C)ABC-A・東映アニメーション

えれな「いくつになっても妹のことは心配なんだよ。たとえ双子でもね」
まどか「お父様お母様も心配してます」

 

 えれなさんには妹や弟がいます。いくつになっても妹のことは心配なんだというえれなさんの発言は、自身の経験に基づくものです。

 まどかさんも同様です。弓道大会のとき、「頼れるのは自分だけだ」といいつつ、決勝戦の最後には我慢できずに姿を見せた父・冬貴さんのことを、まどかさんは知ってます。まどかさんのこの発言もまた、自身の経験に基づくものなのです。

 

 それぞれの環境や価値観は異なるものです。しかし、だからこそ、様々な視点から、ララは「説得力のある励ましの言葉」をもらうことができました。

 

 そして、極めつけはひかるさんの言葉です。

 

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第30話(C)ABC-A・東映アニメーション

ひかる「ララ、大丈夫だよ。わたしたちのことなら、気にしなくていいから。ララの決めたことなら、わたし…わたし、信じる」

 

 何があってもあなたのことを信じるのだと、とひかるさんはいいます。

 前回の29話で、ララはまどかさんから、「ララはどう思うのですか?」と問われました。そして今回、ひかるさんからいわれるわけです。「ララの決めたことなら、信じる」と。

 

 弓道大会で自分自身を見つめ続けたまどかさん(スタプリ16話)、弟のとうま君と真っすぐに向き合っていたえれなさん(スタプリ14話)、本当の自分について考え続けていたユニ(スタプリ27話)…そして、ララのことを信じるひかるさん。

 

 誰かひとりでも欠けていれば、ララの胸には響かなかったかもしれません。

 誰もが同様の価値観を持っていたら、説得力のある言葉をララに届けられなかったかもしれません。

 

 みんなの多様な「想像力」が、今回、ララのことを救ったのです。

 

 スタプリ16話といえばこれです。まどかパパ・冬貴さんの「娘想い」が尊すぎたことについて考察しています。

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触覚を優しく覆う仕草が尊すぎる

スタプリ、ひかララ

出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第30話(C)ABC-A・東映アニメーション

 あと、ひかるさんがララの触覚を手で優しく覆うシーンには、もう感情が迸りすぎて大変なことになっていました。

 

 ひかるさんはララの手を取ったりするのではなく、ララの触覚を包みました。この描写からは、サマーン人であるララの「ありのまま」を許容していること、ララの考えや決断を心から「尊重」していることがうかがえます。

 

 これを思いついた方は1200%天才だと思います。尊すぎて溶けるかと思いました。嘘です。溶けました。真夏のアスファルトに落ちたソフトクリームのように溶けました。もうドロドロです。ありがてえ…。

 

  星奈ひかるさんの笑顔に救われてきた人たちの末路について考察しています。ひかるさんほんと大好き。

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ララは自分の足で立ち、自分の頭で考える

出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第30話(C)ABC-A・東映アニメーション

クク「ホバーボードなしじゃ無理ルン」

一同「走るなんて、あり得ないルン」

 

 ホバーボードを失ったサマーン人たちは、地面に倒れこんでしまいます。ホバーボードというAIに頼り切っていたために、「足腰の弱さ」が露呈します。

 ここで彼らを助けるのはララですが、その助け方がまた強烈です。

 

出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第30話(C)ABC-A・東映アニメーション

 

 もしかすると惑星サマーンでは重力が少し違うのかもしれません。ともかく、倒れこむみんなを、ララは単独で引っ張り上げてしまいます。

 

 ララは「足腰が強い」とロロから称されていました(スタプリ29話)

 しかし、それは生来的なものではないでしょうし、ララも好きで足腰が強くなったわけではないでしょう。

 

 ララは「AIを使いこなせなかった」からこそ、ホバーボードの運転がうまくできずに乗り物酔いを起こしていることが示唆されていました(スタプリ29話)。ララはホバーボードを頼りたくても頼ることができなかったからこそ、自分の足を使わざるを得ず、その結果、サマーン人としては「強靭な」足腰を会得していたのです。

 

 くたばっているロロたちは、ララに泣き言をいいます。

 それを聞いたララは、ロロたちを叱責します。

 

出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第30話(C)ABC-A・東映アニメーション

ララ「大丈夫ルン?」
ロロ「大丈夫なわけないルン! AIがないと何もできないルン!」
ララ「しっかりするルン! AIがなくても大丈夫ルン!学校で経験済みルン!」
ロロ「学校?」
ララ「みんなで集まって学ぶところルン。学校で…ううん、わたしは地球でひかるたちといて学んだルン。考えて、想像して…自分の力で、なんとでもなるルン!」

 

 ランク1調査員であるはずのロロが、ララのことを「助けてあげる」存在であるはずのロロが、ランク8調査員のララから叱責されるのです。「しっかりしろ」と。「わたしは自分の足で立ち、自分の頭で考えているぞ」と。

 

 惑星サマーンにおいては、「AIを使いこなせるかどうか」ということが最大のステータスであり、その価値観において、ララは「落ちこぼれ」も同然でした。

 

 しかし、その「落ちこぼれ」のララが、ロロたちを救う「救世主」となるのです。

 

 また、この一連のシーン、絵としては「ララがロロたちを救う」という絵になっていますが、ララの口からもいわれているとおり、ララの教えは「地球で学んだこと」から大きな影響を受けていることが分かります。

 

 もし、ララが学校に行っていたとき、AIを外すことができなければ、このシーンは存在しえなかったでしょう(スタプリ13話)。これまでの出会いと経験、その数々が、ララに新たな価値観を付与していて、その結果として、ララはロロたちを救うことができたということが如実に描かれているのです。

 

 なお、惑星サマーンは29話にしてようやく登場したのも、これが理由になっていたのだと考えられます。

 もっと早くにララがサマーンに帰郷していたとすれば、今回のようにロロたちを救ううことができなかったかもしれません。説得力のある言葉をかけられなかったかもしれません。ララがサマーンで「成長した自分」を見せるためには、28話分の「経験」が必要だったのです。

 

 スタプリ13話、学校回も本当に素晴らしい話でした。ララを救うたった1つの冴えたやり方についての考察です。

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AIの見ていた世界

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第30話(C)ABC-A・東映アニメーション

 

 ララのパーソナルAIはアイワーンちゃんのハッキング(※1)を受けます。このときのロケットの回想シーンは見事でした。特にみんなで花火を見るシーンは不意打ちで、涙腺が崩壊してえらいことになっていました。AIも一緒に花火を楽しんでいたとかもうズルいです。ズルすぎます。

 

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第30話(C)ABC-A・東映アニメーション

パーソナルAI「ララ様や、皆さまと過ごした日々は、ひかる様がいう、キラやば~な日々でした」

 

 また、パーソナルAIが「キラやば~」といったのもズルかったです。「何をしでかすか分からないから掃除しといて」といっていたあのAIが(スタプリ7話)、ひかるさんの「キラやば~」を使うことになるなんて、夢想だにしていませんでした。なんなんですかもう。ただただ号泣です。私の黒部ダムはものの見事に決壊していました。

 

 スタプリ25話。お祭り回はお祭り回で泣けましたね。あの花火を見上げるシーンに至るまでにも「よく見ると尊い」ポイントが含まれています。

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※1 スタプリでは「ハッキング」がAIに対する不正行為の意味で使われていましたが、本来、不正行為のことはハッキングではなく「クラッキング」というのがどちらかといえば正しい使い方です。

 ハッキングとは、ソフトウェアやハードウェアを分析したり改良/改造することを指すもので、善悪の意味が含まれるものではありません。ただ、ハッキングという言葉が不正行為の意味で浸透しすぎている一方、クラッキングという言葉は耳慣れないものであることから、「ハッキング」という言葉を用いたのだと思われます。

 言葉は生き物です。本来の意味から違うものに変わることは珍しくありません。たとえば「貴様」という言葉も、中世末から近世中期までは「相手を敬う言葉」として使われていたようですが、現在では「目下の者に対する言葉」になっています。

 

【参考にさせていただいたサイト】

 

 ララは「ララ」ではなく「羽衣ララ」

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第30話(C)ABC-A・東映アニメーション

AI「ID90862773 ララ 敵対する人物ではない。パーソナルAIからの情報で判明」

ロロ「ロケットのAIとマザーが情報を共有したルン」

AI「ララ…いえ、羽衣ララ。友好的なパートナー」

アイワーン「って、ハッキングしたマザーが戻ってるっつーの!」

トト「ララのパーソナルAIがもとに戻したルン」

 

 AIがララのことを「羽衣ララ」といい直すシーンがまたよかったです。データが共有されても、AIにとってララが単なるサマーン人としての「ララ」ではなく、地球や様々な惑星で冒険を共にしてきた「羽衣ララ」であることが表現されていたわけですが、これには涙をこぼした方も少なくなかったのではないかと思います。

 

 ちなみに、このシーンを見たとき、私はスタプリ11話、セレーネがスターのことを「ひかる」といい直したときのことを思い出しました。

 キュアセレーネ「スターが…ひかるがいなければ わたしくは…」

 

 このときは、まどかさんが伝説の戦士プリキュア(スター)によって救われたのではなく、普通の女の子(ひかる)によって救われたことが表現されていて、その尊さに思わず天を仰ぎました。

 

 スタプリ11話。ひかるさんの泣いた理由などについて、放送当時に書いた考察です。

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サマーンを救ったのは「破壊」ではなく「共有」

 暴走するマザーAIは、ララのパーソナルAIがデータの共有をしたことで元に戻りました。マザーAIとは「単一の絶対的な価値観」の象徴だということは、スタプリ29話の考察(後編)でも書きましたが、それが「暴走」してしまったときにはどうすればいいのか? ということが、今回、裏で描かれていたテーマでもありました。

 

 さて、最終的に暴走したマザーAIを止めたのは、「破壊」によるものではなく、「共有」によるものでした。これは、とてもスタプリらしい決着の付け方だったと思います。というのも、「異なる価値観を共有することでアップデートしていく」という、これまでのスタプリの考えと見事に合致するからです。

 

 破壊ではなく、共有によって。

 否定ではなく、受容によって。

 

 彼女たちは、今後もそうやって、大切なものを救ってみせるつもりなのでしょう。

 おそらく、ノットレイダーすらも。

 

スタプリ30話の感想考察(前編)まとめ

  • ロロたちはララのことを悪意をもってペンを盗ったとは考えていないが、何か事情があって盗ってしまったという認識
  • みんながララにかけた言葉がどれも経験に基づくものですごい
  • 触覚を優しく覆う仕草が尊すぎる
  • ララは他のサマーン人たちとは違い、自分の足で立ち、自分の頭で考えていた
  • AIの回想シーンが最強に泣ける
  • ララを「羽衣ララ」といい直すところがまた良き
  • サマーンを救ったのは「破壊」ではなく「共有」

 

 スタプリ29話の感想考察(前編)です。

 スタプリに「魔法つかい」はいない、という考察をしています。
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 今回はテンジョウさんも登場していました。なぜテンジョウさんは人の上に立ち、個性を嫌っているのか、についての考察です。

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 スタプリ30話、AIが本当にイケメンでしたね。実はこの記事を書いている途中、パソコンがダウンしてその半分ほどが吹っ飛んだのですが、AIがカッコよかったのでもうどうでもいいです。嘘です。どうでもよくない。これはこれで泣きたい。

 

 30話の考察も長くなりそうなので前編と後編で2分割しています。後編の記事では、

  • アイワーンが「失ったもの」とは?
  • ララがプリキュアになった理由?
  • ロロたちがララの「成長」を認めたのはなぜ?
  • ララはもう「大丈夫」なのか?
  • 今後惑星サマーンは変わる?変わらない?
  • スタプリが異文化(他の家族)に「過干渉」しないのはなぜ?

 

 といったことについて考察する予定です。

 

 →書きました 2019.9.3

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 以上、スター☆トゥインクルプリキュア30話の感想考察(前編)でした。

 皆さんも小まめなバックアップを取りましょうね(白目)

 

※あとプリキュアドリームステージいってきました。最高すぎて最高に頭の悪い感想を書きました。童心に返りすぎて胎児になった話。ネタバレなしです。

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