スタプリ42話、えぐがったですね。
サボロー回(34話)といい、えれなさんの回はえぐいことになりがちな気がします。えれなさんの笑顔の明るさと作中の暗部とのコントラストが見事なため、よりえぐみが増しているわけですね。
この記事はスター☆トゥインクルプリキュア42話の感想考察です。ネタバレを含みますので未視聴の方はご注意ください。
- まどかさんにとって「留学」は些末な問題
- 皆はえれなの本心に気付けない
- 明るいBGMにより浮かび上がる「モヤモヤ感」
- プルンスとユニの距離が近くて遠い
- 今度は、わたくしの番です
- 本当の笑顔を浮かべる親子との対比
- 天宮えれなは「笑顔」を失う
- テンジョウは笑顔を認めない
- そして、天宮えれなは「笑顔」を作る
- スタプリ42話の感想考察まとめ
まどかさんにとって「留学」は些末な問題
ひかる「ええ! 留学するのやめたの!?」
まどか「やめたわけではないんです。ただ、いろいろと考え直してみようと思って」
ララ「考え直すルン?」
まどか「将来、どんな自分になりたいのか。そのためにいま、自分は何をしたいのか」
ユニ「留学はしたくないってことニャン?」
まどか「いいえ、何が一番大事なことなのか、しっかりと、自分の気持ちと向き合ってみようと思うんです」
留学をやめたわけではない、と言うまどかさん。
前回の41話でもお父様にしっかり明言していましたが、まどかさんにとって「留学する/しない」というのは本質的な問題ではありません。まどかさんにとっては、「将来のことを自分で決める/決めない」というのが本質的な問題なのです。
迷いの吹っ切れたまどかさん。彼女がどちらの道を選ぶかは現時点では分かりませんが、もし「留学する」と決めたとしても、それはお父様のことを慮っての選択ではなく、飽くまでもまどかさんが自分の意思によって決断したものであるということを、ゆめゆめ忘れてはならないでしょう。
皆はえれなの本心に気付けない
えれな「いい笑顔してるね。いまのまどか」
まどか「だとしたら、えれながわたくしの背中を押してくれたおかげです」
えれな「自分の将来ときちんと向き合うって決めたのは、まどか自身でしょ」
まどか「えれなはどうするんですか?」
えれな「え?」
まどか「進路です」
えれな「地元の高校に進学かな。弟や妹たちの面倒もあるし、卒業したら、そのままうちの花屋を手伝うのもいいかなって」まどか「自分の進む道を、ちゃんと決めているんですね」
えれな「うん。…まあ、ね」
41話では、「笑顔を浮かべるえれなさん」と「思い悩むまどかさん」という対比描写になっていましたが、今回は両者の役割がくるっと入れ替わっていました。
「地元の高校に進学」「卒業後は花屋を手伝う」と言うえれなさんに対して、まどかさんが「自分の進む道を、ちゃんと決めているんですね」と評していますが、これが真実ではないことは、その直後のえれなさんの意味深な「間」、そして42話を通して語られるえれなさんの悩みや葛藤の描写から読み取れます。
ここでひとつ留意しておきたいのは、まどかさんがえれなさんの笑顔の裏に潜む「悩み」や「葛藤」に気付いていないという点です。これは何もまどかさんに限ったことではなく、ひかるさんやララ、ユニたちも同様です。スタプリのメンバーたちは、(この時点では)誰一人として、えれなさんの笑顔が「本当の笑顔」ではないことに気付いていないのです。
しかし、プリキュアでもないにもかかわらず、えれなさんの笑顔が「うわべだけ」であることに気付いていた人物がいます。
それが、テンジョウさんです。
もちろん、テンジョウさんがえれなさんの笑顔が「うわべだけ」のものだと思っていたのは、えれなさんのことを心配していたからではありません。幼少期におけるトラウマから連想し、結果的にその本質を指摘していただけかもしれません。
しかし、えれなさんの「うわべだけの笑顔」にもっとも深い理解を寄せているのは、やはりテンジョウさんなのではないでしょうか?(エモイ)
明るいBGMにより浮かび上がる「モヤモヤ感」
先生「天宮さんの学力なら、地元の高校以外でも十分狙えます」
かえで「そうですか」
先生「何かやりたいこととかないのか」
えれな「あっ…いまのところ、特に」
先生「そうか。(明るいBGMが入る)志望校については、ご両親とも、よく話し合ってみなさい」
この一連のシーン、えれなさんの「あっ…いまのところ、特に」という発言が終わり、先生の発言に至るまで、BGMはありません。アニメなどの映像作品において、BGMは鑑賞者の感情に大きな影響を与える要素です。BGMの内容、流れるタイミングには、何らかの意図があると考えるのが妥当です。
初めの方のBGMのないシーンは、えれなさんの心理状態(将来について思い悩んでいる状態)を示していると言えるかもしれません。また、明るいBGMは、えれなさんが「いまのところ、特に」と言って「うわべだけの笑顔」を浮かべたあとに流れています。
通常、明るいBGMは「問題が解決した後」などに流れるものですが、このシーンでは、それを逆手にとって「問題をなかったことにした後」に流しているわけです。
明るいBGMが流れているのに、何とも言えないモヤモヤ感がくすぶる――。
鑑賞者のモヤモヤは、かえでさんの抱えるモヤモヤとシンクロしていきます。
これらの演出は、鑑賞者が母・かえでさんに感情移入をしやすくなる効果も生み出しています。
※BGMの演出と言えば、無音を効果的に使っていた24話の冒頭も好きです。
プルンスとユニの距離が近くて遠い
プルンス「このスタードーナツのおいしさ、たまらんでプルンス。星空界に、もっともっと広めたいでプルンス」
ユニ「ドーナツを食べない星の人達だっているんじゃないの?」
プルンス「スタードーナツのおいしさは、全宇宙的でプルンス! 必ず通じるでプルンス! プルンスが伝えてみせるでプルンス!」ユニ「プルンスプルンス、うるさいニャン」
プルンスはスタードーナツを星空界に広めるつもり満々です。スタードーナツはこれまでの話のなかでも何度か重要な役割を果たしてきましたが(15話オークション回、23話のユニが少しだけ仲間に入る回など)、こういうシーンが挿入されたということは、最終話に向けてもう一度出番があるのかもしれません。
ところで、プルンスとユニのこの何とも言えない距離感がいいですね。これまで散々、ひかユニやユニアイの妄想をしておきながら大変恐縮ですが、プルユニのこの「相棒」っぽい距離感もとても好きです。
『猫にドーナツ』
今度は、わたくしの番です
まどか「何かあったんですか?」
えれな「え?」
まどか「今日、三者面談でしたし。ひょっとして、進路のことですか?」
えれな「別に、何も」
まどか「この前、えれなはわたくしに、笑顔が輝いていると言ってくれました。あの言葉に、わたくしは救われたんです。困ったときは頼ってと言ってくれましたよね」
えれな「まどか…」
まどか「今度は、わたくしの番です」
えれなさんのモチーフでもある「太陽」が沈みかける夕暮れ時(ここで太陽が沈みかけているのは、気分が落ち込んでいるえれなさんの心理描写にもなっています)、ついにまどかさんがえれなさんに切り出します。
今度は、わたくしの番です。
スタプリは人と人との繋がり、すなわち「プラスの相互作用の連鎖」を描いているとこれまでの考察でも繰り返し述べてきたことですが、42話も同様でした。一方的に影響を与えるだけではなく、相互に影響を与え合う関係性が、見事に描かれています。まどかさんと出会っていなければ、えれなさんはここで自分と向き合うことができなかったかもしれません。そして、まどかさんがえれなさんとここまで仲良くなれたのは、ひかるさんのおかげでもあるのです(スタプリ5話、9話)
えれな「分からないっていうのが正直な気持ち。自分はどうしたいのか。家のことや店の手伝い、プリキュア、どれも大好き」
まどか「えれなは、みんなそつなくできています」
えれな「それはまどかも同じじゃない」
まどか「わたくしたち、実はとても似てるんじゃないかって思うんです」
えれな「え?」
まどか「いろいろできるようで、何かひっかかると、前に進めなくなる。本当は、とても不器用なのかもしれませんね。わたくしたち」
えれな「不器用、か…」
まどか「何か迷ってるんですね」
えれな「プリキュアになってさ、」
まどか「プリキュア?」
えれな「いろいろあったよね。いろんな星に行ったり、ぜんぜん価値観が違う人と出会ったり…そういうの、素敵だなって。この経験、無駄にしたくないなって。でも、どうしたらいいのか」
まどか「ちゃんとヒントはあるじゃないですか」
えれな「ヒント?」
まどか「自分の経験してきたことを無駄にしたくない。それはひょっとしたら、えれなが、もっともっとも、新しい経験を求めているんじゃないでしょうか」
えれな「そう、なのかな…」
まどか「笑顔」
えれな「え?」
まどか「わたくしは見たいです。えれなが、選んだ道で、輝いている笑顔を」
えれなさんとまどかさんは似た者同士です。
どちらも何でもそつなくこなしているようで、これまでずっと、「自分の意思」を表に出していませんでした。
しかし、そんな二人には、決定的な相違点があります。
それは、まどかさんは父・冬貴さんの意思を押し付けられて自己決定が阻害されていた一方、えれなさんは誰からも意思を押し付けられていないという点です。
えれなさんの両親は、えれなさんに「好きなようにやりなさい」というメッセージをずっと伝えてきています。今回、みんなでドーナツを食べようとひかるさんとララから誘われたときも、かえでさんは「せっかくだから行ってきなさい」と言っていますし、夏休みに家を空けて惑星サマーンに行く際も、「家のことは大丈夫」と家族は笑顔でえれなさんのことを見送っています(スタプリ26話)。
では、いったい誰が、えれなさんの意思を抑圧しているのでしょう?
それは、他ならぬ、えれなさん自身なのです。
自分の意思を、自分の意思で放棄しているえれなさん。
まどかさんとは異なる根深さを持つこの問題は、簡単には解決しません。そして、えれなさんの問題は飽くまでも彼女自身の問題であり、他者の介入によって根本的に解決するものではありません。スタプリは「その人の抱える問題はその人の決断によって解決させる」というスタンスを一貫しており、これはえれなさんの問題についても同様だと思われます。
※「自分らしさ」を捨てようとしていたララ。「自分の意思」を持っていなかったえれなさんとまどかさんは、ひかるさんのように、ララに対して励ましの言葉をかけられませんでした(13話)
本当の笑顔を浮かべる親子との対比
かえでさんが帰路についていると、笑顔ではしゃぐ親子の姿が目に映ります。
親も子どもも「本当の笑顔」を浮かべています。
これは最近のえれなさんの浮かべている「うわべだけの笑顔」と対比になっています。「本当の笑顔」を目の当たりにすることで、えれなさんの笑顔が「本当の笑顔ではない」という事実がいっそう浮かび上がる演出になっています。辛い…。
天宮えれなは「笑顔」を失う
かえで「えれな…毎日、わたしや家族のために笑顔で頑張って…」
えれな「ママ…」
かえで「でも…あの笑顔は、えれなの、本当の笑顔じゃない…心からの笑顔を見せてくれない…」
えれな「わたしは、いつだって、みんなの笑顔のために、わたしも笑顔で…」
テンジョウ「だ~か~ら~、お前のその笑顔笑顔ってところが、母親を苦しめていたんじゃないの? 歪みがなければ、膨らませることもできない。これが本心ってことよ」
歪みがなければ、膨らませることもできない。
この言葉に打ちのめされたえれなさんは、変身を呼びかけるひかるさんの声にも反応できません。
ひかる「行くよ! …えれなさん!」
スタプリのメンバーたちは、「大切なものを守るため」、「あこがれのわたしを描く」ことで変身します。しかし、このときのえれなさんはそれまで大切にしていた「笑顔」が本当に大切なのかも分からなくなり、「あこがれのわたし」がどういう自分なのかも分からなくなっていました。えれなさんの所は黒く塗り潰されているのは、そのことを示す演出です。
続くテンジョウさんの言葉も強烈です。
テンジョウ「剥がれたねえ、仮面が」
えれな「仮面?」
テンジョウ「そう、笑顔なんて、しょせんうわべだけの仮面なのさ」
えれな「うわあっ!」
テンジョウ「言っただろう? 笑顔なんてで、人と人が繋がるなんて、あり得ないって」
(中略)
テンジョウ「そんなくだらないものを守るって? アッハッハッハ! それこそ、お笑い種よ」(中略)
テンジョウ「笑顔の意味なんて分かっていないくせに!」
えれなさんの被る笑顔という名の仮面を剥がすことに成功したテンジョウさんは、これ見よがしに「笑顔」を見せつけます。仮面をかぶって「個性」を隠すテンジョウさんと、笑顔を装って「本心」を隠すえれなさん…ここで鑑賞者は、えれなさんとテンジョウさんが実は「似た者同士」であることに気付かされるわけです。
残酷な事実を目の当たりにして絶望するえれなさん。
これまで大切にしてきた「笑顔」が、本当に大切なものなのか分からなくなったえれなさんは、何かにすがるかのようにして、地面に「跡」をつけます。次のカットをご覧ください。
地面に跡をつける演出といえば、前回のスタプリ41話でも同様のものがありましたが、あのときのまどかさんは「自らの意思を刻み付ける」ようにして跡をつけていました(※1)今回えれなさんが跡をつけたのは、むしろ逆の意味を持っていて、「自らの意思が分からくなっている」えれなさんの苦悩が表現されています。
そんなえれなさんを励ましてくれたのは、41話でえれなさんが励ました相手である、まどかさんでした。
まどか「そんなことありません! 辛いとき、苦しいときにこそ、笑顔になることで癒され、救われる、前を見る事もできる! ソレイユが、それを教えてくれたんです!」
テンジョウ「アッハッハッハ!! それがうわべだって言ってんのよ! 現にお前の笑顔は、母親を苦しめてたんじゃないの?」
まどか「ソレイユ。わたくしたちは、信じています。あなたが、守ろうとしてきたものを」
まどかさんの言葉を受け、えれなさんの心にひとつの決意が生まれます。それは、「みんなの笑顔を守るんだ」という決意です。「迷いの跡」は、「決意の跡」に転じます。
えれな「あたし…笑顔、守る。みんなの笑顔を、守るんだ。だから…だから、負けない。負けるわけには、いかないんだ!」
ここでえれなさんは復活を果たし、ソレイユシュートによってテンンジョウさんを退けたわけですが、根本的な問題は解決されていません。テンジョウさんがえれなさんに投げかけていた問いは、次の3つです。
- えれなの笑顔はうわべだけのもの。現に母親を苦しめている
- 笑顔で人と人が繋がるなんてあり得ない
- 笑顔はうわべだけの仮面であり、下らないものだ
それに対して、プリキュアサイドが示した回答は次の通りです。
- まどかたちはえれなの笑顔に救われてきた(まどか談)
- 回答なし
- みんなの笑顔は大切なものだから守る(えれな談)
1について。
えれなさんの笑顔が母親を苦しめているのは事実ですが、彼女の笑顔がまどかさんたちを救ってきたこともまた事実です。えれなさんの笑顔は全肯定されるものでもありませんが、全否定されるものではありません。両者の言い分は真っ当であり、どちらも誤りとは言えません。けっきょく、えれなさんはこの問いに対しては回答できていません。おそらく、次回、えれなさんなりの答えを出すことでしょう。
2について。
まどかさんもえれなさんも、この問いについては回答していません。が、スタプリ8話(ケンネル星の回)では、えれなさんの笑顔が異星人同士の仲を近付けるひとつのファクターになっていたのは事実です。とはいえ、笑顔さえあればそれでいいのかというと、そうではない、というのがスタプリ34話(サボローの回)では示されていました。何より、笑顔で人と人が繋がるのであれば、テンジョウさんとえれなさんは39話時点で繋がれたはずですが、そうはなっていません。これについても、次回、えれなさんなりの答えを出すのだと思われます。
3について。
テンジョウさんは笑顔という概念を全否定しているわけですが、唯一、えれなさんが強く反発したのがこの言説です。えれなさんはみんなの笑顔は大切なものなのだという信念を抱いており、それによって立ち上がることができました。
ただ、逆に言えば、今のえれなさんが自信を持って主張できたのは、「みんなの笑顔は大切なものだ」ということだけである、とも言えます。それ以外のこと、1や2の言説について、えれなさんは自信を持って回答できないのです。
さらにいえば、「みんなの笑顔を、守るんだ」の「みんな」には、えれなさん自身が含まれていません。最後の最後まで、えれなさんは「自分の笑顔は大切なもの」なのか分からないまま戦い終えたのです。
※1 スタプリ41話の考察、まどかさんの「決意の跡」について。
テンジョウは笑顔を認めない
テンジョウ「わたしは認めないよ!」
戦いには負けたものの、えれなさんたちの言い分を認めないと言うテンジョウさん。そして、まどかさんたちから励まされたものの、トゥインクルイマジネーションを輝かせることができなかったえれなさん。
スタプリを視聴していると、私は次の言葉を思い出します。「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる」(※1)
アイワーンちゃんのことを許せなかったユニが「変わった」のも、様々な人たちから影響を受けはしたものの、誰かに考え方を「変えられた」のではなく、自らの意思によって決断したものでした。冬貴さんがまどかさんを「変えられなかった」の同じように、まどかさんも冬貴さんを「変える」ことはできていませんし、そもそも変えようともしていません。スタプリにおいて、キャラクターの価値観が「変わる」とすれば、それはキャラクター自らの「意思」によるものなのです。
ただし、例外はあります。
それが、ノットレイダーという例外です。
ノットレイダーは、ダークペンやダークネスト様の力を使って、人々の価値観を強制的に「変える」技術を有しています。また、そもそもノットレイダーたちは、過去のトラウマによって「イマジネーションを歪められた」存在でもあります。人のイマジネーションを他人が自由に変えることは困難ですが、歪ませてしまうことはそれほど難しくありません。
異星人に母星を乗っ取られたカッパードさん。
幼いころに親も居場所もすべて失っていたアイワーンちゃん。
大人になってから母星を破壊され仲間を失ったガルオウガ様。
ノットレイダーは理不尽という名の怪物によって大切なものを失ってきた存在です。ノットレイダーがプリキュアたちのイマジネーションを変えられないように、プリキュアたちもまた、彼らのそれを変えることはできません。今後もし彼らが変わることがあるとすれば、それはやはり、彼ら自身の「意思」によるものなのだと思います。
※1 この言葉はエリック・バーンという精神科医のものだという言説がネット上で見られますが、調べたところ出典はなく、「誰の言葉なのかは分からない」という可能性が高そうです。
そして、天宮えれなは「笑顔」を作る
ひかる「えれなさん…」
えれな「大丈夫だよ。チャオ」
いまだかつて、これほどまでに胸を締め付ける「チャオ」はあったでしょうか? いいえ、ありません(反語)
このときのえれなさんの表情は、
- カメラから見切れる
- 正面から映さない
これらの演出によって見えなくなっています。
いま、えれなさんはどんな顔をしているのだろう? ほとんど沈みかけている夕日は、えれなさんの陰鬱な心を暗示しているようです。
そして、鑑賞者の「嫌な予感」は的中します。
(自宅からは家族の笑い声が聞こえる。えれなは自分の頬を叩いて笑顔を作る)
えれな「…ただいま!」
えれんさんは、自らの頬を叩き、無理やり笑顔を作って家に帰ります。その笑顔が「本当の笑顔」でないことは明白であり、テンジョウさんが言っていたとおり、それは「仮面」としての笑顔です。
家の中から聞こえる幼い兄弟たちの「本当の笑い声」と、えれなさんの浮かべる「うわべだけの笑顔」のコントラストがえげつなさすぎます。視聴し終えたあと、唖然となっていた方も少なくないのではないでしょうか。私は言葉も出ず、口を開けたままポカンとしていました。
いや、もう、なんというか、ほんとスタプリ大好きです…。
スタプリ42話の感想考察まとめ
- まどかさんにとって「留学」は些末な問題
- 皆はえれなの本心に気付けない
- 明るいBGMにより浮かび上がる「モヤモヤ感」
- プルンスとユニの距離が近くて遠い
- 「今度は、わたくしの番です」まどかさんがえれなさんを救う
- 本当の笑顔を浮かべる親子との対比がつらい
- 天宮えれなは「笑顔」を失う
- テンジョウは笑顔を認めない
- そして、天宮えれなは「笑顔」を作る
前回のスタプリ41話の感想考察(前編)です。まどかさんが「香久矢」と向き合うとき。
なぜテンジョウさん「個性」を嫌うのか? という考察です(2本書いてる)
テンジョウさんは当初から一貫して「個性」を否定しており、改めて、スタプリは伏線の張り方が見事だなと思います。
次週は、もっとも危惧していた展開になりそうで、戦々恐々としています。
当初から散りばめられていた伏線が回収されていき、鳥肌ものな展開が続きますね。毎週毎週、その「すごさ」に震えています。
今回は分割せず、1つの記事にぎゅっとまとめました。
長々と読んでいただきありがとうございました。
以上、スター☆トゥインクルプリキュア42話の考察でした。
<宣伝です>
スタプリの特別増刊号(アニメージュ)はもう手に入れましたか?
キュアスターはスターパンチをするときに「左手」で放っている理由など、面白い裏話がつまっています。姫ノ城桜子さんの声優インタビューも好きです。まだ購入されていない方はぜひ読むことをお勧めします(ノットレイダーの記事で泣いた)