金色の昼下がり

プリキュアについて割と全力で考察するブログ

劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 感情全振り感想と考察

 皆さんはレヴュースタァライト、もう浴びましたか?

 私は遅ればせながら先日浴びてきました。そして死にました。嗜癖性癖大好物百合がこれでもかというくらい詰められた核爆弾みたいな映画で何というか茫然自失です。とりあえずぐしゃぐしゃになった感情を発露させてください。

 

※本記事では途中までは極力ネタバレなし(とはいえ簡単なバレは含む)、途中からネタバレが含まれます。

 

 

極力ネタバレなしの全体的な感情推移

 どんな映画なのかな~フォロワさんも絶賛してる人多かったしワクワクするな~冒頭はじまりましたねスタァライトって感じでいいな~みんなの進路はそういう感じなんだな~それぞれいろいろあって考えたんだろうな~ここからどういうふうに話進んでいくのかな~かれひかの過去話も丁寧でいいな~おっなんか画面がヒリヒリしてきたな~もう少ししたらレヴュー始まるのかな~電車に乗って………乗って……ワイルドスクリーーーンバロック………?……………ん?……………え?…………血…………死………………あ………あぁ………大場なな………大場ななーーーーーーーーーーーーー!!!!!あーーーーーーーーーーーーー!!!!!純那ーーーーーーーーーー!!!!!う゛っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ………………ふたかお……………えっ……………うっ…………あーーーーーー!!!(死)ナニコレ最後のコレもうアレでしたよね!!ふたかお完全にアレでしたよね!!!!アレでしたよね!!!!!(年齢制限)動悸が激しいな………最高のレヴューだったけど前半でこんなにハードル上げていいんですか……?……次は…………おっとニコニコまひるちゃん………ここで少し感情を休め……休……………え………?あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー無理ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー好きーーーーーーーーーーーーー大好きな百合やつーーーーーーーーーーーー(死)あぁダメだ…………体力がもたないよこれ…………次は………大場なな………(ゴクリ)………あっ………あっ……………………え……………?……はっ…………マジですか………ははは……………(死屍累々累々累々累々累々累々累々累々)………………(あまりのヤバさにこの間の記憶が消失)……………………………………生きてるか………?………私まだ生きてるか………?(とんでもない映画を観に来てしまったという感情の激流)(繰り返し出される“最高のレヴュー”で顔面ぐしゃぐしゃ)………………真矢クロ……………いや……………もう……………無理…………無理ぃ…………(死)…………………………………………………(もはや屍となってかろうじて顔上げてる状態)………………華恋……………ひかり…………あぁ………そこに辿り着くんだね………………ありがとうスタァライト………………ありがとうワイルドスクリーーーンバロック………………………………………(絶命)

 

(ここからネタバレあり)

 なのでご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

(空きスペース)

 

字面グランプリ最強「皆殺しのレヴュー」

 スクリーンに浮かび上がるその文字を見たとき思いましたね。

「今から何が始まるの?」「皆殺し?」「いやいや……」「オイオイオイオイ……」

 

 で、そのまま見てるともうポカンですよ。本当に皆殺しが始まりました。

 ばななによる斬首。次々に舞台少女としての死を与えていく大場なな。彼女のめちゃくちゃかっこいい低音ボイスに痺れる中、でもここで個人的にいちばん興奮したのはやっぱりあの場面。

 

「なんだか強いお酒を吞んだみたい」

「なんだか強いお酒を吞んだみたい」

「なんだか強いお酒を吞んだみたい」

 

 こっちの台詞だよ!!!と後から思い返せばメタ的にそう突っ込めるんですけど鑑賞中の私にはそんな余裕など露ほども残っておりません。大場ななのこのセリフは舞台の台詞としてのソレなのですが、肝心の純那ちゃんは「何言ってるの?未成年でしょ……?」とマジレスを返してしまいます。そこでブチ切れる大場なな。何で気付かねーんだよ。もういいわお前。と言わんばかりの態度で大好きな純那ちゃんを瞬殺する大場なな。このときの大場ななのボイスと諦念すら通り過ぎた圧倒的な虚無的態度が最強にかっこいい。いちばん大好きでいちばん気付いて欲しくていちばん輝いて欲しかった純那ちゃんだったからこそ、失望はより深いものになったわけですね分かります(キリン)

 

 大場ななが皆殺しのレヴューを始めたのは、オーディションに負けて「電車」に乗ろうとしていた他のみんな(ひかり、華恋を除く)に対するひとつの「問い」だったのだと思います。みんなはオーディションに負けたことを表面上は呑み込み、それぞれ自分の選んだ道を歩もうとしていますが、大場ななはそれに問いかけていたわけです。「あななたちは"それ"でこの先ほんとうにやっていけるの?」と。

 

「これはオーディションじゃない」という台詞もありました。確かにオーディションは本番ではありません。これから先、学生ではなく大人として生きていく彼女たちに待ち受けているのはオーディションなどではなく、圧倒的な現実であり本番です。生半可な気持ちではやっていけません。大場ななはそこで生半可な気持ちを抱き心の底で思っていることを隠したまま小さく縮まろうとしている舞台少女としての彼女たちを、一度「殺した」んじゃないでしょうか。

 

 そして、それっぽい表面上の言葉と感情で取り繕っていた彼女たちは大場ななに一度は「殺され」て、それまで裏に隠していた渦巻くぐしゃぐちゃな感情を爆発させながら新たな自分を「再生産」していき、今度こそ熱いキラめきを胸に次の「舞台」へと進んでいく……。全体としてはそんな感じだったのかなと思い返しています。

 

拗らせすぎなふたかおの最後が非常に“アレ”で良かった

 ふたかおめちゃくちゃ好きなんですけど映画のふたかおもふたかおでしたね。「しょうもな………」「うっと………」って吐き捨てる香子あまりにも好きすぎて辛い。「他の女の話とかどーでもええわ!」ああああああああ!!!!!(発狂)ほんとこの二人徹頭徹尾ふたかお。

 で、最後、双葉が香子に馬乗りになったときの香子のショットがまた、良すぎて、ね……………。

 いろいろ拗らせてた二人ですが、二人いっしょにいることが当然で香子が双葉のバイクに載せてもらうのが当然だった二人が、最終的にはそれぞれの道を歩みつつ香子も自分でバイクに乗るようになったのたいへん好きです。

 

あなたのことが大嫌いだった

 ひかりとまひるのレヴュー。まひるは華恋に対して恋愛的な感情を寄せていることがこれまで示唆されてきたわけですが、TVシリーズだとけっこう明るいというか、青春の明るい感じが前に出てる感情表現だったなって思います。でも今回は違う。その裏のひそんでいた「大嫌い」をバチバチにぶつけていくレヴュー。もちろん彼女のたちのキラめきの裏側に潜んでる「ぐちゅぐちゅした感情」をワイルドスクリーーーンバロック!!!と描くのは他のレヴューでも同じなんですが、まひるの「大嫌い」は脳が痺れました。よく言ってくれてました。あまりにも好き。好きすぎ。好きオブ好き。本当にありがとうございました。

 

もうお前切腹しろよレヴュー

 大場なな、ほんと好きなんですよ。彼女が純那ちゃんに特大執着感情を抱いていたのは周知の事実ですが、それは必死にトップを目指し続ける純那ちゃんのキラめきに誰よりも彼女自身が当てられていたからなんですよね。でも、だからこそ大場ななはトップを目指すことを諦めたように見える純那ちゃんの姿に心底失望したわけです。「そんな醜い姿見せるんならもうハラキリしろよ」。

 

 愛ですよ、愛。

 大場ななが純那ちゃんに切腹を迫ったのは、逆に言えば自らの手でトドメを刺せなかったのは、彼女自身が純那ちゃんに対する羨望や切望を捨てきれなかったからじゃないでしょうか。表面上では「もうお前いいわ」と言わんばかりでこんな純那ちゃんはもう見たくないと言ってるのに、でもやっぱり殺せない、そんな屈折した思いがあそこには含まれてたんじゃないでしょうか。

 

 著名人の引用をしていた純那ちゃんが自分の言葉で立ち上がるのも好きですし、最終的に純那ちゃんが大場ななから受け取った刀で自らを勝ち取る演出がまたたいへん良いです。いままで大場ななは眩しい眩しい純那ちゃんを羨望するばかりでしたが、そんな彼女から受け取った刀が純那ちゃんのキラめきの一部となったんじゃないかと思うともう感無量です。

 

真矢クロ、悪魔、ファウスト

 悪魔メフィストフェレスが登場するゲーテの『ファウスト』を彷彿とさせるレヴューでした。『ファウスト』の主人公は悪魔と契約し、もう一度人生をやり直し、満足する人生を叶えてもらおうとします。ただし、契約が終わったとき(人生に満足した瞬間)には、悪魔に魂を渡すという条件で。そのときのキーワードとなるのが、「時よ止まれ、お前は美しい!」(もうこれ以上の満足はない!)という言葉です。真矢クロレヴューでも、似たようなセリフがありましたね。

 

 それから、

「英雄には試練を 聖者には誘惑を 天堂真矢には悪魔を」

 だったのが最終的には、

 

「英雄には試練を 聖者には誘惑を 私にはあなたを」

 に変わるの最強すぎで最強だなって思いました。

 

 いろいろ考えてみたんですが、『ファウスト』の悪魔はファウストに対して「最上の満足(それ以上の満足はない)」を与える存在なんですよね。魂を引き換えに。

 英雄が試練を乗り越えて英雄になるように、聖者が誘惑に打ち勝って聖者になるように、天堂真矢は悪魔(舞台少女としてこれ以上はないという満足感)に勝利することで天堂真矢になる。つまり現状に満足せず、どこまでもトップを目指し続ける彼女自身の向上心の現れになっていたんじゃないかと考えました。

 

 しかし最後には「天堂真矢には悪魔を」が「私にはあなたを」になる。

 つまりそれまでの真矢の意識としては「自分がトップ」であり、「トップに立つ自分に満足することなく上を目指して」いましたが、クロディーヌに「奈落で見上げろ わたしがスタァだ」という宣戦布告をし、クロディーヌのスタァとしての実力を感じ取り、「自分が乗り越えるべき存在はクロディーヌなのだ」という意識に変わったのかな、みたいなことを思いました。エモ。

 

華恋とひかり~呼び捨てにした意味~

 感情が限界なので多くは書けません。

 ひとつだけ。最後に華恋がひかりのことを「ひかり」と呼び捨てにしたのがめっちゃ強いなと思いました。「わたしは”ひかり”に負けたくない」と宣言する華恋。いっしょに舞台に立って満足するのではなく、ライバルとしての関係性になったことを如実に示す台詞でした。二人の関係性の終着点はここだったんですね……良……。

 

最後に

 あまりにもカッコいい演出の数々。ちりばめられたアイテムや背景にはきっと様々な意味が含まれていたりもするのでしょう。(作中で頻出していたトマトは“舞台少女にとっての血肉”のメタファーになってるのかなとか)。私はそれらを理解できた気はぜんぜんしませんが、鈍器で殴られ、鋭利な刃物を心臓に突き立てられ、抉られ、圧倒され続けたこ感情は、確かにこう叫んでいます。

 

「すごいとかいう次元をいろいろ超えた、”ヤバイ”百合映画だった」、と。

 

 なんだか強いお酒を呑んだみたいです。

 

 シンエヴァの感想。

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 私の好きな小学生百合。

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