昨年初からつみたてNISAをはじめた方は、ほとんどが含み損状態になっていると思います。つみたてNISAで投資デビューを飾った方は、もしかすると不安を覚えているかもしれません。
この記事では、つみたてNISAが含み損になったとしても、損切してやめるべきではないと考える3つの理由をまとめています。
1.つみたてNISAはタイミング投資を行うものではない
1 インデックス投資をする理由を再考する
つみたてNISAで売られている商品のほとんどはパッシブ運用です。
アクティブ型のファンドに投資しているなら話は別ですが、もしパッシブ型のファンドに投資しているのであれば、そもそもインデックス投資を行っている理由について、もう一度再考してみましょう。
インデックス投資をしているのは、効率的市場仮説をある程度は信じており、自分の努力によって平均株価以上のリターンを得るのは難しいと考えているからではないでしょうか?
現代を統べる資本主義システムがこの先もある程度は継続し、株式から得られるリターンは長期的にみるとプラスになる可能性が高いと考えているからではないでしょうか?
長期的にみるとプラスになる可能性が高いゲーム、つまり期待値がプラスのゲームから降りるというのは、合理的とはいえませんよね。
2.タイミング投資できる自信がないから選んだのでは?
つみたて投資をしているのは、株価がいつ上昇し、いつ下落するか分からないからではないでしょうか?
それが分かるという自信の持ち主であれば、最初からつみたてNISAではなく、非課税枠が好きなタイミングで投資できるNISAを選んでいると思います。
タイミングが分からないのに損切するのは、矛盾していないでしょうか?
なぜ自分がつみたてNISAを選び、インデックス投資をしているのかということを、改めて考えてみましょう。
3.インデックス投資家は平均リターンを上回ることを諦めた存在
インデックス投資家というのは、そもそも市場の平均リターンを上回ることを半ば諦め、平均リターンを粛々と享受することに決めた存在であります。
その覚悟をもってインデックス投資をしているのであれば、その年の平均リターンがマイナスだったとしても、やはり粛々と受け止めねばなりません。
リターンがプラスになることだけを受け止めるというのは、都合が良すぎるといえましょう。
2018年の株式の平均リターンはマイナスでした。
これは、2018年において、インデックス投資家は誰しもがマイナスで終わったことを意味しています。
マイナスで終わったのはあなただけではなく、ほとんどみんなそうなのです。
4.平均リターンがマイナスなのはなぜか?
じゃあやっぱりインデックス投資ではなく、アクティブ運用をしてみようかな、と考える人がいるなら、よく考えてから行った方がいいでしょう。
繰り返します。
2018年の株式の平均リターンはマイナスでした。
これは、アクティブ運用を行っている全投資家の成績の平均がマイナスだったことを意味しています。
5.投資で飯を食っているプロたちに勝てるか?
平均リターンがマイナスのときに、マイナスを少しでもマシにしようだとか、マイナスをプラスにしようだとか考えることは、同様に考えている他の投資家(超エリートのファンドマネージャー等を含めた)たちに勝たなければならないのです。
プロと素人が同時に混在する魑魅魍魎の戦場で闘い抜く覚悟があるなら止めませんが、そうでないならアクティブ運用に手を出すべきではないと考えます。
じゃあ、投資はそんなプロたちにお任せして、アクティブファンドを購入すればどうでしょうか?
これについては、下記の記事に詳しく書いてますので、よかったらどうぞ。
要約すると、アクティブファンドはコストが高く、どのファンドが儲かるのか事前に判断できる術がないため、おすすめできないという内容のものです。
2.つみたてNISAは損益通算や3年間の繰越控除ができない
1 損益通算ができない
一般口座や特定口座での投資であれば、損益通算をすることができます。
たとえば、特定口座内でA株式を売却し10万円の利益、B株式を売却して10万円の損失が出ている場合、利益はプラスマイナスゼロとなり、税金はかかりません。
しかし、つみたてNISA(NISAを含む)は損益通算ができません。
特定口座内で10万円の利益、つみたてNISAで10万円の損失が出ていた場合には、損益通算ができないので、税制上は10万円の利益を得た扱いになります。
実際にはプラスマイナスゼロであるはずで、何も儲かっていないにもかかわらず、売却益10万円の20.315%が税金により失われます。
計算すると、この事例では20,315円の税金がかかってしまうのです。
2 繰越控除ができない
つみたてNISA(NISAを含む)は3年間の繰越控除もできないため、1年後、2年後に株式で儲かったとしても同じです。
つみたてNISAによって発生した損失は独立しており、売却益から差し引くことはできません。
つみたてNISAで損切した場合には、損失は損失として確定してしまい、節税等に活用することはできないのです。
3.損切したらその分の非課税枠は消失する
損切をすると、その分の非課税枠は消失し、2度と復活しません。
非課税枠による節税効果は絶大なものです。
損切をすることは、その絶大な節税効果を捨てるということです。
それを捨ててもなお、得られるものがあるのかということをよく考えた方がいいでしょう。
3.投資期間はあと19年ある
1.将来的にインデックス投資はうまくいくか?
インデックス投資の平均リターンが長期的にマイナスになるということは、現代における資本主義システムが破綻していることを表します。
逆に言えば、現代のシステムが継続する限り、インデックス投資の平均リターンは長期的にはプラスに落ち着く可能性が高いといえます。
しかし、将来これがどうなるかについては誰にも分かりませんし、実際にプラスに落ち着くのかどうかも分かりません。
誰にも分かりません。分かる人などいません。
いるとすれば、それは神だけです。
2.平均リターンが長期的にプラスだとすれば?
分からないことを分からないままにしていてもしかたがないので、いったん、長期的なインデックス投資の平均リターンはプラスに落ち着くと仮定してみましょう。
この仮定のなかでは、インデックス投資家のリターンがマイナスのまま終わる可能性は、時間の経過とともに減少していくはずです。
問題は、この長期というのがどのくらい長期に渡るものなのかは誰にも分からないということです。
こればかりは過去の統計を見たって分かりません。
過去のデータはあくまでも過去のものであり、未来を予想するには多少の参考程度にしかならないからです。
とはいっても、インデックス投資の平均リターンが長期的にプラスであるならば、投資していれば期待値はプラスです。
そして、つみたてNISAによって非課税で運用できる期間はあと19年もあります。
いうなれば、期待値がプラス(と思われる)の不確定ゲームに19年間参加できるということです。
インデックス投資の平均リターンはプラスに落ち着くという言説が真実ならば。
期待値がプラスならば。
このゲームに参加した方が、合理的でしょう。
3.過去の暴落を振り返る
参考程度に、過去の暴落を振り返ってみましょう。
ブラックマンデーやリーマンショックによる暴落では数年後には全世界の株価は当時の値に戻りました。
しかし、ウォール街の大暴落では株価が戻るまでに20年程度かかっていますし、日本のバブル崩壊にいたってはいまだに当時の高値まで戻れていません。
長期的に運用すればするほど、プラスリターンで終えられる可能性は高いですが、確実には分からないというのが株式投資なのです。
4.まとめ
この記事を要約すると、下記の通りです。
- インデックス投資をするなら平均リターンがマイナスでも享受せねばならない
- タイミング投資できる自信がないからNISAではなくつみたてNISAを選んだことを思い出そう
- つみたてNISAは損益通算や繰越控除ができない
- 損切をすると非課税枠は消失する
- 昨年分につみたてたNISAの期間はあと19年分もある
- インデックス投資の平均リターンが長期的にプラスならば、投資し続けた方が期待値はよい
ここまで書きましたが、けっきょく、未来のことは誰にも分からないのです。
本当に儲かるのか、いつ儲かるのか、誰だって不安です。
しかし、その不安の代償にもらえるのが、株式のリターンなのです。
あなたが足を踏み入れたのは、そういう沼なのです。
私は、この沼で泳ぎ続ける予定です。
願わくば泳ぎ続けたいものですが、どこかで沈んでいるかもしれません。
こちらの記事では、暴落が起きたときに心を落ち着かせる方法について、実際の経験談をもとに考察しています。
よかったらどうぞ。