金色の昼下がり

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【スタプリSS・小説】『正しいツインベッドの使い方』※ひかララ(29)の二次創作

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 激甘なひかララ(29)のSSです。

 お泊まりデートで"ツインルーム"を予約したひかるさんに、ララがパクッと食べられてしまう話。

 

※直接的な表現はありませんが、「そういうシーン」を示唆する描写はありますので、苦手な方はご注意ください。

 

(ひかララ(29)/全年齢/百合/4500字程度)

  

 

 

正しいツインベッドの使い方

 電気をつけるためにルームキーを差し込んだとき、ララは、ホテルの人が間違えたのかと思った。

 

 その部屋にはベッドが設置されている。ホテルなんだから、それは当たり前だ。そこまではいい。問題は、その数だ。

 

「何で……ツインベッド、ルン?」

 

 そこには、”二台のベッド”があった。

 しかも、ベッドのあいだにはナイトテーブルがあるせいで、どう足掻いてもベッド同士をくっつけることはできない。古びたランプがチカチカと点滅している。まるでララのことを嘲笑うかのようだ。

 

「あちゃ~、ごめんね! 予約するときに間違えちゃったみたい」

 

 てへへ、とひかるは笑いながら言うが、ララは気が気ではない。

 

 ――せっかくの、十五年ぶりのお泊りなのに。これじゃあ、ひかると一緒に寝れないルン。

 

 もともとは、ダブルの部屋を取るという話だった――というより、そうなるようにかなり頑張ったのだ。「よ、よく分からないけど、ダブルのカップルプラン? っていうのがあるルン」「この部屋がいちばん安いルン!」「安い方が効率的ルン!」「ここにするルン!」……。

 

 だというのに。

 ひかるはへらへら笑いながら、悪びれる様子もなければ、残念がる様子もない。

 

「まあ、料金はちょっと高くなるけど、しょうがないね」

「……ひかるは鈍感ルン」

「え? 何か言った?」

「何でもないルン」

 

 ララは嘆息する。

 本当に、しょうがない。ひかるは昔からこうだ。誰よりも人のことをよく見ているくせに、こういうところはとにかく鈍いのだ。

 

「ねえねえ、お風呂はどうする?」

「ひかる、先に入っていいルン」

「え~! せっかくだしさ、一緒に入ろうよ!」

「……さっき見たけど、二人で入るには狭すぎるルン」

 

 ぷい、とララは顔をそむけながら言う。照れ隠しもあったが、こんなことでは機嫌を取り戻したりはしないぞ、という意思表示でもある。

 

 「狭いのがいいのに……」

 

 ひかるは残念そうにつぶやくが、ララが応じないのを見ると、「じゃあ先に入ってるね」と言い、そのまま浴室へと姿を消した。

 

「……わたしだって、本当は一緒に入りたいルン」

 

 ララは再びため息をつき、布団の中に潜る。

 ホテルに入るまではあれだけドキドキしていたのに。『お出かけ』の前日はあれだけワクワクしていたのに。期待に膨らませていた胸が、急激に萎んでいく。

 浴室からはシャワーの音が聞こえる。すらりとしたひかるの体に、無数の水滴が流れ落ちていく様子が思い浮かぶ。今度は髪でも洗っているのだろうか。シャワーが止まり、泡がこすれ合うかすかな音がする。ひかるの髪。あのショートカットとメッシュ。ララは自分の髪に触れる。ひかるは、自分のことを、どう想ってくれているのだろう?

 

「ララ~、出たよ~」 

 

 そんなララの心境も知らずに、浴室から出てきたひかるは明るい声で呼びかける。反射的に、ララは布団の中にくるまって隠れる。

 

「ねえねえ、ララってば~」

「…………」

「ララ、もしかして寝ちゃった?」

「……寝ちゃったルン」

 

 ララが小声でつぶやくと、ひかるはふふっと笑って、

 

「そっか、ララは寝ちゃったんだね。まあ、今日はいっぱい遊んで疲れも溜まってるもんね。そしたら、わたしも寝ちゃおうかな――」

 

 がさごそと布団を動かす音がする。ひかるが寝ようとしているのだ。布団の中で、ララは思わず目を見開く。それは恐怖だ。ひかるとの特別な夜があっさり終わってしまうことに対する恐怖心、それが、ララの鼓動を速くしていた。

 何とかその未来だけは避けたいと、ララは慌てて顔を出す。

 と、そこには。

 ニコニコと微笑む、ひかるの顔があった。

 

「――こっちで、ね?」

 

 目が合った瞬間、思考は停止する。ろくに何も言えなくなる。その距離は数センチ程度、ひかるはあまりにも近くにいた。

 

「おはよ、ララ」

「――――ッ!」

 

 ララは逃げるようにして反対側に体を向けるが、ひかるはすぐさま布団に入り込む。そして、ぴとっとララの背中に体をくっつけながら、

 

「ララ、こっちを向いて?」 

「い、嫌ルン! 何で、ひかるがこっちの布団に入って来るルン!」

「だから言ったじゃん。――狭いのがいいんだって」

 

 その言葉に、ララはハッとなる。

 

「……もしかして、わざとルン? ツインの部屋にしたのは」

「そうだよって言ったら、どうする?」

「…………」

 

 言葉を詰まらせていると、ひかるの手がララの頬に触れる。

 

「ねえねえ、ララ。こっちを向いてよ」

「…………」

「あれ? ララ? おーい?」

「……寝ちゃったルン」

「また寝ちゃったの? もう、しょうがないな~」

 

 ひかるは楽しそうに笑うと、「よいしょ」と体を浮き上がらせて、

 

「寝ちゃってるってことはさ。多少のことじゃ、起きないってことだよね」

 

 ララの体に覆い被さった。

  ふんわりと漂うシャンプーの香りと、バスローブ越しに伝わるひかるの感触に、ララの思考はショートする。抵抗することはもちろん、声を出すこともできない。期待と不安、そして羞恥心の混ぜ合わさった感情が、ララの目をぎゅっと瞑らせる。

 すぐ近くに、ひかるの顔がある。

 ひかるの吐息がララの頬を優しく撫でる。目を閉じていても分かる。その唇が、すぐそこまで近付いてきている。

 長い、長い、永遠のような時を経て、ついに、ひかるの唇が、触れた。

 


「~~~~ッ!?」

 

 ララの、触角に。


「なっ、ひ、ひかる!? ななな何するルン!?」

 

 ひかるは、ララの触角をパクッと口の中に入れていた。生温かい舌の感触が、触角越しに伝わる。

 

「や、やめるルン! なんてことするルン!?」

「あれ~、ララ、寝てたんじゃないの?」

「こんなことされたら起きるルン! あっ、もうっ、ひかる……やめるルン……!」

 

 身をよじりながら、ララはひかるを押しのける。が、力が入らず、ひかるを遠ざけることは到底かなわない。

 

「ひかる……! そ、そこは……舐めたら……んっ……だめ……ルン……!」

「何でだめなの?」

「だって……だって、そこは! んんっ、舐めるところじゃ、ない、ルン……!」

「ふふふ……実はずっと気になってたんだ。ララの触角って、どんな味がするのかなって」

 

 にんまりと笑うひかるは、ララの懇願を聞き入れる気はないようだ。

 

「んっ! ひかっ、あっ……もう……いや、ルン……! ひかる……んんっ……! ~~~~っ!」

 

 けっきょく、それからたっぷり数分ほど、ララの触角はひかるの口の中で転がされ続けたのだった。

 

 ☆ ☆ ☆

 

「いや~、触角って、意外としょっぱいんだね! あとちょっとピリッとするのは電気かな? キラやば~っ☆」

「……ここまで共感できないひかるの『キラやば』は初めてルン」

 

 ベッドに腰かけるひかるが、どこかスッキリしたような微笑みを浮かべる一方で、ようやく触角を解放されたララは、げっそりとしながら答える。

 

「でも、嬉しいな。こうやってさ、また、二人で一緒に寝られるなんて」

「……昔、ひかるの家で泊まったとき以来ルン」

「あのときは楽しかったね~。夜中までずっと、宇宙とかUMAの話で盛り上がってさ」

「そのせいで、次の日は遅刻しそうになったルン」

「そうそう。……あ、そう言えばわたし、明日仕事なんだよね。やだな~」

「ちゃんと行くルン。ひかるは、今の仕事に就くのが夢だったルン?」

「それはそうだけど……でも、いちばんの夢は、それじゃないよ?」

「……オヨ?」

 

 ひかるはララの髪すくいながら続ける。

 

「ねえ、ララはどうして、髪型を変えたの?」

「……それ、いちいち言わないとだめルン?」

「ちゃんと口で教えて欲しいな~って」

「……そ、そういうひかるは、どうして髪型変えたルン?」

 

 逃げるように問いかけると、ひかるは、真っ直ぐな目で即答する。

 

「わたしは、好きな人と同じにしたかったからだよ」

 

 胸が高鳴る。

 これ以上、目を合わせていられない。

 嬉しくて、恥ずかしくて、どうしようもなくて。ララは咄嗟に顔を逸らそうとする――が、ひかるの手がそれを妨げる。両手で頬を挟まれたララの目には、もうひかるしか映らない。

 

「ねえ、ララはわたしのこと、どう想ってるの?」

「そ、それは……」

「わたし、知りたいな」

「…………」

「ララの気持ちが、知りたい」

「……だから、そんなの、見てれば分かるルン」

「ちゃんと口で教えてもらわないと、分からないんだ。わたし、『鈍感』だからさ」

 

 ひかるはそこまで言うと、はにかみながら、ララの答えをじっと待つ。

 静寂が訪れる。心臓の音がうるさい。ララは声を震わせながら、やっとのことで、その言葉を絞り出す。

 

「……かるは、……るいルン」

「えっ? ごめん、いま、なん」

 

 それ以上、ひかるは続けることができない。

 ララが、ひかるの口を塞いでしまったせいだ。 

 

「……え、あ、ラ、ララ……?」

 

 ひかるは呆気に取られたように、ぽかんと口を開けている。

 

「――ちゃんと、口で教えたルン?」

 

 時間にすれば、ほんの短いキスだった。濃厚なものとは程遠い、唇と唇が触れ合うだけのもの。しかし、今のララにとってはそれでも十分だったし、何より、それが精一杯だった。体は沸騰するように熱いし、頭は大気圏に突入するときのようにグラグラする。

 

「……ごめんね、ララ」

 

 突然のひかるの謝罪に、ララはびくんと反応する。

 もしかして、やりすぎたのだろうか。ひかるの想いと、自分の想いは、重なっていなかったのだろうか。

 様々な想いが脳裏を駆け巡る中、ひかるは続ける。

 

「わたし、もう、我慢できないかも」

 

 バタン、と。ララはひかるに押し倒される。

 見ると、ひかるの濡れた唇が、ゆっくりと近付いて来る。

 十五年だ。

 ララは、ずっと、ずっと、この日を待っていた。それはララの願いであり、ララの夢だった。

 しかし。いや、だからこそ。

 これ以上来られないようにと、ララはひかるの口に触角を当てる。

 

「……ララ?」

「こ、これ以上は、だめルン」

「え……どうして?」

「だって……だって、わたし、」

 

 まだ、お風呂入ってないルン。

 と、ララは顔を真っ赤にしながら言う。

 

「…………」

「だ、だから……先に、入りたいルン」

「…………」

「ひ、ひかる、聞いてるルン?」

「聞いてるけど、聞いてない」

「え?」

 

 ひかるは口元にあった触角を優しく退ける。

 

「入ってないとさ、何かまずいことでもあるの?」

「……だって、汚いルン」

「きれいだよ」

「…………っ」

「ララは、きれいで、かわいいよ。宇宙でいちばん、ね」

「……もう。ひかるは、ほんとに……ズルいルン」

 

 限界はとっくに越えていた。我慢できないのはララだって同じだった。

 ララは触角を伸ばす。壁伝いに動かして、スイッチを見つける。電灯が消え、室内は闇に包まれる。

 まるで宇宙にいるみたいだ、とララは思った。暗い、暗い、宇宙の中で、目の前の星は一際明るい光を放っている。キラキラと輝くその星に、ララは手を伸ばす。

 

「ひかる、大好きルン」

「わたしも、大好きだよ」

 

 ぎゅっと抱き締められながら、ララはこみ上げる幸せを噛みしめる。調査員として色々な星を巡ったが、いちばん好きな星は、やっぱりここだ。

 ララが目を閉じると、間もなく、唇が重ねられる。

 一回目のキスとは違い、それは永遠よりも長く、そして、大人の味がした。

 

 ☆ ☆ ☆

 

 次の日、ひかるは職場に遅刻の連絡をすることになったが、理由を問われたひかるは、上司にひとこと、「寝坊で……」と答えたという。

 

 

 了  

 

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