金色の昼下がり

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【感想・考察】シュガー・ラッシュ:オンライン【顕在したエゴイズムを克服できるか】

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 先日、家族で映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』を鑑賞してきました。

『ズートピア』と制作スタッフが同じということで、今回もやはり「エゴイズム」が主題のうちの一つとなっている映画でした。

 

 物語は、「ヴァネロペは自己実現できるか」「ラルフは自分の抱えるエゴイズムを克服できるか」という二つのテーマが交差しながら進みます。

 

<以下、ネタバレあり>

 

1.ヴァネロペは自己実現できるか

 ヴァネロペは作中ゲーム「シュガー・ラッシュ」の主人公です。

 彼女がそのゲームの中でレースをするのは、ゲーム制作者によって決められたものであり、定められた運命です。

 

 しかし、彼女はお菓子の国で日々繰り返されるレースに疑問を抱き始めます。

 決して悪いわけではない。

 しかし、何かが物足りない。

 

 そこで、彼女はネットで偶然出会った作中ゲーム「スローター・レース」の荒廃した世界観、その荒々しいレーシングに心を惹かれます。

 

 彼女は悩みます。

 決められたコースを走る「シュガー・ラッシュ」か、そもそもコースすら存在しない自由な「スローター・レース」か、そのどちらに行くべきかを自問します。

 

 私たちの世界でも、親からの期待やジェンダーロール等、様々な「他者から期待される役割」があります。

 曰く、「お姉ちゃんなんだから」「家業を継ぎなさい」「男であれば」「女らしく」等々。

 

 つまり、今回の物語において、「シュガー・ラッシュ」のゲームが、「他者から期待される役割」のメタファーとなっているのです。

 

 登場するプリンセスたちも、綺麗なドレス=「他者から期待される役割」を脱ぎ捨て、ジーパンやTシャツといったプリンセスらしくない極めてラフな格好になり、それを楽しんでいましたね。 

 

「シュガー・ラッシュ」というゲームの中で、与えられた役割を甘受しながら生きるのか。

 あるいは、外の世界=オンラインへと飛び出し、他者から期待される役割を脱ぎ捨て、自己実現をしていくのか。

 

 これは、ヴァネロペの自己実現の物語なのです。

2.ラルフはエゴイズムを克服できるか

 ラルフにとってヴァネロペは大親友であり、前回の物語から6年間、ずっと一緒に過ごしてきました。

 そのため、ヴァネロペが自己実現をすべく「スローター・レース」に行こうとしていることが分かると、ずっと一緒にはいられなくなってしまうため、何とかそれを邪魔できないかと画策します。

 

 なんだか毒親のようでもあり、束縛の激しい恋人のようでもありますね。

 互いに信頼し合い、楽しいからこそ一緒にいたはずなのに、いつの間にか一緒にいること自体が目的化しています。

 

 今作のラルフは、いわば前述した「他者に特定の役割を期待する」存在となるわけです。

 しかも顕著なことに、終盤では、そんなラルフのエゴイズムが顕在した怪物が登場します。

 

 しかし、ここでうまいなあと思うのは、そんな怪物をウイルスバスターで倒すわけではなく、ラルフとの対話により消滅させる点です。

 ラルフがエゴイズムと向き合い、それを克服できたからこそ、怪物は光となって消えたわけです。

 

 エピローグでは、ラルフが読書会等に参加するシーンが挟まれました。

 それまでのラルフにとっての自己実現とは、「ヴァネロペのヒーロー」であること、つまりヴァネロペに著しく依存するものだったので、このままじゃいけないと、新しい世界に飛び込んだのでしょう。

 

 印象的だったのは、エンディング直前、ラルフがヴァネロペとの通話を終えたシーンです。

 幸福に満ち溢れているとは言えないまでも、決して寂しさに打ちひしがれているわけでもない、どこかすっきりしたような、何かを受け入れたような様子。

 そんなラルフを、外からの光が優しく包み込むように照らしているところが、またいい演出でした。

 

3.おわりに

 今作は、他人に特定の役割を期待しがちな人々や社会に対する警句であり(大げさ)、他者から期待される役割など脱ぎ捨て、自分のやりたいように自己実現すればいいんだよという熱いエールの込められた物語でした。

 

 もっとも、個人的には、前作『シュガー・ラッシュ』、あるいは同スタッフの映画『ズートピア』があまりにも衝撃的すぎたため、それと比べると衝撃は少なかったかもしれません。

 

 また、『ズートピア』は、差別意識というセンシティブなテーマを説教臭くせず見事なエンターテインメントにまとめあげていましたが、今作はやや説教臭さが残ってしまったようにも思います。

 

 しかしこのように感じるのは、『シュガー・ラッシュ』『ズートピア』があまりにも面白く、ハードルをスカイツリーレベルに高く設定してしまったからかもしれません。

 

(シュガーラッシュとズートピアの共通点についての考察は次の記事で読めます)

 

kirinnekokun.hatenadiary.jp

 

 随所に挟まれる小ネタには笑いましたし(ザンギエフがムダ毛処理をしているというヴァネロペの考察には感嘆せざるを得ない)、面白い映画であることには変わりなかったので、またDVDになったらゆっくり見返したいです。

 

 もし『シュガーラッシュ・オンライン3』があれば、絶対見ます。