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ハイスコアガール 押切蓮介 1~10巻 感想レビュー 燃えたぎる心をぶつけろ【アニメ化 名作ゲーム漫画】

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 押切蓮介の名作熱血ゲーム漫画『ハイスコアガール』がついに完結しました。

 過去にはアニメ化の話も進んでいましたが、著作権上のトラブルから座礁に乗り上げました。

 しかしその後、再びアニメ化(2018年7月~9月)。

 さらに、人気を博した同作は、アニメ2期の話が決定しました。(予定2019年10月~)

 

 この記事は、押切蓮介の『ハイスコアガール』の魅力について簡単にまとめたものです。ネタバレなしです。

 

 

1.とにかくすごい!ゲームへの圧倒的熱量

 ハイスコアガールは『ストリートファイターII』を主軸に置いた、1990年代以降のゲーセンを舞台にした熱血青春ゲームコミックスです。

 

 作者・押切蓮介のゲームに対する深い知識と情熱がいかんなく発揮される本作。

 しかも、それらが演出として素晴らしい効果を発揮しており、『ストリートファイターII』などをあまり知らなくても胸を熱くすること請け合いです。

 

 実際、私もゲーセン文化や『ストリートファイターII』は詳しくありませんでしたが、そんなライト層でも非常に楽しく読むことができました。

 

2.ん?メインヒロインが喋らない?

 しかもこの作品の面白いところは、メインヒロインである大野晶がまったく喋らないという点です。文字通り、一切の言葉を発しません。喋れないから筆談をする、ということもありません。

 

 あるのはただ、ジェスチャーや感情の発露だけです。

 

 別に障害があって喋れない…というような設定があるわけではなく、ある種の演出としてまったく喋らないように描かれているだけであり、描写されていないところではきちんと喋っていることがうかがえます。

(例:ハルオの母に誘われ、「おげれつしりとり」をしていたということが語られる。ただし、実際のそのシーンは描かれない)

 

 メインヒロインが言葉を発しない演出って、どういうことだ?

 しかも、筆談もなし?

 

 頭に疑問符が浮かんでいる方もいるでしょう。

 しかし、それこそがこのハイスコアガールという作品の類まれなる点であり、心をぎゅっと掴む魅力的な点でもあります。

 

  たとえ言葉や文字がなかったとしても、そのキャラクターの魅力を描きだすには絵さえあれば十分に表現できることを押切蓮介は身をもって証明しました。

 漫画という表現の可能性の奥深さにあらためて気づかされる珠玉の作品です。

 

※余談ですが、ハイスコアガールを読んでいると、喜劇王・チャップリンの無声(サイレント)映画をなんとなく思い出しました。

 

 無声映画とは、その名の通り、登場する俳優が皆、声を発しない映画です。

 19世紀後半に映画が発明されてから、発声映画(トーキー)が登場するまでのおよそ40年間、上映されていた映画はすべて無声映画でした。

 

 声がないのに面白いのか? と視聴するまでは半信半疑でしたが、いざ視聴してみるとこれが面白いのなんの。

 卓越した表現技法と痛烈なまでに愉快なチャップリンの映画には、たちまち視線を縫い付けられました。

 

 ハイスコアガールも確かにメインヒロインは「無声」ではありますが、だからといって魅力を感じられないということは決してなく、むしろ魅力たっぷりに描かれています。多用される「喋らないからこそ」の表現が何ともいえず心を掴まれるのです。

 

3.まとめ

 というわけで、この記事をまとめると下記の通りです。

  • アニメの2期も決定したハイスコアガールの原作漫画が完結
  • 本作の魅力はゲームへの燃えたぎる想いを熱い物語へと昇華させている点
  • 「喋らないヒロイン」大野晶を魅力たっぷりに描く卓越した表現がすごい

 

 以上、ハイスコアガールはめちゃくちゃ面白い熱血青春ゲーム漫画ですよ、という話でした。