金色の昼下がり

プリキュアについて割と全力で考察するブログ

スタートゥインクルプリキュア 27話 感想 全力考察 ユニの変化は個性のひとつ(前編)【スタプリ】

 スタプリ27話、アイワーンちゃんのぐちゃぐちゃな感情の込められた台詞に、感情をぐちゃぐちゃにされた方も少なくないのではないでしょうか。

 私はもうぐちゃぐちゃです。

 

 この記事はスター☆トゥインクルプリキュア27話の感想考察をしたものです。27話のネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。

 

 ※記事が長くなったので、27話の考察は前編と後編で2分割しています。

後編の考察はこちらから

 

 

 

プルンスの浮気者?マオの出番はあるのか問題

ヤンヤン

プルンス

出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第27話(C)ABC-A・東映アニメーション

 

 前回、プルンスタードーナツを褒めてもらって顔を赤らめていたプルンスですが、今回はまるで隠す気もなくヤンヤンさんに惜しみない愛情を見せています。

 

 プルンス! マオたんはどうしたの!

 

 といいたくなるところですが、それはさておき、最近はマオの出番自体が少ないんですよね。

 マオが登場したのは、15話(初登場)、17話(プルンスに高級ロープになるようお願いするために変化)、23話(コピーフワから注意を逸らすために変化)です。

 

 印象深いのは17話、いわばプルンスの心を利用するためにユニはマオに変化するわけですが、17話以降はそういったやり取りが行われることはありませんでした。

 

プルユニ

出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第17話(C)ABC-A・東映アニメーション

 

 というより、ユニは17話のような真似をおそらく今後もしないでしょう。

 

 なぜなら、ユニは変わってしまったからです。

 ひかるさんたちと出会い、目的のためなら何だってしていた頃とはもう違います。

 目的のためとはいえ、人の心を利用したり騙したりすることは罪なのだという自覚が、確実に大きくなっているからです。

 

 とすると、今後マオの出番が訪れることがあるとすれば、それはアイドルとして誰かを元気づけたり、人の心を愚弄しない場合に限定されるのだと思います。

 

 ただ、ひとつ気になっているのは、マオという偶像の扱い方です。

 マオはユニの変化をした姿です。もしユニが今後、普段から素の姿で過ごすようになったら…つまり、周囲がレインボー星人の存在を受容し、ユニ自身も自分の姿を「人前で見せても大丈夫」だと認めた場合、ユニはマオに変化をすることがあるのでしょうか?

 

 個人的には、偶像としてのマオが消えることはないんじゃないかな、と思っています。

 

 それは今回、マオなどの変化した姿がポジティブな存在だということがはっきりと示されたからです。であるなら、仮にユニがみんなの前で素の姿を見せるようになったとしても、それと引き換えマオの姿を捨てることはないように思うのです。

 

 詳しい理由については後述します。

 

雑感:スタプリの人魚バンク 

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第27話(C)ABC-A・東映アニメーション

 

 人魚バンク、かわいかったですね。

 みんなかわいいな~とぼんやり見てたんですが、最後の方のえれなさんのウインクに持っていかれました。えれなさん、カメラ目線すぎません???

 

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第27話(C)ABC-A・東映アニメーション

 

リップサービスが(すごい)

 

 あと、ララの触覚挨拶も見ていて和みました。

 

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第27話(C)ABC-A・東映アニメーション

 

 またひかるさんと触覚挨拶してくれないかな、今度はえれなさんやまどかさん、ユニともしてくれないかな、というそんな邪心が最近また芽生えています。

 

ユニの心の変遷

出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第27話(C)ABC-A・東映アニメーション

 

 26話のパジャマパーティ回では、ユニはみんなの前でごく普通に笑顔を見せ、みんなと一緒に「えいえいおー!」をするシーンがありました。

 

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第26話(C)ABC-A・東映アニメーション

 

 ところが今回、みんなで「えいえいおー!」をする際、ユニだけは手を挙げていません。

 

 このことは、ユニの心がみんなに近付いてはいるものの、まだ少し揺れ動いていることを示しているようです。

 実際、この後のシーンでも、ユニの心がまだ揺れ動いていることがわかる場面がありました。

 

 次のカットをご覧ください。

 

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第27話(C)ABC-A・東映アニメーション

 

 ひかるさんから と声をかけられて笑顔を浮かべるものの、すぐにいつものクールな顔になり、目をそむけてしまいます。

 ここまでは、お祭り回のときのユニと同様です。

 金魚すくいを楽しんだものの、仲間のことを思い出して「帰る」といい出したあのときと同じです。

 

 しかし、みんなで花火を見て、みんなでパジャマパーティをして、みんなのことを前よりも深く知ったユニの心境には変化が訪れます。

 一度はそむけた視線を元に戻し、穏やかな、とても穏やかな笑顔を浮かべるのです。

 

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第27話(C)ABC-A・東映アニメーション

 

 極めつけは次のカットです。

 新しい世界をみんなで知ったことにより、ひかるさんたちの心には、またひとつ輝かしいものが増えたことが表現されています。

 

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第27話(C)ABC-A・東映アニメーション

 

 上記の美しいカットは、明らかに26話のひかるさんの台詞を意識したもので、一話一話を丁寧に積み重ねていくスタプリの構成力には舌を巻いてしまいます。

 

出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第26話(C)ABC-A・東映アニメーション

「ひとりでいるのも楽しいけど、みんなとこうしているのもすっごく楽しいんだって。みんなで新しい世界を知ったりとかさ、とっても、とーっても、キラやば~なんだよね!」

 

  スタプリ26話、パジャマパーティ回はほのぼの回に見せかけた神回で、重要なターニングポイントとなる回でした。

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スタプリ:落ち方の変遷

  今回も盛大な落ち方をしていたプリキュアの5人ですが、その落ち方にちょっとした変化がありました。

 

 まずは今回の落ち方を確認してみましょう。

 

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第27話(C)ABC-A・東映アニメーション


 たとえ落ちるときでもおしとやかにスカートを押さえながら落ちるまどかさんは本当にまどかさんらしいですね。

 しかし、そんなまどかさんも、頭から落ちていることには変わりありませんし、他の4人に至っては4人とも同じような姿勢で頭から突っ込んでいます。

 

 おや? と思ったのは私だけではないはずです。 

 ここで、スタプリ17話のカットを見返してみましょう。

 ドラムス邸の落とし穴にはまり、みんなで仲良く下に落ちたときのカットです。

 

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第17話(C)ABC-A・東映アニメーション

 

落ち方が…変わってる…!

 

 みんなひかるさんの落ち方に感化されたのかもしれませんね。

 

ユニの変化能力は個性のひとつ

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第27話(C)ABC-A・東映アニメーション

キュアコスモ「たとえどんな姿に変わろうとも、わたしはわたし」

 

 ユニは今回、どの姿も「わたし」であると明言しました。

 同時に、「変化することは素敵なこと」なのだと、ひかるさんは主張しています。

 

 これまでの作中描写では、ユニは自身の変化について下記の通り考えていたことが分かります。

  • 素の自分(獣姿)=迫害されてきた姿=人には見せたくない本当の自分
  • 変化した姿=仲間を救うための手段としての姿=素の自分を隠すための仮の自分

 

 環境によって強いられていた「仮初の自分」を否定し、抑圧されていた「本当の自分」を解放させることを主題とした作品は、昨今では珍しいものではありません。

(2014年に一世を風靡した映画『アナと雪の女王』はその筆頭でしょう)

 

 ただし、スタプリにおけるユニをその図式に当てはめると、どうしても齟齬が生まれてしまいます。

 なぜなら、環境(レインボー星人は気味悪がられる)によって「仮初の自分」(ブルーキャット、マオなどの姿)でいることを強いられていたと考えると、ユニの変化能力がネガティブなものになってしまうからです。

 

 しかし、今回のスタプリ27話では、ユニの変化がネガティブなものではなく、むしろポジティブなものであることが明示されています。

 

 つまるところ、ユニの変化はレインボー星人にとっての「個性」なのです。

 それを否定することは、スタプリがテーマとする「多様性」を否定することにつながりかねません。一見すると逆説的ですが、ユニにとっては「変化すること」自体が「ありのままの自分」でもあるわけです。

 

 特に今回、ひかるさんの口から「変わることは楽しいこと」だという発言もあったとおり、ユニの変化は本来「楽しいもの」であるはずです。

 

 そういうわけで、もしユニの素の姿が受容されるようになったとしても、マオや地球人型のユニのような変化後の姿が封印されるわけではないと思うのです。

 アイドルとして立ったステージで、様々な姿に変化するというパフォーマンスを取り入れたりしているかも…? というのは私の妄想です。

 

 ユニのどの姿もユニ自身であることについては、キュアコスモの変身バンクからもうかがえます。キュアコスモの変身バンクの考察です。

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ユニの変化は何の暗喩なのか?

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出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第27話(C)ABC-A・東映アニメーション

アイワーン 「いい気味だっつーの。バケニャーン、マオ、ブルーキャット、地球人、おまけに今度はプリキュアかっつーの。ころころ変わりやがって。お前はそうやって姿を変えて、みんなを騙してんだっつーの!

 

 では、なぜ5人目の追加戦士であるユニは、このような変化能力を有しているのでしょうか?

 言い方を変えれば、なぜスタプリでは変化能力を持つキャラクターが登場しなければならなかったのでしょうか?

 ユニというキャラクターの持つ目的、その存在の意図は何なのでしょうか?

 ユニの変化は何を暗喩しているのでしょうか?

 

 2019年現在、プリキュアのメインターゲットは3~6歳の子どもです。その年齢の子どもたちに、「変化することは素敵なことなんだ」と伝える意味を考えたとき、次の二つの視点があると考えます。

 

  1. 子どもが成長し心も体も変化してゆくことに対しての肯定(幼児期)
  2. 子どもがアイデンティティの課題と向き合ったときの足掛かり(思春期/青年期)

 

①幼児期における成長の暗喩

 幼児期における子どもは凄まじい速さで変わりゆく存在です。

 日に日に成長し、心も体もどんどん変わっていきます。

 つまりこの場合、変化は幼児期における子どもたちの「心と体の成長」を暗喩しているわけです。

 

 作中においても、「ヘンシンジュ」には蝶のマークがついています。

 蝶といえば、イモムシからサナギになり、サナギから蝶になる、まさに「成長」のモチーフのような生物です。

 

出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第27話(C)ABC-A・東映アニメーション

キュアスター「違う! 変わることは悪いことじゃない。楽しいことだよ! 変わることで、新しい自分を知ることができるから。それに、コスモは変わってないよ。自分の故郷を、惑星レインボーを救いたいっていう気持ち、それは一度だって、変わったことはない!」

 

 心と体が成長していく子どもたちに、自分が昔の自分ではなくなっていき、新しい自分に変わっていくことに対して、「変わることは楽しいこと」「変わることで新しい自分を知ることができる」というメッセージを発しているのではないでしょうか。

 

②思春期に直面する課題の暗喩

 ユニは変化能力を有する異星人ですが、私たち地球人もまた、似たような能力を持っています。

 

 つまり、「演技」という能力です。

 

 私たちは普段誰かと接するとき、何かしらの「役割」を演じています。家族や恋人と過ごすとき、職場の上司や部下と過ごすとき、気心の知れた友達や初対面の人と過ごすとき……様々な場面で、私たちは口調や振舞い方を変え、自らの社会的な役割を使い分けています。

 

 さて、こうした様々な役割を演じながら、特に思春期のころなどに「これは本当の自分ではない」「本当の自分とは何なのか」といったアイデンティティ(自己同一性)の課題と向き合っていた方は少なくないかと思います。

 

 ユニもまた、同じように自身のアイデンティティの問題と向き合っていました。

 つまり、ユニの変化は「役割を演じること」を暗喩しているともいえるのではないでしょうか。

 

 今回、ユニはひかるさんたちとの出会いを経て、姿形を変えても核となる想いは変わらないのだという気付きを得ました。

  

 幼児期にスタプリを見ていた子どもたちが、やがてそうした年頃になったとき。

 そんなときに、同じように「本当の自分とは何か」という課題に向き合っていたユニのことを思い出し、そこから何か気付きを得ることがあれば、それはとても素敵なことだと思うのです。

 

 今はまだよく分からなくても、大きくなったときにふと思い出すかもしれない、そんなメッセージをスタプリは子どもたちに届けようとしているのではないでしょうか。

 

※エリクソンの提唱する心理社会的発達理論において、アイデンティティを確立していくのは青年期(思春期)における心理的課題とされています。

 

参考リンク

西村輝雄 子どもの発達と発達課題

  

ひかるの想像力の向かう先

出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第27話(C)ABC-A・東映アニメーション

 

 逃げ去っていくアイワーンを見届けながら、ユニは浮かない表情を浮かべます。

 この描写からは、ユニがアイワーンを騙したことに対して罪の意識を覚えていることが分かります。

 

 また、ひかるさんはユニに視線を向けて、心配そうに眉をひそめているのが分かります。ユニが罪の意識を覚えていることに気付いているわけです。

 なぜひかるさんがユニの気持ちに気付けたかというと、ひかるさんはユニのことを知っているからです。ユニと一緒の時間を過ごしてきたからこそ、ユニの心を的確に想像でき、ユニがアイワーンに対して罪の意識を覚えていることに気付くことができるのです。

 

 さて、今回ユニ以外のメンバーがアイワーンに対して同情的な視点を持っていなかったのは、おそらく意図的なものです。アイワーンのことを知らないはずの4人が、アイワーンの抱える複雑な悲しみを想像できるはずがないからです。

 

 根拠なき想像は妄想に過ぎません。

 人の心を想像するためには、その人のことを知る必要があるのです。

 

 今後、ひかるさんたちはアイワーンたちノットレイダーのことを少しずつ知っていくことでしょう。彼らのことを知り、その心を想像できるようになったとき、メンバーたちがノットレイダーに向ける感情の形は、これまでとは一変したものになるはずです。

 

仲間を救う為なら何だってする?(しない)

 当初のユニは、仲間を救うためなら何だってするといい、実際にバケニャーンとなってアイワーンを騙したり、ブルーキャットとなって人々から惑星レインボーの宝を奪い返したり、自分を助けたプリキュアからペンやフワを奪ったりしていました。

 

 しかし、そんなユニは、ひかるさんたちと出会ったことで「仲間を救うためであっても躊躇する」ことが少しずつ増えてきています。

 今回、ユニがアイワーンの悲しみに気付き、罪悪感を覚えたことも、ひかるさんたちと出会ったからこその心境の変化でしょう。

 

 変わったことで、新しい自分を知ったユニ。

 新しい自分を知ったことで、アイワーンの悲しみを知ったユニ。

 アイワーンの悲しみを知ったユニは、今後どのように変わっていくのでしょうか?

 

 物語は折り返し地点を過ぎました。

 この二人がどういう決着をつけるのか、私は楽しみでしかたありません。

 

スタプリ27話の感想考察まとめ(前編)

  • 今後もマオの出番はないわけではないという予想
  • 人魚バンクが(かわいい)
  • ユニの心の変遷が見て取れて(尊い)
  • ユニの変化能力は個性のひとつ
  • ユニの変化能力は幼児期の成長と青年期の課題の暗喩となっている説
  • ひかるはユニが罪悪感を覚えていることに気付いている

 

 前回のスタプリ26話の感想考察です。

 パジャマパーティ回、みんなかわいいだけではなくて色々な示唆にも富んでいる非常に泣ける回でした。

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 オリーフィオは何者なのかについて3つの仮説を立てて検討した考察です。

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 今回も記事が長くなったので2分割しています。

 後編の記事はまた明日…いえ、日付が既に変わっているので、今日にアップする予定です。内容としては、アイワーンちゃんづくしの記事になりそうな感じです(苦笑)

 

→書きました(2019年8月15日)

 スタプリ27話の感想考察(後編)です。

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 以上、スター☆トゥインクルプリキュア27話の感想考察(前編)でした。

 

※スタプリのコミックスが発売されました。(2019年8月9日)

 最高でした。ひかララがひかララで最高にひかララでしたし、ユニも猫っぽさ前回で超絶かわいかったです。本当にありがとうございました。

 

※過去のスタプリの感想、考察記事については、このページのいちばん下にある「プリキュア考察」のボタンか(スマホ版)、いちばん上の「プリキュア感想考察」のボタン(PC版)から移動できます。