スタプリ26話の感想考察(後編)です。
26話のネタバレがありますので、未視聴の方はご注意ください。
- ユニの尻尾はゆらゆら動く
- ララの抱えるコンプレックスの正体
- あまりにも、スタプリらしい名台詞
- ひかララ、えれまど、ララユニ…
- ユニが自らペンを求める時
- カッパードの武器のイマイチ率の高さ
- バーニアって何?
- スタプリ26話の感想考察まとめ(後編)
ユニの尻尾はゆらゆら動く
みんなが自分や家族のことを話していたとき、ふと、えれなさんがユニに謝ります。要するに、仲間(家族)を石化されたユニに対してトラウマを思い起こさせたのではないか、話に入って来づらいのではないかと心配したわけですが、このあたりの心配りはさすがえれなさんという感じです。
さて、当のユニはちょっとつれない態度を示します。
家族的存在であるオリーフィオたちのことについて、ユニは話すつもりはないようで、「よくそんなふうにベラベラ話すわね」と一歩引いています。
この発言を聞く限りだと、ユニはみんなのことについて興味がないようにも聞こえますが、ここで注目していただきたいのは別にあります。
ユニの尻尾です。
ユニは座りながら、左右にゆっくり尻尾を振っています。
猫がこのように尻尾を振るのは、リラックスしているときのサインだといわれています。
参考リンク
つまり、ユニは表面上は呆れたような態度を取っているものの、決して負の感情を抱いているわけではなく、むしろリラックスした気持ちになっているわけです。
ユニがちゃんとみんなの会話に入っていることは、別のカットからもうかがい知ることができます。
ひかる「わたしさ、初めてなんだよね。パジャマパーティどころかさ、友達とお泊りするの」
ひかるさんが友達とお泊りするのは初めてだと打ち明けるシーン。
続くようにして、えれなさんとまどかさんも応えます。
えれな「わたしも。家のことがあるとね」
まどか「わたくしも。学校行事ではありますが」
このとき、ひかるさんとえれなさん、まどかさんの3人は「お泊りが初めて」だと語り、3人の表情を無言のララがうかがいます。
ユニはみんなとは少し離れたところに座っているのですが、だからといって話に加わっていないわけではありません。
その証拠に、次のカットでは、ユニの表情がアップされます。
みんなの話を聞きながら、物思いにふけるような表情を浮かべるユニ。
もしかすると、ユニもまた、友達とお泊りというのは初めての経験だったのではないでしょうか。
仮に惑星レインボーの仲間たちがみんなひとつの家族であるなら、ユニにとって初めてだったのは「お泊り」どころか、「友達」そのものが初めてだった…ともいえるかもしれません。
ララの抱えるコンプレックスの正体
ララがこれまで「大人」であることに拘ってきたのは、しっかり者の家族と自分とを比較してコンプレックスを抱いていたことの裏返しであることが判明しました。
特に双子の兄であるロロの存在は大きかったことでしょう。
双子であるがゆえに、幼い頃より比較されることも多かったはずで、ともすればララは周囲から「ララ」としてではなく「ロロの妹」として見られがちで、悲しい思いをしてきたのかもしれません。
ララがこれまで家族の話をしなかったのは、そうした自分のコンプレックスを隠したかったという面もあると考えられます。
さて、そんなララのことを登場キャラクターの中でもトップクラスに「しっかり」しているひかる祖父・春吉さんが認めたという点には、ただただ感涙でした。
実際、スタプリ22話でのララは大人でした。
22話を単話として見たとき、もっともしっかりしていたのはララであるといっても過言ではありません。
このときの春吉さんは、自らの希望と相反する現状に苛立ちと葛藤を覚えており、端的にいえば「らしくない」姿を見せていました。そんな春吉さんに、ララは臆することなく話しかけます。そして、春吉さんの抱える矛盾と星奈家の現状について、冷静に指摘するのです。
1話から21話にかけてひかるさんたちと様々な経験をしてきたララは、14歳の誕生日に単に歳を取っただけではなく、心も成長していることが示されていました。
見方を変えれば、ララとひかるさんが出会った結果、ひかるさんのお泊まり旅行は認められたわけで、スタプリはこうした人と人との出会いによる相互作用を実に見事に描いているなあ…と思うのです。
春吉さんが尊かった22話の考察です。
あまりにも、スタプリらしい名台詞
ひかる「わたしさ、友達と遊ぶよりひとりで天文台行ったりする方が楽しかったから。星座とか宇宙人とかUMAを調べてる方がさ。でも分かったんだ。ひとりでいるのも楽しいけど、みんなとこうしているのもすっごく楽しいんだって。みんなで新しい世界を知ったりとかさ、とっても、とーっても、キラやば~なんだよね!」
ひかるさんがこの台詞を言っている最中、それまで暗闇だった世界に目が眩むような光が降り注ぎます。
これは、ひかるさんがみんなと出会ったことで「キラやば~」なものを得たことが視覚的に表現されていて、とてもとても素敵な演出でした。
そしてもう一点、注目すべき個所は、「ひとりでいるのも楽しいけど」という台詞です。このとき、ひかるさんは「ひとりよりもみんなでいる方が楽しい」とはいいません。「ひとりでいるのも楽しい」ということを、肯定しているのです。
これは何も、今回に限った話ではありません。
たとえば、スタプリ16話の弓道大会において、まどかさんのライバルである那須さんはひとりで頑張ってきた猛者でした。
那須さんは最終的には負けてしまったものの、彼女がひとりで頑張ってきたこと自体については否定的に描かれていません。
むしろ、ひとりで頑張ってきた那須さんに対して、まどかさんは敬意をこめて握手を求めます。
ひとりでいることは、みんなでいることよりも劣っているの?
その問い対して、決してそんなことはないんだよ、とスタプリは子どもたちに示しているのです。
そしてもちろん、この言葉に勇気をもらったのは、何も幼い子どもだけではないでしょう。もう幼いとはいえない年齢に達している視聴者の皆さんにとっても、この台詞が胸に刺さったという方は少なくないのではないでしょうか。
ところで、星奈ひかるさんが想像力の豊かなキャラクターとして描かれているのは改めて説明するまでもないことですが、今回、そんなひかるさんにも想像できなかったことがあったと、自身の口から語られます。
それは、奇想天外なことでもなければ、摩訶不思議なことでもありません。
ひかる「こうしてさ、パジャマで皆とおしゃべりだなんて、皆に会う前、ちょっと前の自分からじゃ想像できなかったよ」
…泣いちゃう。
ひかララ、えれまど、ララユニ…
パジャマパーティで親密度をさらに上昇させたスタプリのメンバーは、その仲の深さを戦闘シーンでもいかんなく発揮…もとい、見せびらかします。
ひかララ…!
えれまど…!!
ララユニ…!!!
ひかララが抱きしめ合っているだけでも呼吸困難に陥ったというのに、えれまどが手の指を絡ませてるわ、ララユニに至っては同じように手を握るだけでなく足の裏まで合わせているわで、あまりの尊さに息の根が止まるかと思いました。
ところで、今回は宇宙空間での戦闘、そのお相手はみんな大好きカッパ―ドさんでした。
宇宙空間でカッパードさんと戦うのは、実に25話ぶり、つまるところスタプリの1話以来です。
26話がカッパードさんと宇宙空間で戦う回になったのは、おそらく1話を意識してのことだと思われます。スタプリ1話と26話は対になっているわけです。
スタプリ1話のとき、カッパードさんと戦ったのはひかるさんただひとりだけでした。
しかし、それから25話の時を経て、ララやえれなさん、まどかさんと交友を深め、そしてユニも仲間に加わりました。
もう、ひかるさんはひとりではありません。
周囲には、信頼している、大好きな仲間たちがいるのです。
26話で、1話と同じ舞台を用意し、同じカッパードさんを敵として登場させたのは、物語がひとつの折り返し地点に来ていることを示しているのです。
ユニが自らペンを求める時
今回はスタプリにとって初めてのことがいくつかありましたが、なかでも私が好きだったのは、ユニが自らキュアスターにスターカラーペンを求めたことです。
スタプリ21話では、キュアスターがユニにペンを渡すシーンが劇的に描かれていました。ユニはペンを盗んできた怪盗であり、助けた恩を仇で返す裏切者だったにもかかわらず、それでもなお、ひかるさんはユニのことを信じてペンを渡した感動のシーンです。
その後の22話では、ユニは勝手にララのペンを拝借しました。
そして23話ではえれなさんから、24話ではまどかさんからペンを渡されました。
このことからわかるとおり、ユニが自らペンを貸して欲しいと頼んだのは、今回の話が初めてだったのです。
また、ユニの発した言葉が「スター!」という掛け声だけだったという点がこのうえもなく素敵でした。
ユニは「ペンを貸して!」といったわけではありません。
ただ、「スター!」といっただけです。
しかし、その一言だけで、ユニが何を求めているのか、キュアスターは確信をもって応えるわけです。
まさしく、以心伝心。
このシーンを見たとき、私は「以心伝心がうまくいかなかったあの回」を想起しました。
それは、スタプリ17話です。
このとき、ユニは「プルンス!」と声をかけますが(おそらく「高級ロープ」になってほしくて)、当のプルンスは「えっ?」と何のことやら分からずまったく反応できません。
今回、ユニが「スター!」と呼び、それにひかるさんが呼応したことは、ユニと皆の間で信頼関係が芽生えている何よりの証拠なのです。
ただ、ユニはいまだにひかるさんたちのことを名前では呼んでいません。
プリキュア名を呼ぶことはありますし、フワとプルンスのことは名前で呼んでいますが、「ひかる」「ララ」「えれな」「まどか」といったように、みんなのことを名前で呼んでいるシーンはないのです(私の確認漏れだったらすみません、ご指摘ください)
また、ユニは家族(オリーフィオたち)のことを話そうとしないこと、5人での必殺技がまだないことなどを考慮すると、ユニとみんなのあいだにはまだ「見えない壁」が残っているのだという考え方もできるでしょう。
カッパードの武器のイマイチ率の高さ
カッパード「ええい! 武器がイマイチ! イマジネーションの歪みが弱かったか!」
記録更新です。
カッパードさんの武器のイマイチ率は、現時点で驚きの75%となっています。
武器がよかったのはカルノリ君のときの1回だけという不遇さです(スタプリ13話)
何でこんなにカッパードさんの武器はイマイチなのか、ここまで来るとさすがにかわいそうになってきますが、物語上の意図としてはどのようなものがあるのでしょうか?
ひとつ考えられるのは、ギャップを作りたいという意図です。
スタプリ13話以来、カッパードさんの武器はイマイチな状態が続いている状況です。
しかし、次にもし武器の出来が良いものになったとすれば、メンバーたちは苦戦を強いられることになるでしょう。
そのときのカッパードさんの強さ(対象者のイマジネーションの歪み具合)をより印象付けられるように、ここのところはあえてイマイチな武器で登場させていた…のかもしれません。
カッパードさんの過去の武器についてまとめています。
バーニアって何?
AI「システムの88%が機能停止。特にバーニアの破損は極めて深刻です」
バーニアの破損、とAIはいいましたが、バーニアって何なのでしょうか?
知らなくても物語を楽しむうえではそれほど困らないのですが、「自分の知らないことを知るのってキラやばだよね」というひかるさんの声が聞こえてきたので、調べてみました。
端的にいうと、バーニアというのは、宇宙船の姿勢制御のために用いられる装置のことを指しているようです。
バーニアの破損が極めて深刻であるということは、ロケットの姿勢制御ができないということであり、とても使える状態ではなさそうです。
参考リンク
- シャトルの構造(宇宙航空研究開発機構、JAXA:バーニアエンジンについて、『姿勢制御エンジン』と紹介されています)
- REACTION CONTROL SYSTEM(NASA:バーニアスラスタについて、『Normally, the vernier thrusters are selected for on-orbit attitude hold.』と紹介されています)
スタプリ26話の感想考察まとめ(後編)
- フードをかぶったアイワーンが胸に刺さる
- ユニの尻尾がゆらゆら動いていた理由
- ララの抱えるコンプレックスの正体
- みんなもいいけど1人も良い
- ユニが自らペンを求めたのが印象的
- パジャマパーティは尊い
- バーニアはロケットの姿勢制御エンジン
スタプリ26話の考察感想(前編)です。
えれなさんの怖がってる顔ループに入ってしまいしばらく出られませんでした(かわいい)
ドラムス君も好きなんですが、また登場しないのでしょうか。
ドラムス君がいかに頭の良い人間であるかについて考察しています。
www.konjikiblog.com
ところで、OPではアイワーンちゃんが黄色いフードを被っていましたね。
もともとアウトサイダーだったからこそノットレイダーに加入していたはずなのに、そのノットレイダーにおいてもアウトサイダーとなってしまい、もはや居場所がどこにもなくなっているかもしれず、見ていて非常にしんどいものがあります(性癖に刺さるという意味でも)
しかし、居場所を完全に失うというのは、アイワーンちゃん自身がユニに対して行ったことのしっぺ返しでもあります。そして皮肉なことに、居場所のないアイワーンちゃんの苦しみをもっとも「想像」できるのは他ならぬユニです。
なので、アイワーンちゃんを救うのは、やっぱりユニじゃないかなと思っています。
そして次回予告、ついにアイワーンちゃんが登場するようですね!
想像するだけで胸の高鳴りが止まらず、正直生きた心地がしませんが、とてつもなく楽しみです。
以上、スター☆トゥインクルプリキュア26話の感想考察(後編)でした。
長々と読んでいただきありがとうございました。
※スタプリのコミックスの発売日が近づいてきました(2019年8月9日)
とてつもなく尊いことで有名なプリキュアのコミックス。気が付けばいよいよもう発売ですね。楽しみです。