スタプリ26話、ほのぼの回と見せかけた神回であり、スタプリという作品がひとつのターニングポイントに来たことを示した素晴らしい回でしたね。そして何よりみんなかわいかった(プルンスを含めて)
この記事はスター☆トゥインクルプリキュア26話の感想や考察、妄想をしたものです。26話のネタバレを含みますので未視聴の方はご注意ください。
- OPにユニが加わる時:見えない壁のひとつが崩れる
- ユニの生き生きとした笑顔
- 子ども達の「なぜ?」を誤魔化さない
- パジャマ姿がかわいい
- えれなの「弱み」…というにはかわいすぎる
- 香久矢家の動向
- 天宮家の動向
- えれまどの類似点と相違点
- 26話の小ネタ集
- スタプリ26話の感想考察(前編)
OPにユニが加わる時:見えない壁のひとつが崩れる
ついに、このときが来ました。
スタプリ19~21話で立ち止まり、22~25話での対話を経て、ユニはひかるさんたちとの間にあった「見えない壁」のうちのひとつを壊しました。
その結果が、このOPの変化です。
特に前回のお祭り回は、ユニの本音、ララの成長、5人の繋がりが見事な演出によって描かれた素晴らしい回でした。
スタプリの秀逸な点は、ユニがみんなと信頼関係を築いていく過程において、「ユニ対みんな」や「ユニ対ひかる」だけの構造で物語をつくるのではなく、「ユニ対ひかる(19~21話)」「ユニ対えれな(23話)」「ユニ対まどか(24話)」「ユニ対ララ(25話)」という一対一の物語をそれぞれ丁寧につくったことです。
これらの丁寧な描写により、ユニが「プリキュアという集団」に迎えられたわけではなく、「メンバーひとりひとり」によって迎えられたことが明示されています。
また、最初にユニと結びつきを強めたのはひかるさん(メインの主人公)でしたが、ひかるさんがそうしたからみんなもそれに追従したというわけではありません。ひとりひとりが自らの意思でユニに歩み寄り、ユニもまたひとりひとりと対話したからこそ、メンバーの中にユニが加わったわけです。
26話におけるユニの表情は、これまでとはうってかわったものになっています。
たとえば、次のカットをご覧ください。
ユニの生き生きとした笑顔
みんなで惑星サマーンに行こう! という話になったときの表情です。
このカットからは、次の2つの尊いポイントが見出せます。
- ユニが本当の笑顔を浮かべていること
- ユニがみんなと同じポーズをしていること
ユニが初めて本当の笑顔を見せたのは、17話で惑星レインボーの宝を見たときです。しかし、これは「惑星レインボーに対しての笑顔」であり、「スタプリメンバーに対して見せたもの」ではありません。
それ以降もユニが本当の笑顔を見せるシーンはなかなかなく、あったとしても「歌いながらオリーフィオのことを思い出したとき(スタプリ24話)」など、惑星レインボー関係の笑顔が主でした。
ところが、19話~24話を経て、ついにユニはみんなと過ごす日常のなかで本当の笑顔を見せるようになったのです。ごく普通に。
また、ユニはみんな(ララを除く)と同じように拳を上げています。これは「みんなで一緒にやろう!」という意思が伴っていることの何よりの証拠です。
この2つの尊いポイントから、ユニとみんなの距離が以前よりもぐっと近づいていることがうかがえるわけです。
※ただ、ユニが4人に対していまだ一部距離を取っている描写があること、5人での必殺技がまだないことなどを考えると、ユニと4人のあいだにある「見えない壁」が完全に取り払われたわけではないといえるかもしれません。
ユニがこれまでみんなの輪に入ろうとしていなかった理由について考察しています。
子ども達の「なぜ?」を誤魔化さない
アブラハム監督「でも地球とサマーンは離れすぎだ、そう簡単にダウンロードできないはず」
ユニ「きっとロケットが星空界に行ったときに、多くのデータを蓄積してたニャン」
サマーンから発せられたメッセージデータについて説明する場面。
一連のシーンは、物語の進行上必ずしも必要なわけではなく、理由を説明せず「そういうものだ」ということにして省略することもできたでしょう。
しかし、スタプリはキッズアニメだからといってそういうディテールを省いたり誤魔化したりはしません。「すごく遠いはずのサマーンからメッセージを受信できるのはなぜ?」という疑問に対して、きちんと答えを明示しています。
子ども相手だからといって説明を誤魔化さないというスタンスは、スタプリED2『教えて…!トゥインクル☆』の「ニンゲンたちはどこからやってくるの?」「1+1の答えは2でいいの?」という歌詞が象徴している通りだなと思います。
とはいっても、プリキュアのメインターゲットは3~6歳であり、上記の説明ではよく分からない子もいることでしょう。そんな子どもたちの代弁者となるのが、まどかさんとえれなさんです。
えれな「あのさ、話に全然ついていけないんだけど」
まどか「はい、さっぱりです」
二人は「さっぱりよく分からない」という反応を示しています。
聡明な存在として描かれていたえれなさんとまどかさんに「分からない」といわせている点に注目してください。
二人が分からないということによって、理解できなかった子どもでも、「えれなさんとまどかさんでも分からないほど難しい話なんだな」ということが理解できるようになっています。
逆に理解できた子どもにとっては、「自分はえれなさんやまどかさんが分からないような難しいことが分かったぞ!」と嬉しい気持ちになれるわけです。
子どもたちに対して説明を誤魔化したり省略したりせず、テンポを崩さない適度な長さで疑問の解消を行う一連のシーンは、理解できた子もできなかった子も話を楽しめるようにもなっていて、「すごいなあ…」と感嘆してしまいます。
パジャマ姿がかわいい
スタプリメンバーのパジャマ姿、とにかくかわいかったですね。
しかしこのシーンで私が注目したというか注目せざるを得なかったのは次の台詞です。
ひかる「ユニもわたしのパジャマぴったりだねー!」
ユニが…ひかるさんのパジャマを…!?
前回のスタプリ25話のときも、ユニはひかるさんの浴衣を着ていましたが、今後も何かあるたびにユニはひかるさんの服を借りて着るのでしょうか。ユニはひかるさんから借りた服の匂いをかいで、「(ひかるの匂いだわ…)」とか思ってるのでしょうか。心のユニバ―スが拡がっちゃいます(罪)
気持ちよさそうにユニが寝ていたのも、ひかるさんのパジャマに包まれて安心しきっていたからかもしれませんね…(かわいい)
妄想はさておき、ララの着ている服は、普段着ているワンピースなんでしょうか?
※スタプリ公式サイトで見比べる
いつも羽織っているパーカーを脱いだだけだとすると、ララは制服を除けばいつもこの服しか持っておらず、寝るとき用のパジャマも所有していないのかもしれません。
どんなときも同じ服で済ませた方が効率的といえば効率的ですし、惑星サマーンではオシャレを楽しむ文化そのものが希薄なのかも?
あと、えれなさんのショートパンツは似合っていますし、まどかさんはまどかさんらしくてかわいいですね。パジャマパーティ最高です。
えれなの「弱み」…というにはかわいすぎる
これまでを通じて、スポーツ万能、勉強もでき、コミュニケーション能力も秀でている…という完璧超人っぷりを発揮してきたえれなさん。そんな彼女の「弱み」とは何なのか、スタプリ26話にきてついに明かされました。
それがこちら。
いやいや、かわいすぎる
こんなの弱みどころか強みですやんか。
幾憶人のハートを鷲掴みにしたであろうえれなさんの怖がるシーンでしたが、これを見たとき私が思い出したのは、えれなさんが初めてプリキュアになったスタプリ4話です。
えれなさんがテンジョウさんたちを前にして足を震わせていた印象的なカット。
「観星中の太陽」と崇められるえれなさんだって敵を前にしたら怖くて足が震えること、それでもなお大切なもの=フワを守るために勇気を出して戦うのだということが示された熱いシーンでした。
B級映画の張りぼて感のある化物にすら絶叫し恐怖しているえれなさんは、いまでこそ「ノットレイダーは別なの!」といっていますが、初見だったスタプリ4話ではやはり相応の恐怖を感じていたのではないでしょうか。
だとすれば、4話のえれなさんは相当な勇気を振り絞ったはずで、「本当によくがんばったんだなあ…」と改めてそんなことを思いました(親)
香久矢家の動向
久々にまどかパパ・冬貴さんが登場して歓喜していたんですが、それはさておき、今後の展開として重要なワードが出ていましたね。
冬貴「まどか、行きたいのなら行きなさい。留学を前に、見分を広めておくのもいいだろう」
香久矢家では代々、海外留学をしてきたようです。
この話をしたときのまどかさんの態度がとてもまどかさんらしくて、「祖父も父も留学していたから、わたしもそういうものだと思っていた」というものでした。
このことから、少なくとも現時点においては、まどかさんは己の意思で留学したいと考えているわけではないことがうかがえます。
まどかさんの心のなかには良くも悪くも父親・冬貴さんの姿があります。
冬貴さんもまどかさんの自己決定に対して一定の理解は示しており、たとえば今回の1週間お泊り旅行も許してくれていますし、弓道大会のときには簡単なアドバイスはするものの「あとは自分で考えなさい」というスタンスでした。
※冬貴さんは冬貴さんでめちゃくちゃ娘のことを想っているということについて、作中描写を根拠に語り倒した記事です。
とはいっても、「まどかさんの留学が決定事項」であるように語っていたり、「香久矢の家に秘密はない」という例外なしの絶対的なルールを明言していたり、(おそらく)まどかさんが自分からやりたいといって始めたわけではない弓道やピアノ、華道などをやらせたりと、過干渉といえる面も少なからずあります。
これまでの描写では、まどかさんが父親に対して明確に反発し、「自分の信じる理想」を通したのは、宇宙人の存在を秘密にしたこと(フワたちを匿ったこと)だけでした。
まどかさんは将来的に留学するでしょうか?
現時点では分かりませんが、いずれにしても、冬貴さんの考えの一部を尊重するという展開になるのではないかな、と考えています。
どういうことなのか説明する前に、自己決定が阻害されがちな環境にいるもうひとりのキャラクターのことについて触れておきます。
すなわち、天宮えれなさんのことです。
天宮家の動向
えれなさんの場合、基本的に親からは「やりたいようにやりなさい」といわれていることが今回の描写で判明しました。
父・カルロス「友達と撮影旅行? いいじゃない!」
母・かえで「もちろん! 楽しそうだし。あ、ちょっとスケジュール調整してみる」
父親も母親も、えれなさんの「これがしたい」という自己決定に対しては非常に好意的で協力的です。母親に至っては、えれなさんのために自分のスケジュールの調整までしてくれています。
しかし、それにもかかわらず、えれなさんはお泊り旅行をするかどうかを悩み続け、ロケットに乗って宇宙に出た後も気が引けていると語っています。
えれな「やっぱりやめようか?」
えれな「正直、いまも気が引けてるんだ。朝ぎりぎりまで弟たちの面倒見てて遅れてね。パパはお店があるし、ママも英語とスペイン語の通訳ができるからね。忙しいんだ」
えれなさんの自己決定を阻害しているのは、何なのでしょうか?
それは、「弟や妹たちの存在」だという考え方もできるでしょうが、おそらくそれは二義的な問題です。
一義的な問題は、他でもない、えれなさん自身にあると私は考えます。
つまり、「自分がやらなければ」という強すぎる責任感が、えれなさんの心を縛っているのです。
えれまどの類似点と相違点
このように考えると、えれなさんもまどかさんも、「自分のやりたいことを見つけられるか?」「環境によって『やりたいこと』が阻害されたとき、どうすべきか?」といったテーマを抱えているキャラクターであることが分かります。
一方で、二人の抱えている問題が微妙に異なることも分かります。
まどかさんが乗り越えるべき相手は父・冬貴であり、えれなさんが乗り越えるべき相手は自分自身だからです。
ではここで、前述した「まどかさんが冬貴さんの考えの一部を尊重する」というのがどういう意味かについて説明します。
たとえば、まどかさんが冬貴の希望に反する「夢」を見つけた場合においても、冬貴さんの価値観を全否定するような展開にはならないと考えます。冬貴さんから教えてもらった大切なこと、自分自身の経験してきた大切なこと、それらをすべて踏まえたうえで、まどかさんはその「夢」を見つけるのではないか、と。
その根拠は、冬貴さんの大切にしていた教えに応じる形で、まどかさんがプリキュアになったスタプリ5話です。
まどか「お父様は上に立つために、人々の気持ちを知るようにとおっしゃいました。知ったからこそ、わたくしはフワを、皆さんを、放ってはおけません!」
このとき、まどかさんは「宇宙人を匿う」ことで父親の教えを破りつつも、父親の教えから得た結果として「フワを守る」という決断をくだしています。
このことを踏まえると、まどかさんが夢を見つけたときにも、同じように冬貴さんの価値観の一部から学びつつ、新しい価値観にアップデートさせるという展開になるのではないかと思うのです。
そしてそれは、えれなさんにとっても同様で、プリキュアになり、みんなと仲良くなって得られた数々の経験から、えれなさんの「家のためには自分が多少犠牲になってがんばらないといけない」という価値観もまた、何らかのアップデートがされるのではないでしょうか。
まどかさんが父の背中から学んでいる、という描写はスタプリ15話でもありました。
※ちなみに、「香久矢」という名字が『竹取物語』のかぐや姫から来ていることを考えると、色々な想像ができて楽しいですね。かぐや姫が月に帰ったように、まどかさんは案外、宇宙飛行士になっているかもしれません。(ひかるさんとバッティングする?)
※あるいは、UMA好きが高じて、ひかるの父・陽一を師としてUMA研究の道に進んでいるかもしれません。一方、ひかるさんは冬貴さんを上司とする、内閣府宇宙開発特別捜査局で働いていてたらそれも面白いですね。
自分自身を犠牲にしがちなえれなさんを救えるのは、やっぱりまどかさんではないか、という考察と予想をしています。
26話の小ネタ集
スタプリ26話には面白い小ネタがいくつかあったので、簡単にまとめます。
<プルユニ>
隙あらばユニに絡みつくプルンス…(大好き)
ドーナツがなくなったとき、プルンスがユニのことを疑うシーンの低音ボイスも大好きです。めっちゃ笑わせていただきました。
<隙あらばカッパ>
スタプリの隙あらばカッパを出していくスタイル、大好きです#precure pic.twitter.com/hbgHzUQuWg
— 金色 (@konjikinohiru) August 4, 2019
<元々足りてないドーナツ>
元々ドーナツ 5つしかなく、そのうちの1つはプルンスが食べていました。
なので、ヤドカリのヤンヤンにドーナツを食べられてなかったとしても、4個のドーナツを5人で分ける必要があったようです。
スタプリ26話の感想考察(前編)
- ユニがみんなの前でごく普通に本当の笑顔を浮かべてて(尊い)
- 子ども達の「なぜ?」を誤魔化さないスタプリのスタンスが(素敵)
- 「やりたいこと」を見つけられていないえれなとまどかの類似点と相違点、今後の予想
- みんなかわいすぎ(感謝)
前回のスタプリ25話の感想考察です。
お祭り回めちゃめちゃよかったですね。そして浴衣がかわいかった。
まだ完全には救われていないユニ。
たとえばユニは「本当の自分とは?」というアイデンティティの問題も抱えていますし、「過去の盗みという罪」についてはいまだに触れられていません。
そんなユニを救うためにはどうすればいいか? について考察した記事です。
26話も個人的には涙が出るくらい好きな回でした。
まだまだ語り足りないことがあるので(ひかるさんの名言、ララの抱えるコンプレックスなどなど)、それについては後編の記事で書こうと思います。
→書きました。
以上、スター☆トゥインクルプリキュア26話の感想考察(前編)でした。
※スタプリのコミックスの発売日が近づいてきました(2019年8月9日)
とてつもなく尊いことで有名なプリキュアのコミックスですが、早く発売日にならないかと毎日そわそわし続けています。楽しみでしかたありません…!