まなつとローラが同じベッドで寝た後の話を書きました。
(まなロラ/百合/GL/1000字程度)
『まなつとローラが同じベッドで寝た後の話』
夏海まなつという人間は、本当にズルい。
「……もう。わたしのベッドに来ておきながらすぐ寝るなんて、どういう了見よ」
ローラはぷくっと頬を膨らませながら、まなつの頬をつまむ。すうすうと寝息を立てるまなつはまったく起きる様子もない。小さくため息をついて、月明かりに浮かぶその寝顔をじっと見つめる。
夏海まなつ。初めて友達になった人間の女の子。
まなつのことを意識し始めたのはいつからだろうか。気が付けばローラの目はまなつばかり追うようになって、その視線には単なる友情にしては湿っぽい感情が含まれるようになって、見ているだけで胸が熱くなるようになった。
初めて覚えるこの感情の名前を、人魚のローラはまだ知らない。
しかし、どうすればその疼きを止められるのかは、何となく理解していた。
「……まなつ」
やっぱり呼びかけてみても返事はない。動かないまぶたに手を伸ばして、その薄い皮膚に触れてみる。大丈夫だ。眠っている。一度手を離して、今度はその唇に触れてみる。柔らかくて、ぷにっとしていて、すべすべしている。ドキドキと鳴り響く胸の鼓動をどうにかして抑えようとするが、それは意思に反してますます激しさを増していく。
「……先に寝たまなつが、悪いんだからね」
吸い込まれるように唇を近付けていく。表面と表面がちょんと触れ合ったとき、ハッと我に返った。慌てて体を反対側に向けると、年季の入ったベッドはローラを咎めるようにギシリと軋んだ。やってしまった。やってしまった。燃えるような焦燥感が全身を襲う。
ローラは布団の中にもぐり、おそるおそる自分の唇に指先で触れた。まなつの温もり。その残滓を感じたローラはとうとう自分の気持ちを確信する。
「……わたし、まなつのことが、好き」
背中を向けて、布団をかぶりながら、小さな声でポツリとつぶやく。
もう少し素直であれば。もう少し勇気があれば。
直接目を見て伝えることだってできたかもしれない。だがいまのローラにできるのはそれが精一杯だった。
ローラは心の中で自虐する。何が女王だ。自分は好きな人に気持ちを伝えることもできない子どもだ。
真夏のような熱のこもった布団から顔を出して、もう一度その顔をチラと見たときだった。
「わたしも好きだよ、ローラ」
夏海まなつという人間は、本当にズルい。
ニコっと微笑むまなつは、いつから起きていたのだろうか。
いや、そんなことはもう、関係ない。
ローラには取り繕う余裕も、言い訳する暇も、慌てふためく時間もなかった。
この日、ローラは生まれて初めて人間の味を知った。
終わり
あとがき
今日(21話)のまなロラ、やばかったですね。
やばすぎて見終えた瞬間にキーボード叩いてました。
公式…本当にありがとう…。
その他のトロプリSS
まなロラがお風呂に入るだけの話。
ゆりさんご姉妹という概念。
あすゆり。
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