スタプリ47話、夢のような回でしたね。
いや、もう、ほんと、カッパードさんはカッパードさんだし、テンジョウさんはテンジョウさんだし、アイワーンちゃんはアイワーンちゃんだし、ガルオウガ様はガルオウガ様すぎて…。
この記事はスター☆トゥインクルプリキュア47話の感想考察です。ネタバレを含みますので未視聴の方はご注意ください。
12星座のプリンセスは「説明不足」
ユニ「何も知らなかったわけ? 宇宙を造ったのが、13星座のプリンセスだって」
プルンス「長らくお仕えしていたでプルンスが、初耳でプルンス」
それまで長い間一緒にいたはずなのに、プリンセスたちのことを何も知らなかったというプルンス。これは、「分かり合えている」と思っていたはずの相手と、「本当は分かり合えていなかった」ということが明確に示された場面でした。
プリンセスたちの説明に不足があるのは何も今回だけではなく、トゥインクルイマジネーションとは何なのかということもそうですし、惑星レインボーを救う方法もそうですし、とにかく最初から最後まで説明が不足していました。(そのせいで私は一時期子の人たちが黒幕なのでは?と疑心暗鬼に駆られたくらいです)。
しかし、プリンセスたちの「説明不足」は、周到に張り巡らされていた伏線だったと言えるでしょう。プリンセスたちがなぜプリキュアたちに対して説明を尽くしていなかったかというと、端的にいえば、自分たちの考えを知ってもらおうとする努力を怠っていたからなのでしょうか。説明しても反発されそうだから言わないでおこうとか、大変だから言わないでおこうとか、都合の悪いことは隠しておこうだとか。あるいは、言わなくても当然理解してもらえるだろうという、創造主としての「奢り」のようなものもあったのかもしれません。いずれにしても、ノットレイダーとも分かり合いたいと思ってて、やっと少し分かり合えたと思ったら、実は身近なところに全然わかり会えていなかった人がいるというのは皮肉な感じがします。
また、視点を変えれば、へびつかい座と12星座のプリンセスたちの関係が破綻したのも、そうしたディスコミュニケーションの積み重ねがあったのだとも想像できます。
十字架、ウロボロス
初めに見たときからずっと思っててTwitterにはつぶやいたりしてたんですが、ノットレイダーのアジトに突き刺さっているこれって、キリスト教における「十字架」のようではないですか?
もしこれがキリスト教の十字架をモチーフにしたものであるなら、磔刑を受けている「救世主」は誰なのでしょう?
蛇は脱皮を繰り返すことから不死の象徴とされることもあり、スタプリのへびつかい座もプリキュアから攻撃を受けても余裕の笑みを浮かべて起き上がったり「不死っぽさ」がありましたが、このカットで描かれているのは永遠の象徴でもある「ウロボロス」です。
12星座のプリンセスの猛攻を受けても何度でも復活するへびつかい座にとっては、ぴったりのイメージかもしれません。他にも何か意味付けられていることがありそうな気もするんですが、思いつかなったのでこのくらいで…。
参考リンク:ウロボロスとは - コトバンク
※ 旧約聖書における「蛇」と「禁断の果実」をスタプリに絡めて考察しています。
満を持してのカパひか
ひかる「カッパード」
カッパード「ん? なんだそれは」
ひかる「おにぎりだよ!」
ララ「艦内食ルン」
カッパード「水でいい」
ひかる「そう言わずにさ! おいしいよ!」
カッパード「グイグイ来るな! いらぬ! そのような得体の知れぬ物体は!」
ララ「決めつけはなしルン!」
ひかる「さあ!」
カッパード「…うまい!」
ひかる「ね? キラやば~っ☆でしょ?」カッパード「…ああ」
得体の知れないもの=異星人に対して恐怖を抱いていたカッパードさんが、ついにその「見えない壁」を打ち破りました。もちろん、「決めつけはなしルン」というララの発言は、スタプリ2話でひかるさんが言ったものです。キラやばでしょ?と問われたカッパードさんは、「ああ」と返します。「大好き」や「キラやば」など無力だと言い放っていたカッパードさんが(45話)、「ああ」と返すのです。
ひかるさんと初めて出会ったのはララもカッパードさんも同じでしたが、ララはひかるさんたちと価値観を共有していったのに対して、カッパードさんはそうした異なる価値観を一切拒否し続けてきました。その結果、ララの価値観はアップデートが繰り返されてきた一方で、カッパードさんの価値観はほとんど変わらないままであり、両者の対比は事あるごとに強調されていました。
しかし、それもここまでです。
スタプリ2話、それはララが初めておにぎりを食べた回です。
ずっと1話のままだったカッパードさんは、ついに2話へと足を踏み出したのです。
※今更ですが、カッパードさんの瞳と化粧は「ピンク色」=ひかるさん。
※カパひか伝説の回といえば45話です。
満を持してのテンえれ
えれな「もう大丈夫なの?
テンジョウ「休んでなどいられないでしょう。聞いたわ。あなたたちがみんなの暴走を止めてくれたって。駒ちゃんたちも救ってくれた。礼を言うわ」
えれな「そんな、お礼だなんて」
テンジョウ「ありがとう」
えれな「テンジョウ…」
「わたしを笑顔にできて?」
そう問われてから、えれなさんはずっと考えていたことでしょう。
どうすればテンジョウを笑顔にできるだろう。どうすればテンジョウは笑顔になってくれるだろう。わたしはどうすればいいのだろう…。
このときのテンジョウさんは、紛れもなく、「本当の笑顔」を浮かべています。テンジョウさんにとっての「大切なもの」=「駒ちゃんたち」を守ってくれたことに、感謝の言葉を述べながら。
思えば、ユニのときもそうでした。
ブルーキャットとして行動していたとき、「大切なもの」=「惑星レインボーの宝」をひかるさんから褒められて、ユニは思わずサングラスの奥で本当の笑顔を浮かべていました。
つまるところ、「本当の笑顔」というのは、その人にとって「大切なもの」が「大切にされた」時に浮かぶものなのかもしれません。
※今更ですが、テンジョウさんの瞳と口紅は「黄色」=えれなさん。
※テンえれ伝説の回といえば43話ですね。
満を持してのユニアイ
アイワーン「相変わらず…あかないっつーの!」
ユニ「ったく、派手に改造してくれたわね。ほんと、センスないニャン」
アイワーン「うるさいっつーの! めちゃくちゃ癖がある宇宙船だっつーの!」
ユニ「コツがいるニャン」
初めての共同作業をするユニとアイワーンちゃんを見て大量のライスシャワーを投げつけたくなったのは私だけではないはずだと信じていますが、そんなことはどうでもいいんです。
協力しながら作業を進める二人は、まさに「アイワーンと一緒に前に進む」というユニのトゥインクルイマジネーションが実現したものです。にっこり笑いかけられて思わず顔をそむけるアイワーンちゃん。彼女は46話の登場シーンからずっと、フードを被っていません。フードを被っていては、前が見にくくなってしまいます。前に進みたいと考えているのは、ユニだけではなく、アイワーンちゃんにとっても同様なのでしょう。
何と言うかもう、感無量です。
※今更ですが、アイワーンちゃんの瞳と化粧は「青色」=ユニ。
※ユニアイ伝説の回と言えば38話ですね。
そして、ノットレイダーは前に歩き出す
ガルオウガ「なぜ受け入れる。我々の仕打ち、そう簡単に忘れられるものではない」
まどか「皆さんが、心の底から受け入れているのか、わたくしには分かりません」
プルンス「プルンスタードーナツの差し入れでプルンスよー!」
まどか「でも、わたくしは、ただ、前を向いて歩いていきたいです」
我々の仕打ちは忘れられるものではないだろうと問うガルオウガ様に対して、まどかさんは皆さんが心の底から受け入れているのかはわからないと答えます。しかし、少なくとも自分は前を向いて歩いていきたいのだとまどかさんは続けます。
このとき、プルンスがノットレイたちにお手製のドーナツを振舞うカットが挿入されます。ノットレイたちは素顔を見せながら笑っており、プルンス自身も嬉しそうに笑顔を浮かべています。星空連合の中には、心の底から受け入れられない人もいるかもしれません。しかし、ドーナツを食べて屈託のない笑顔を浮かべるノットレイたちを見れば、彼らが自分達と同じ「宇宙人」であることを認識せざるを得ないでしょう。
また、忘れてしまいそうになりますが、ノットレイたちにとってドーナツは「異星人の食べ物」です。しかし、彼らは「異星人の食べ物」を、「これまでずっと敵対していた相手の文化」を受け入れているのです。
自分達とは異なる価値観を受容する姿勢を見せ始めたノットレイたちは、きっとこの先、星空連合たちの価値観も少しずつ受容していくことでしょうし、逆に、星空連合たちもノットレイたちの価値観を少しずつ受容していくのではないでしょうか。
↑「異星人の食べ物」である「おにぎり」を食べる星空連合。
※今更ですが、ガルオウガ様の瞳と化粧は「紫色」=まどかさん。
※まどかさんとガルオウガ様が対峙する41話も演出描写脚本すべてが伝説的でした。
彼らの名は「NOT-RAIDER」
テンジョウ「ここは任せなさい!」
えれな「テンジョウ!」
カッパード「行け! スターパレスへ!」
ひかる「カッパード!」
ガルオウガ「未来を、消させてはならぬ!」
まどか「ガルオウガ!」
アイワーン「早く行けっつーの!」
ユニ「アイワーン! …前にもそう言って、すぐにやられたニャン」
アイワーン「今回は違うっつーの!」(中略)
ガルオウガ「我らノットレイダーの力、見せてやるぞ!」
へびつかい座との最終決戦。
今まで敵対関係にあったノットレイダーたちが強力な助っ人となり、それぞれの力を遺憾なく発揮しながらプリキュアを援護します。ノットレイダーの行動原理は「憎しみ」である、ということは過去の考察で繰り返し述べてきましたが、今の彼らを動かしているのはそれではありません。「大切なものを守りたいという想い」。それこそが、今の彼らを動かしているものです。
ノットレイダーとは、「RAIDER(侵略者)」と「乗っ取る」という単語を組み合わせた言葉ですが、ここでもう一度、ガルオウガ様の台詞に注目してください。ガルオウガ様は、こう言っています。
ガルオウガ「我らノットレイダーの力、見せてやるぞ!」
彼らはへびつかい座と対峙し、プリキュアたちの「側」に立った今でも、「ノットレイダー」の名を、「ノットレイダー」としての矜持を捨ててはいません。彼らは今も昔もノットレイダーであり、「守りたい」という想いが「憎しみ」を越えた今でも同じなのです。
なぜ、彼らは今でも「敵組織」としての名前を使っているのでしょうか? 「侵略者」であり、「乗っ取る者」としての名前を残しているのでしょうか?
その理由を考える前に、今一度、彼らのことを振り返らせてください。
まず、ノットレイダーという組織は、彼らにとって「家族」のようなものであり、「大切なもの」でもあります。確かに、ノットレイダーたちの価値観=「憎しみを力にして人の大切なものを奪う」という考え方はプリキュアたちから否定されましたが、だからといってノットレイダーたちの存在そのものが否定されたわけではありません。
また、ノットレイダーは侵略者であると同時に、大切なものを侵略された存在でもあります。そして、彼らは「もう二度と大切なものを失わないため」に「憎しみ」を力にして行動していたわけですが、「大切なものを失いたくない/守りたい」という想いそのものは、プリキュアもノットレイダーも同じとも言えます。だからこそ、前回46話のひかるさんは、ノットレイダーも星空連合も、そして自分達も、みんな同じ「宇宙人」なのだと叫んだわけです。
怒りや憎しみといった感情は表層的なもので、その裏には大切なものを失った悲しみや苦しみが隠れているのと同様に、ノットレイダーの「侵略」の裏には、「大切なものを失いたくない/守りたい」という想いが隠れていました。
つまり、ノットレイダーたちはプリキュアから影響を受けることで「大切なものを守りたい」と考えるようになったわけではなく、もともとあった「大切なものを守りたい」という想いが、プリキュアたちと交流する中でアップロードされたことによって、侵略することをやめたのです。
では、先ほどの問いに戻ります。
スタプリのメンバーたちから影響を受けたノットレイダーたちは、「憎しみ」ではなく、「大切なものを守りたい」という想いを力に行動するようになりました。今の彼らは、もはや「RAIDER(侵略者)」ではありません。
そう、「NOT-RAIDER(侵略者ではない)」なのです。
※前回の46話の考察。アイワーンちゃんの登場はほんと激熱でしたね。
※後編の考察記事は明日にアップする予定です。
→書きました。
※過去のスタプリの感想、考察記事については、このページのいちばん下にある「プリキュア考察」のボタンか(スマホ版)、いちばん上の「プリキュア感想 考察」のボタン(PC版)から移動できます。
<宣伝コーナー>
スタプリのボーカルベストが1/22に発売予定です。いよいよ発売日が近づいてきて胸がドキドキです。