スタプリ5話、よかったですね。
今回はキュアセレーネこと、香久矢まどか先輩がプリキュアになる回でしたが、香久矢まどかの持つ何ともいえない「危うさ」がいい味を出していました。
あと、もはやいうまでもないことですが、ひかララは最高ですね。
この記事は、スター☆トゥインクルプリキュア 5話、香久矢まどかのついた嘘についてのカントを絡めた考察と、ひかララの素晴らしさについて語ったものです。
ネタバレありです。
1.香久矢まどかはカントの道徳論に反旗を翻した
1.カントの道徳論「定言命法」について
イマヌエル・カント(Immanuel Kant、1724‐1804)PD
※トップの画像もカントです(PD)
カントはご存知でしょうか?
『純粋理性批判』などを発表した、18世紀ドイツの偉大な哲学者です。
そんなカントの唱えた道徳論として、定言命法というものがあります。
定言命法というのは、簡単にいうと、いついかなるときも無条件で従わなければならない倫理学上の絶対的な決まりのことです。
具体的にいうと、「人を殺してはいけない」「嘘をついてはいけない」といったものが定言命法にあたると、カントは考えました。
いわれてみれば、「そうかもしれないな」と思わなくもないですが、カントの主張は苛烈です。
いついかなるときも、ひとつの例外もなく、無条件で従わなければならない、とカントはいいます。
2.友人を追う殺人犯にも嘘をついてはならない
たとえば、殺人犯に追われる友人を自宅にかくまったとしましょう。
しばらくして、殺人犯が自宅に来て、「友人がどこにいるか知らないか?」と尋ねます。
このような場合においても、カントの道徳論に従うと、嘘はついてはなりません。
いかなる場合においても例外はないのです。
じゃあどうすりゃいいんだという話ですが、「嘘をいわず、紛らわしい真実を語る」ことは、カントも許してくれるかもしれません。
たとえば、「友人がどこにいるか知りません」と答えたとしましょう。
ちょっと前に友人を自宅にかくまったのは事実ですが、家のどこにいるかは分かりませんし、もしかしたらもう窓から逃げているかもしれませんよね。
つまり、「どこにいるか知らない」というのは紛らわしい真実ではありますが、必ずしも嘘とはいえないのです。
他にも、「毎週この時間はいつも近くのスーパーで買い物をしていますよ」とかいうのもありかもしれません。
なんだか屁理屈のようです。
が、「嘘をついてはならない」といった定言命法はそのくらい厳格な道徳律であり、そうした道徳律を尊重し守ろうとすることが理想なのだとカントは説いたのです。
※カントの道徳論については下記の書籍を参考にしています。
他の道徳論も紹介しつつ、そもそも道徳とは何か? 正義とは何か? について熱く語られた良書です。
『これからの「正義」の話をしよう』
プリキュアもまた正義についての物語ですので、プリキュア好き必読の書といえるかもしれません。
『純粋理性批判』
これからカントの著書を読むなら、光文社古典新訳文庫から出版されているものが比較的読みやすいかもしれません。
2010年に発売の新訳版です。
文庫本なので値段もお手頃です。
3.香久矢の家に秘密はない
香久矢の父親は、職務上の機密情報(宇宙人に関する話)すら、「香久矢の家に秘密はない」といって家族に話しています。(5話の前半パートにて)
つまり、父親にとって、「香久矢の家に秘密はない」というのはカント的な定言命法であり、いついかなるときも例外なく絶対に従わなければならない決まりなのです。
(守秘義務を持つはずの公務員としてどうなのかとは思いますが)
父親から職務上の「つみき情報」を話される母と子
出典:スター☆トゥインクルプリキュア 5話
本筋からは逸れますが、この性格真逆の父と母の馴れ初めも気になりますね。
4.香久矢まどかには秘密がある
さて、5話における香久矢まどかはどうだったでしょうか?
「何か見たか?」と問いかける父親に対して、香久矢まどかは紛らわしい真実でもなんでもなく、明らかな「嘘」をつき、「隠し事」をしました。
香久矢まどかは、カントの定言命法を破り、父親の定言命法を破ったわけです。
メインターゲットである3~6歳の子どもと、いっしょに視聴しているであろう親に向けて「親からの言いつけを破り、嘘をつき、隠し事をするシーン」を公然と流したことは、なかなか攻めているようにも思います。
(父親から、騒ぎがあったようだが何か見たかと尋ねられて)
香久矢まどか「いいえ…何も…」
出典:スター☆トゥインクルプリキュア 5話
5.香久矢まどかが戦う相手は誰か?
ところで、なぜ香久矢まどかが父親の言いつけを破り、嘘をついてまでフワたちのことを秘密にしたかというと、香久矢にとってフワが「大切なもの」だったからです。
「大切なもの」こそがプリキュアの力の源であり、だからこそ香久矢まどかはプリキュアになれたわけですが、私たち視聴者はここで面白い構造を発見することができます。
つまり、「大切なもの」を守る戦いは、ノットレイダーに対してのみ起きるのではなく、ときには自分の親との間にも起き得る、ということです。
(もっとも、このテーマはハグプリのえみるなどの前作プリキュアでも語られているものですが)
今後、香久矢まどかが実の父親と対峙しなければならないのは確実です。
そのとき、香久矢まどかはどのように戦うでしょうか?
自分の「大切なもの」を守ることができるでしょうか?
今後の展開が楽しみです。
2.ひかララがいかに素晴らしいかについて
今更感がありますが、やはり触れずにはいられません。
2人の姿を見比べてみてください。
すると、次のことが分かるかと思います。
- ひかるは右足だけソックス
- ララは左足だけソックス
ひかるは右足だけ、ララは左足だけ靴下を履いている
いや、めちゃくちゃ良くないですか?
このデザインを思いついた人は天才以外の何物でもないですよ。神か。
そう、ひかるとララは、2人そろって1つであることが宿命づけられているのです。
そして今週のひかララも、時間としては短かいながらもエッセンスの詰まった最高の出来でした。
ひかるのおにぎりを「いくらでも食べられるルン!」と絶賛するララ
出典:スター☆トゥインクルプリキュア 5話
夫婦かな?
作ってもらったご飯を「おいしい!」といって食べるララはいいですね。
ひかるも作り甲斐がありそうです。
ララは一応サマーン星では大人という設定ですが、こうしてひかるにおにぎりを作ってもらっているララを見ていると、ひかるの方がしっかり者のようにも見えてきます。
全体的にちょっと字数が多くなってきてしまったので、ひかララの魅力については、いったんここまで。
蛇足ですが、ララの顔芸は今週も健在でしたね。
今後もぜひレパートリーを増やしてもらいたいものです。
3.いいなと思った演出
よくある演出といったらそれまでですが、フワたち宇宙人に対して疑いをかけている香久矢まどか先輩が闇から出てくるシーンはよかったですね。
暗いところ(影)から現れる香久矢まどか先輩
出典:スター☆トゥインクルプリキュア 5話
この時点で、香久矢まどか先輩は味方ではなく、どちらかというと宇宙人を追う側の人間でした。
だからこそ、明るいところからではなく、暗いところから「にゅっと」登場しているわけです。
4.スター☆トゥインクルプリキュア 5話の感想 考察まとめ
というわけで、この記事をまとめると下記の通りです。
- 香久矢まどかは父親に反旗を翻した(ついでにカントさんにも)
- プリキュアだって大切なものを守るためには嘘をつく
- ひかララは最高
以上、スター☆トゥインクルプリキュア 5話は香久矢まどか先輩がいい動きをしていたよ、という話でした。
例にもよって推敲もせず興奮のまま書いているので、あとで加筆修正するかもです。
ちなみにこんな記事も書いてます。
こちらの記事は、登場人物の名前の由来について考察してまとめたものです。
【プリキュアの感想・考察記事です(スタプリ)】
- スタートゥインクルプリキュア キャラクターの名前 由来 一覧
- 映画プリキュアミラクルユニバース あきら様とゆかり様がいちゃいちゃする良い映画
- 第10話 力なき正義は無力である
- 第9話 ひかララの尊いキスシーン?
- 第8話 プリキュアが示した正義とは何か?
- 第7話 ララとひかるの距離が接近してて尊い
- 第6話 「助けて」という勇気はあるか?
- 第5話 プリキュアだって嘘をつく
- 第4話 天宮えれなの父親はペルー人説
- 第3話 ゴッドオブゴッド回
- 第1話~2話 未知なる存在と手を繋げるか
リアルタイムでスタプリを視聴できなかった方は、TVerというサイトで無料で視聴できます。(公式動画)
他の考察記事はこちらから。
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