※この記事はスター☆トゥインクルプリキュア第11話の感想・考察です。ネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。
スタプリ11話、感涙でしたね。
星奈ひかるというキャラクターは本当に面白くて好きですし、そんなひかるに対して毎度真っ先に絡んでいくカッパードさんも私は大好きです。そして何よりひかララは正義ですね。
今回は星奈ひかるというキャラクターを中心に掘り下げつつ、秀逸だった描写などの感想・考察をしたいと思います。
- まどかがひかるの手を引く時:第9話との対比構造
- 星奈ひかるの心理描写が見事
- 世界が止まる時:ひかるはアイデンティティを失いかけた
- 世界が動き出す時:ひかるを救い出したのはひかるに救われた仲間たち
- サザンクロス:孤独な4人が手を繋ぐ時
- カッパードたちは誰に侵略されたのか?
- スタプリの目指す終着点はどこか?
- 今週のひかララもシンクロ率100%
- スタプリ第11話の感想考察まとめ
まどかがひかるの手を引く時:第9話との対比構造
今回の目玉描写は何といってもこれでしょう。
第9話でひかるに手を引かれて商店街に連れて行ってもらったまどかが、今回、お父様たちに見つかりそうなのに自己嫌悪から動けなくなってしまったひかるの手を、真っ先に取って逃げた場面です。
- 第9話 ひかるがまどかの手を引いた(ひかるがまどかを助けた)
- 第11話 まどかがひかるの手を引いた(まどかがひかるを助けた)
この美しい対比構造には、涙せずにはいられませんでした。
逆にいうとですね。
第9話でひかるがまどかの手を引いていなければ、第11話のこのシーンもなかったかもしれないのです。
ひかるがこれまで積み重ねてきた行為が、今回、ひかるを助けたわけです。
【第9話の尊いシーンはこちらの記事に詳しく書いています】
星奈ひかるの心理描写が見事
すっかり自信を失ってしまった星奈ひかる。
そんな彼女の心理が、ありありと描かれていたのもよかったですね。
プラネタリウムで遼じいが慰めに入ってくるまで、星奈ひかるの表情には常に影が落ちるように描かれていました。下記の画像をご覧ください。
見事に、執拗なまでに、影が差していることが分かるかと思います。
ひかるが一人でプラネタリウムでしょんぼりしていると、遼じいが入ってくるわけですが、この時になってようやくひかるの顔には光が差し込みます。
とはいっても、その光は微弱です。
遼じいによってひかるの心に安らぎが与えられたことが示されていますが、かといって、ひかるを完全復活させるほどのパワーはないことが分かります。
事実、ひかるは遼じいに慰められ、多少の回復はしたものの、完全に回復したわけではなかったですよね。ひかるの負ったダメージは、遼じい=事情を知らない人間からの抽象的な助言だけで簡単に回復するようなものではないのです。
世界が止まる時:ひかるはアイデンティティを失いかけた
星奈ひかるのアイデンティティは「イマジネーション」、すなわち「想像力」です。
ひかるは、想像力が豊かであるというプライド・自負がありますし、無限の世界につれていってくれる想像力が大好きです。
しかし、そんなひかるのアイデンティティは、第11話で危機を迎えます。
カッパードさんたちから「想像力がないな」と喝破されたひかる。
ひかるの誇りでもあり、大好きなものでもあった想像力を否定されたとき、まさにひかるのアイデンティティは崩壊しかけます。
それだけではありません。
同時に、自分を支えてくれていた大好きな宇宙をも、「宇宙のこと何も知らないのね」と否定されてしまうのです。
そのときのひかるの心の揺らぎが如実に描写されていたのが、例の精神世界における「静止シーン」であり、それは文字通り、ひかるの世界が止まったときでした。
ひかるはなぜ想像力を大切にしているのか?
そもそも星奈ひかるはなぜ想像力を大事にしているのでしょうか?
それはおそらく、想像力が過去のひかるを救ってくれた「恩人」だからだと考えます。
星奈ひかるについては、第11話まで進みましたが、依然として学校の友人が描写されていません。また、ララたちをドーナツ屋につれていくと、毎回毎回ドーナツ屋のお姉さんが「お友達!?」と驚き嬉しそうな表情をします。(第3話、第9話)
また、家族のなかでも、ひかるは孤立しています。
特に祖父からは厳しい口調・態度で接されており、価値観を押し付けられているような描写がありました(第1話)。
つまり、星奈ひかるが想像力を大事しているのは、友達もおらず家族(特に祖父)からも理解されず、孤独に過ごしていた自分を想像力が救ってくれたからではないでしょうか。
だからこそ、ノットレイダーから想像力を否定されたとき、キュアスターは広大で空虚な空間に、一人ポツンと取り残されてしまいます。それまで自分の支えになっていたものを失いかけたからです。
※ひかるが宇宙に関しては非常に博学であり、本も何冊も読んでいることはこれまでにも作中で示されていましたが、逆にいえば、「それだけ長い時間を一人で過ごしてきた」ということを意味するようにも思います。
世界が動き出す時:ひかるを救い出したのはひかるに救われた仲間たち
さて、アイデンティティを失いかけたひかるを救い出したのは、他でもない、ひかるによって救われた仲間たちでした。
ララはひかるのおかげでプリキュアになることができました(第2話)。
また、困ったときには手を差し伸べてくれる仲間がいる、自分の抱えている不安や辛さを「想像」してくれる仲間がいる、そのことを教えてくれたのもひかるでした(第6話)
まどかは、ひかるに手を引いてもらったおかげで、自分の知らない世界を知ることができました。「毎日が綱わたり」だったまどかを、「綱」から優しく降ろしてあげたのはひかるでした。(第9話)
ひかるの想像力は、孤独な彼女を無限の世界に連れて行ってくれた恩人であります。
ひかるを救ってくれた想像力が、今度はララやまどかたちを救いました。
そして第11話では、ララやまどかたちがひかるを救ったのです。
文字通り、想像力が4人を繋げたわけです。さながら、星座のように。
【スタプリ第6話でララがひかるに助けを求めたことについて詳しく書いています】
キュアスターが泣いた理由
キュアスターが涙した理由は、単に仲間から慰めてもらったからというだけではないと思うのです。
キュアスターこと星奈ひかるは、周囲からは「変わった子」扱いされることが多く、家族関係も複雑であり(特に祖父)、そもそも自分という存在を肯定してもらう機会に乏しかったと思われます。プリキュアメンバー以外では、学校の友人もいなさそうですし。
もしかすると、自分の考えを相手に説明するのが苦手であるという欠点から、何らかの挫折・失敗経験があるのかもしれません。
そんなひかるだからこそ、自分の大好きな友達から存在を肯定してもらえたことは、何事にも代えがたいほど嬉しかったはずです。
これまで、星奈ひかるを支えてくれていたのは「想像力」や「大好きな宇宙」だけだったのかもしれません。
しかし、そこに「大好きな友達」が加わった。
その事実に気付いたからこそ、星奈ひかるは涙したのではないでしょうか。
ララやまどか達を救ったのは“キュアスター”ではない
3人がそれぞれひかるに声をかけるシーンで、キュアセレーネが呼び方を「スター」から「ひかる」に言い直す描写はもう最高の一言ですね。
(キュアセレーネ)「スターが…ひかるがいなければ わたしくは…」
ララやまどかたちは伝説の戦士プリキュア(スター)によって救われたのではなく、普通の女の子(ひかる)によって救われたのです。
決してプリキュアだから救えたわけではないんだよ、まどかたちを救ったのは、君たちと同じ普通の女の子なんだよ、と子どもたちに示しているようではないですか?
えれなはひかるに救われていない
ところで、まどか、ララに関しては、ひかるに手を差し伸べられて救い出された経験がありますが、えれなに関してはまだないんですよね。
そもそも、えれなというキャラクター自体が、いまだ「決定的な弱み」を描かれていない人物であります(第4話、えれながプリキュアになる前、ノットレイダーを前にして足をブルブル震わせていたのは、えれなが完璧超人なわけではないことを示す描写でしたが、決定的な弱みとまではいえないでしょう)。
強いていうなら、家のことで忙しく、「自分のやりたいことができていない状況」「親しい友人がプリキュアメンバー以外いなさそう」というのはありますが…。
この先、えれなの抱える「決定的な弱み」が描写されるときは来るのでしょうか?
もし来るならば、そのときこそ、ひかるの出番だと思うのですが。
えれまど的には、まどかがえれなを救い出すという展開も熱いですね。
サザンクロス:孤独な4人が手を繋ぐ時
スタプリメンバーの4人って、それぞれ孤独を抱えているんですよね。
<星奈ひかる/キュアスター>
学校の友達がいなさそう。家族の中でも祖父からは価値観を押し付けられており、家族関係も良好とは言い難い。
<ララ/キュアミルキー>
そもそも同種の仲間がいない。命がけの逃亡生活をしていた人。
<天宮えれな/キュアソレイユ>
周囲から慕われてはいるが、家の仕事の手伝いや兄弟の世話で親密な友達はいなさそう。中学生のえれなが仕事や兄弟の世話をしないと家計が回らないこと、※自分の部屋もないことなどからも、貧困家庭と思われる。
<香久矢まどか/キュアセレーネ>
周囲から慕われてはいるが、習い事等もあり親密な友達はいなさそう。父親からは価値観を押し付けられており、家族関係も良好とは言い難い。
こうしてみると、4人がそれぞれ孤独を抱えていること、家庭や周辺環境などに様々な問題を抱えていることが分かるかと思います。
そんな4人が手を取り合って出した必殺技、それがサザンクロスでしたね。
サザンクロスについては遼じいが詳しく説明してくれました。
(遼じい)サザンクロスはね、ひかるにぴったりな、想像力を…イマジネーションをくれる星座なんだ。「昔、人々は南の空に輝くサザンクロスを目印にして旅をしていた」 そう教えたけどね。ただの目印じゃないんだよ。
旅人はね サザンクロスを見ながら、遠くで待つ大切な人や新たな大陸を思いえがいたんだ。サザンクロスは人々に進む力を…イマジネーションをくれる星座なんだよ。ひかるにピッタリだろ?出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第11話(C)ABC-A・東映アニメーション
ひかるにぴったりな星座であると同時に、サザンクロス(南十字座)は4人のメンバーにとってもピッタリな名前だと思うのです。
さて、そんな南十字座ですが、実は、全天でもっとも小さな星座であると同時に、南天星座の中でもっとも美しいと称される星座です。
明るさはバラバラで、もっとも小さい、だけど綺麗な星座。
それが南十字座です。
まさしく、見た目も性格も生まれも種族もバラバラな4人を表すような星座だとは思いませんか?
【※えれなが個室を持っていないことは第7話で示唆されていました】
余談:4人がバラバラに出した必殺技は効かない
ちなみに、4人の合体技「サザンクロスショット」を繰り出す前に、それぞれが一人ずつ必殺技を出していましたが、それらはまったく効きませんでしたね(プリキュアの定番描写)。
1人の力では倒せない。
みんなの力を合わせて、はじめて打ち勝つことができる。
困難な壁にぶつかったとき、自分一人の力ではなく、仲間と協力して、力を合わせてやれば乗り越えられるんだよ、と子どもたちに示しているようですね。
カッパードたちは誰に侵略されたのか?
ノットレイダーの過去、境遇については徐々に明らかになりつつありますが、依然としてはっきりとは示されていません。
ひとつわかっていることは、カッパードやテンジョウたちの母星(故郷の星)は、何者/何物かによって侵略/乗っ取られたのだという事実です。
カッパードたちの母星を侵略したのが誰であるかについては、以下の2パターンが考えられます。
- 意思のある侵略者
- 意思のない災害
意思のある侵略者の場合、考えられるのは、以下の3つでしょうか。
- ノットレイダーのボス(ダークネスト?)
- 地球人
- ノットレイダーよりも強い存在
①ノットレイダーに侵略された説
1の場合は、ノットレイダーのボスがカッパードたちの星を侵略し、彼らを支配下に置いたということです。つまり、ノットレイダーはカッパードたちが加入するよりもずっと以前から存在していたということになります。
自分たちを征服したノットレイダーに、なぜカッパードたちが服従しているかですか、服従しなければ家族や母星の仲間の命がないぞと脅されているのかもしれません。
②地球人に侵略された説
2の場合は、地球人が実はカッパードたちの母星を侵略しているという説です。
根拠は第11話のひかるとテンジョウのやり取りです。
(ひかる)乗っ取るって住んでる人たちのこと考えないの!?
(テンジョウ)だからあんたはお子ちゃまなのよ
何も分かってないくせに。さっきの言葉そっくり返すわ!出典:スター☆トゥインクルプリキュア 第11話(C)ABC-A・東映アニメーション
テンジョウは、「さっきの言葉そっくり返すわ!」といっています。
ここでいう「さっきの言葉」とは、文脈を考えると「乗っ取るって住んでる人たちのこと考えないの!?」というひかるの言葉だと考えられます。
つまり、「地球人はテンジョウたちの母星を乗っ取った」か、そうではなくても、「何らかの乗っ取り/侵略行為をしている地球人にいわれる筋合いはない」というような意味と取れます。
地球人も宇宙で乗っ取り/侵略をしているならば、まどかパパが勤めている内閣府宇宙開発特別捜査局が関与している可能性もありますね。宇宙開発というくらいですし。
ただ、カッパードは地球に舞い降りた第1話にて、「ずいぶんとプリミティブな惑星に来てしまったようだ」といっていました。
カッパードたちにとっては、地球はプリミティブ=原始的・未発達な星ということを意味しますので、そんな地球人によって侵略されたとは考えにくいかもしれません。
③ノットレイダーより強いやつに侵略された説
ノットレイダーより強い存在が宇宙には存在していて、それがカッパードたちの母星を侵略したのではないか、という説ですね。
なぜノットレイダーがスターカラーペンを集め、「すべてを凌駕する力」を求めているのか? この説では、「ノットレイダーよりも強い侵略者に対抗するため」に、スターカラーペンを集めているということになりそうです。
④災害によって侵略された説
最後はこれです。
宇宙の災害といえば、ベタといえばベタですが、ブラックホールがその筆頭でしょう。
ブラックホール的な意思のない存在によって、カッパードたちの母星は闇に飲み込まれてしまったのかもしれません。
ブラックホールは極めて強大な力を持つものですから、それに対抗するためには、やはり「スターカラーペンを集める」必要があるのでしょう。
この説だと、スタプリにおける「最後の敵」は、意思のない存在ということになりますね。もはや言葉も通じません。災害ですからね。
災害がラスボス、というのもそれはそれで面白そうです。
【ノットレイダーが母星を失った説についてはこちらでも詳しく書いています】
スタプリの目指す終着点はどこか?
第11話で、カッパードたちから散々いじめられた星奈ひかる。
そんなひかるが、仲間たちに支えられて立ち直り、カッパードたちに言い放った言葉が印象的でした。
(ひかる)どんな理由があっても 大好きな宇宙を…星座を…星を…地球をうばうなんて…わたし 嫌だ!
ここで、プリキュア過去作ではおなじみの「許さない」という言葉ではなく、「嫌だ」という言葉を使用しているところが、スタプリの目指そうとしている終着点がどこなのかを示しているように思えるのです。
続く他のプリキュアメンバーも、「許さない」という言葉は使わず、「みんなを守るんだ!」という言葉に終止しています。
許さないという言葉は、決意を表明する力強い言葉ではありますが、相手と自分とのあいだに「見えない壁」を作り出す呪いの言葉でもあります。
この言葉を使ったら最後、相互理解などできなくなってしまいますからね。
かといって、相手の考え方や行為をすべて肯定するわけではなく、されて嫌なことは「嫌」だと、もし危害が及びそうなら「守る」というのです。
また、キュアスターこと星奈ひかるは、未知なる相手の価値観・世界観に興味津々に飛び込んでいくキャラクターであります。
そんなひかるだからこそ、「許さない」という言葉を使わなかったんじゃないでしょうか。
今週のひかララもシンクロ率100%
第9話で商店街をデートしていたときもそうでしたが、2人の動きがもう完全に一致しているんですよね。
今回のような割とシリアスで重めの話においても、最後にはひかララの尊いシーンを入れてくださるスタッフの方々には感謝しかありません。本当にありがとうございました。
スタプリ第11話の感想考察まとめ
- まどかが真っ先にひかるの手を引いたシーンが泣ける
- ひかるはお得意の想像力を否定されて死にかけた
- ひかるを救い出したのはひかるに救われた仲間たち
- ノットレイダーは何者/何物かに侵略されている
- スタプリの目指す終着点が何となく示されてきた
- ひかララは今週も尊い
スタプリ、他にも語り足りない点はあるのですが(バケニャーンのことなど)、いい加減長くなってしまったので今回はここまで。次回はカオス回っぽいので、それはそれで楽しみです。
スタートゥインクルプリキュアの感想・考察記事は、毎週欠かさず更新していますので、どうぞよろしくお願いいたします。
長々と読んでいただき、ありがとうございました。
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