スタプリ28話、前回の予告からてっきりえれまどが喧嘩するのかと思っていたら、ただただ惚気ているだけでした。今回は喧嘩回ではなく惚気回だったのです。
この記事はスター☆トゥインクルプリキュア28話の感想考察をしたものです。28話のネタバレがありますので未視聴の方はご注意ください。
※今回は前編後編に2分割せず、1つにぎゅっとまとめています。
- ユニの尻尾は感情を表す
- ユニはえいえいおーをする
- 自分から限界を決めつける時
- フレアのいう「熱いハート」は何を指す?
- ふいごを踏むのがえれまどでならなかったワケ
- 他者から限界を決めつけられる時
- スタプリのココがすごい:頭脳戦
- ペンの受け渡しが一巡する時
- 2度目にふいごの足踏みを成功させられた理由
- スタプリ28話の小ネタ
- スタプリ28話の感想考察まとめ
ユニの尻尾は感情を表す
ユニはプルルン星の魚っぽい住民たちを見て大興奮します。
表情もあざとかわいいんですが、何よりぐっと来るのはこの尻尾。「おいしそうだニャン」といったときには「ピーン」と立ち、えれなさんから「食べちゃダメだよ」と諫められたときには「シュン」と下がります。
ユニは表情も豊かですが、尻尾による感情表現もあっていいですね。
※ちなみに猫が尻尾をピンと立てるのは、嬉しいときや甘えるときなどの仕草だそうです。
ユニはえいえいおーをする
前回では「えいえいおー」をしていなかったユニでしたが、今回はみんなと一緒にしていました。やる気いっぱいのユニは、みんなとの帰属意識が高まっていることが分かります。
※前回は「えいえいおー」していませんでしたが、その後、ひかるさんたちとの触れ合いのなかで、ユニが新しい世界を見つけたことが表現されていました。
自分から限界を決めつける時
足踏み式のふいごにチャレンジしたものの、えれなさんとまどかさんは自分の力に限界を感じてギブアップしてしまいます。
まどかさんもそうですが、えれなさんはこれまで完璧超人ぶりをいかんなく発揮していたので、今回の「ギブアップ宣言」は珍しいといえば珍しい出来事でした。
さて、物語のなかでキャラクターが意外な側面を見せるときには、何らかの意図が含まれていることが多々あります。28話において、えれなさんんとまどかさんの二人が「ギブアップ」したことには、どういう意図があったのでしょうか?
逆に、このように問うこともできます。
今回この二人が「ギブアップしなければならなかった」のはなぜでしょうか? ララやひかるさんがふいごの足踏みをするのでは、なぜ駄目だったのでしょうか?
順を追って、考えていきましょう。
フレアのいう「熱いハート」は何を指す?
フレア「家族や友達はみな止めた。プラズマ星人が水の星になど行けるわけがない。消えてしまうぞ、とな。じゃが、わしには納得できんかった。プラズマ成人が水の星に行けないなどと誰が決めたんじゃ。そんなことは行ってみなきゃわからん。わしはひとり旅立った。そしてこれこのとおり、わしはここで生きておる。あのとき諦めとったら、ハートの炎が消えて、一生くすぶっとったじゃろうな」
プラズマ星人のフレアは「ハート」という言葉を使用しています。
しかし、フレアがここで何をいおうとしていたのかというと、「困難なことでも熱いハートで乗り切れ」というものではありません。
フレアは他者から決めつけられた「限界」を打ち破り、プルルン星にやってきました。フレアのいいたかったことは「限界を決めつけるな」ということだと分かります。
要するに、フレアのいう「熱いハート」とは、「限界を決めつけない心」を指しているのです。
なぜフレアのこうした過去話が挿入されたのかというと、それはまさしく「えれなさんとまどかさんの限界が決めつけられていた」からに他なりません。
二人の「限界」は、確かに決めつけられていました。
誰によって?
自分自身によって、です。
ふいごを踏むのがえれまどでならなかったワケ
まどか「そういえば、いつも元気なえれなが、もう限界なんていうのははじめて聞きました」
えれな「えっ? そんなことないよ。まどかのほうこそ、こんな弱音吐くなんて」
まどか「わたくしは、えれなほど強くありません」
えれな「強いよ」
まどか「えっ?」
えれな「まどかは生徒会長も弓道も習い事もちゃんとできてて、すっごく忙しいのに、辛いとかいわない。ほんとすごいよ」
まどか「えれなのほうが、お店のお手伝いや弟さんや妹さんのお世話をして、それなのにいつも笑顔で、わたくしには真似できません」
えれな「まどかのほうがすごいって」
まどか「いいえ、えれなのほうがすごいです」
会話を聞かなければまるで喧嘩をしているようにも見える二人でしたが、蓋を開けてみればひたすらに相手のことを褒めまくるというスーパー惚気タイムが繰り広げられていました。
この後、「パチッ」という場面転換のための効果音(薪が爆ぜる音)が鳴り、二人はふふっと笑い合います。
えれな「自分のことって、自分じゃよくわからないんだね」
まどか「そうですね」
えれな「わたしたち、自分で自分を決めつけてたのかも」
まどか「ええ」
ここではっきりと、「自分で自分を決めつけてたのかも」とえれなさんは口にします。つまるところ、えれなさんもまどかさんも自分自身のことを過小評価し、自分の限界を決めつけていたわけです。
言い方を変えれば、えれなさんとまどかさんは「自己理解」が出来ていないともいえます。
今回の話で二人がこのように取り上げられたのには、次の2つの理由があります。
①えれまどは「自己理解」が進んでいない
基本的にはハイスペックなえれなさんとまどかさんですが、この二人は家庭環境の影響もあって、「自分のやりたいこと」を見つけられていないキャラクターです。
まどかさんは父親の影響を良くも悪くも受けており、ピアノなどの数多くの習い事は自ら進んでやっているというよりは、ある種の義務としてやっているきらいがあります。また、自身の人生において大きな分岐点となるはずの「留学」ですら、「祖父も父も留学してたからそういうものだと…」と述べていました。(スタプリ26話)
えれなさんもまた、弟や妹の世話、家の手伝いに忙殺されていて、学校が終われば誰よりも早く家に帰るという生活を送っています。親から強制されているわけではないものの、えれなさん自身の「遠慮」によって、自分のやりたいことをできていない、見つけられていない状態だということが作中描写からうかがえます。(スタプリ26話)
さて、自分のやりたいことが分からないのは、端的にいえば「自分理解」が進んでいないからです。そしてこの二人は、自分のことを理解できていないために、自分の限界や能力を過小に評価していました。自分の限界を決めつけていたからこそ、一回目の足踏みはうまくいかなかったわけです。
ただ、正確な「自己理解」は出来ていない二人ですが、相手のことは誰よりも理解していました。その結果、えれなさんはまどかさんからの理解によって、まどかさんはえれなさんからの理解によって、自分自身を知り、「自己理解」を進めることができたのです。
※えれなさんのことを誰よりも見ているのはまどかさんであり、まどかさんのことを誰よりも見ているのはえれなさんであるということは、実際の作中描写を根拠に、これまでの考察でも触れてきました。
具体的にいうと、14話はまどかさんだけがえれなさんの異変に気付いていて最高でした。
②ユニやララではなぜダメだったのか?
主要キャラクターのなかで「自己理解」ができていないのは、別にえれまどの二人だけではありません。確固たる好きなものを自認しているひかるさんはともかくとして、ユニとララもまた「自己理解」ができているとは言い難いキャラクターです。
なぜかというと、ユニは「マオもブルーキャットもバケニャーンも本当の自分ではない」という発言がありましたし(スタプリ25話)、ララに関しては「家族はしっかり者だけど自分はそうじゃない」と自身を過小評価するような描写があったからです(スタプリ26話)。
ただし、ユニは少なくとも前回の27話で「どの姿も自分なんだ」という気付きを得ています。また、ララの「自己理解」については、次回以降のサマーン星編においての主要なテーマとなることが予想されます。
これが、ふいごを踏むのがララやユニではダメだったもうひとつの理由です。つまるところ、ララやユニでは前後の話で「ネタ被り」が起きてしまうのです。
※ララの抱えるコンプレックスの正体などについて考察しています。
他者から限界を決めつけられる時
カッパード「諦めるんだな、これがお前たちの限界なのだよ」
水もしたたるいい男、水を得たカッパたるカッパードさんはえれまどに向けて、「これがお前たちの限界なのだよ」と、二人の限界を決めつけます。
このときのカッパードさんの背後には、二つの影が見え隠れします。
ひとつめは、フレアの家族や友人たちです。
彼らはプラズマ星人がプルルン星になど行けるはずがないと決めつけていました。
戦いを見守るフレアは、プルルン星に行けるはずがないと決めつけをしていた、家族や友人のことを思い出していたでしょう。
ふたつめは、えれなさんとまどかさんです。
前述した通り、この二人は自分で自分の限界を決めつけていました。
さて、そんなカッパードさんに向かって、えれまどの二人は高らかに叫びます。
ソレイユ「諦めない!」
セレーネ「わたくしたちは諦めません」
ソレイユ「限界は、限界は超えるためにあるんだ!」
セレーネ「熱いハートがある限り、わたくしたちに限界などありません!」
表面的には「カッパードVSえれまど」の対決でしたが、えれまどの二人にとって、これは自分自身との戦いでもあったのです。
スタプリのココがすごい:頭脳戦
スタプリは敵との戦い方が面白くて、よくよく見ているととんでもない頭脳戦をしていることがあります。
今回のえれまどのコンビネーションプレイもまさにその一例でした。
まず、二人が一斉に攻撃のモーションに入ります。
注目すべきは、ソレイユが飛び蹴りをするのと同時に、セレーネも矢を放っているというところです。これがとても重要です。
次に、えれなさんが飛び蹴りを当てに行くんですが、カッパードさんは上方にジャンプすることで回避します。
ここまでは特に普通なんですが、続くカットで衝撃の事実が明らかになります。
なんと、セレーネの放った矢が、上方に回避したはずのカッパードさんに向かっていくではありませんか!
セレーネはカッパードさんの居るところを狙って矢を放ったわけではありません。
カッパードさんがソレイユの攻撃をジャンプで回避するのを予期して、最初からあえて上方を狙っていたのです。
強いていうならば、この戦法を取れば、万が一にもソレイユに矢が当たることもありません。ソレイユの安全を確保しつつ、避けたカッパードさんを仕留めに行くこの一撃は、熟練した戦士であっても容易にできるものではないでしょう。
惜しくもカッパードさんには防御されてしまいますが、咄嗟にこの戦法を取れるソレイユとセレーネの判断能力はさすがとしかいいようがありません。
※スタプリの戦い方で感動したのは13話です。このときもこのときで高度な頭脳戦と見事なコンビネーションが展開されていて、とても胸が熱くなりました。
ペンの受け渡しが一巡する時
ユニ「わたしがなんとかする。ミルキー!」
ララ「あっ……ルン!」
今回、ユニがララからペンをもらい受けたことにより、ユニはメンバー全員からペンをもらい受けることを達成しました。
ユニがララのペンを勝手に拝借したのは、スタプリ22話(七夕)です。
21話(惑星レインボー)ではひかるさん、23話(フワパニック)ではえれなさん、24話(アイスノー星)ではまどかさんからペンをもらい受け、25話(お祭り)ではララと本音で語り合いましたが、ララからペンをもらい受けたのは今回が初めてです。
これは、ペンの受け渡しが完全に一巡したことにより、ユニとメンバーとの絆が再確認されたシーンでした。
ところで、ユニから声をかけられたララは、一瞬驚くような声を上げています。その驚きにどのような思いがこもっていたのか、想像すると楽しいですね。
2度目にふいごの足踏みを成功させられた理由
フレア「熱いハートを忘れるなじゃけぇ」
カッパードさんを打ち倒したえれまどは、二度目のふいごの足踏みにチャレンジし、見事にクリアしました。
二人が成功できた要因をまとめると、次の2つです。
- フレアから「熱いハート」=「自分の限界を決めつけるな」ということを教えてもらった。
- えれまどの二人が対話したことにより、それぞれの自己理解が進み、「自分のことを過小評価していた」=「自分の限界を決めつけていた」ことに気付いた。
今回で二人の「自己理解」が完了したとはいえませんが、今後に向けた偉大な一歩であったことには間違いないでしょう。
この先、「自分が本当にやりたいこと」を探すとき、フレアさんから教えてもらった「熱いハート」、すなわち「自分の限界を決めつけていないか?」という自問が頭によぎるはずです。
今回の話は、一見すると「ド根性によって困難を乗り越える」話のようにも見えますが、このように考えていくと、物語のベースになっているのが「他者との対話と相互理解により価値観や考え方をアップデートする」ことだったと分かります。
そういう意味では、スタプリらしい話だったといえます。
※ところで、途中でひかるさんが「次は(足踏みを)わたしたちがやるよ」と心配して声をかけていましたが、最終的にえれまどが自分たちだけやり切りました。
みんながそれぞれの持ち味を活かしながら、協力し合ったり工夫し合ったりして物事をやり遂げるというのがスタプリの基本的な流れでしたが、今回、最後までえれまど二人でやり切ったのはなぜなのでしょうか?
足踏みをクリアできるかどうかというのは、実は「みんなの問題」ではなく、「えれなさんとまどかさんの固有の問題」でした。
すなわち、「えれなさんとまどかさんは自己理解を進められるか?」「自分の限界を決めつけない心を手に入れられるか?」というテーマが背後にあったためです。ここでひかるさんたちに代わったり、手伝ったりしてしまえば、背後のテーマが曖昧になってしまう恐れがあります。
そういうわけで、最後までえれまどの二人だけでやり切る形になったのだと考えられます。
※なお、今回は「熱いハート」=「限界を決めつけない心」によってカッパードさんを倒し、ロケットも無事に修理できたわけですが、今後、「そうはいっても熱いハートだけでは解決できない問題」にぶち当たったときのための前準備になっているような気もして、私はドキドキしています。
スタプリ28話の小ネタ
個人的に気になった小ネタをまとめてみました。
えれまど変身バンクの見せ方が良き
ところで、今回の変身バンク、良かったですね。
えれまどがメインの話だったので、二人が横並びになって変身していくのですが、同じバンクでも、切り取り方が変わるだけで随分と印象が変わりますね。
お礼するユニ
一同「ありがとうございました」
何の変哲もないシーンなんですけど、ひとつ、気付いてしまいました。
ユニがユニの姿で真摯に感謝の言葉を述べるのって、これが初めての描写ではないですか?(見落としがあったらすみません)
ペンを手に入れるためなら何だってやるのスタンスだったユニが、頭を下げて感謝しているところを見ると、なんだか親のような気持ちになるのは私だけでしょうか?
あと、ひかララだけ並んで立っているところにひかララを感じざるを得ません。
プルンス、溶ける
メンバーたちがフレアさんにお別れの挨拶をしている最中、少し離れたところでプルンスとヤンヤンは逢引しています。
ヤンヤンからキスをされたプルンスは無事、溶けます。
フワ「溶けたフワ…」
フワの何ともいえない顔…!
思わず笑ってしまいました。
いままで色々あったプルンスもやっと報われてよかったです。
でもマオにベタ惚れしているプルンスも好きなので、もし機会があったらまた見たいなと思ったり。
スタプリ28話の感想考察まとめ
- フレアのいう熱いハートは「限界を決めつけない心」を意味している
- 今回のメインがえれまどだったのは、二人とも「自己理解」が進んでいないキャラクターだったから
- えれまどの頭脳戦がすごかった
- ペンの受け渡しが一巡。ユニとみんなの絆が再確認されて良き
前回のスタプリ27話の感想考察です。アイワーンちゃんの憎しみに潜む愛と悲しみに、プリキュアの抱える矛盾と誤謬などついて、ひたすら熱く語っています。アイワーンちゃん大好き。
えれなさんの弱みとは何か、そんなえれなさんを救えるのは誰か、などについて考察した記事です。
えれなさんが何人のハーフなのかについて、公式の発表前に世界の英語ランキングやサッカーランキング、各都道府県の人口統計などを駆使して予想した記事です。
予想の結果? いや、まあ、それはその…(乾いた笑い)
それにしても、のろけにのろけていたえれまど、尊かったですね。
テレビに映ってないところで、まどかさんは髪を下ろしたえれなさんのことを褒めていたのかな~とか妄想してます。「あっ、もちろん普段のえれなもかわいいんですけど…!」みたいにイチャイチャしているところ、見たいです。
以上、スター☆トゥインクルプリキュア28話の感想考察でした。
長々と読んでいただき誠にありがとうございました。
※過去のスタプリの感想、考察記事については、このページのいちばん下にある「プリキュア考察」のボタンか(スマホ版)、いちばん上の「プリキュア感想考察」のボタン(PC版)から移動できます。