スタプリ35話、姫ノ城桜子さんが好きな私としてはただただ大満足な回でした。
この記事はスター☆トゥインクルプリキュア35話(前編)の感想考察をしたものです。35話のネタバレを含みますのでご注意下さい。
- 星奈ひかるは「夢中」ではない
- ユニとみんなとの距離感が近い
- 今週のひかララ
- ユニは猫の集会に参加する
- カルノリと星奈ひかるの類似点
- カルノリを軸として物語は動く
- なぜカッパードの武器はこれまで「イマイチ」だったのか?
- スタプリ35話の感想考察まとめ(前編)
星奈ひかるは「夢中」ではない
今回、まどかさんからの推薦により、生徒会長に立候補したひかるさんでしたが、もともと生徒会長になりたいという気持ちが強かったわけではありません。ひかるさんの胸中としては、大切な友達のまどかさん、そして他のメンバーから推されて、「じゃあやってみようかな」という程度のものでした。そこのことはひかるさんの漏らす言葉の端々からもうかがうことができます。
ひかる「選挙…? わたしはそこまでやらなくても…」
祖母・陽子「ひかるが立候補なんて、珍しいこと」
ひかる「なりゆきというか…」
ひかるさんが立候補したのは、正真正銘自分の意思に基づくものではありません。今回、ひかるさんの行動が「らしくない(まどかさんの真似をする)もの」であったのは、そのことも関係していたのでしょう。要するに、「自分がやりたい」と思って始めたことではなかったので、そもそも「自分がどうしたいか」ということが分からなかったのです。
ひかる「わたし、夢中なのかな」
これまでやりたい事に一直線だったひかるさんが、「自分は夢中なのかな」と考え直すシーン。星奈ひかるというキャラクターを表側からだけではなく裏側からも描いた今回の話は、ひかるもまた等身大の女の子であることが伝わってきて、とても良かったです。
ユニとみんなとの距離感が近い
話の主題には大きく関係していないことなんですが、今回のユニはそれまでのみんなとの距離感と比較すると明らかに近くなっていて、もうお腹いっぱいでした。
具体的に言うと、2つあります。1つ目はこれです。
ユニ「悩むなんてらしくないニャン」
「らしくない」という言葉は、その人のことを知っていなければ出てこない言葉です。言い方を変えると、「その人を知っていると思っていなければ」出てこない言葉であり、ひかるさんに対する信頼感の表れでもあります。この一言にはひかるへの想いが凝縮されていて、最高に素晴らしかったです。
2つ目はこちらです。
ユニ「ひかるがどうかしたの?」
えれな「ちょっと心配って話」
ユニ「ふーん。なんか慌ててララと走っていったニャン。学校がどうのって」
ついにこのときが来ました。
ユニが、ひかるのことを「ひかる」と、ララのことを「ララ」と呼んだのです。
これまでずっと、ユニはひかるたちのことを「あなた」「スター」というようにしか呼んでいなかったのですが、ここにきてようやく名前呼びをしている現場を見ることができました。私はもう感無量です。
ただ、ユニはひかるさんを前にして「ひかる」と呼んだことはありません。いざ目の前にしたら、やっぱり「あなた」という呼び方をするのかもしれません。その人のいないところで名前を口にするのと、その人を前にして名前を呼ぶことのあいだには、意外と大きな隔たりがあります。
ユニはその隔たりを超えることができるのでしょうか?
今度はひかるさんたちを目の前にして「ひかる」「ララ」と呼ぶ場面を期待しつつ、気長に待っていたいと思います。
今週のひかララ
今週のひかララは何と言ってもこれでしょう。
ひかる「もちろん、宇宙人の転校生もあり」
ララ「もういるルン」
ひかる「隠したりしないってこと」
尊すぎる……
触覚と指先をくっつける挨拶も尊いですが、指先同士をくっつけて微笑む二人も最高に尊くて、頭がどうにかなるかと思いました。ありがとうございます。ただただ感謝しかありません。
ひかララの変身バンクの尊さについて頭をバグらせながら書いた記事です。
ユニは猫の集会に参加する
ユニが猫の集会に参加しているのを見て、そのあまりのかわいさに気を失いそうになった方も少なくないと思います。
ユニは地球の猫たちを前にしたユニはとても熱心な様子で、正座をしながら彼らのことをじっと観察していました。一見するとほのぼのとした風景ですが、よく考えてみると、こんな風景を見られることがひとつの奇跡のようにも思えます。
というのも、惑星レインボーを失ったユニは、たった一人だけで数々の苦難を乗り越え、仲間を救うためにたくさんのものを犠牲にしながら生きていました。ユニにとって仲間といえるのはレインボー星人たちだけであり、他人との交流など一切不要だというのがユニのスタンスでもありました。
実際、地球に来たばかりのユニは、みんながララの誕生日パーティ&ひかる父・陽一のおかえりバーベキューをしているときも、屋根の上でひとり佇んでいました。
しかし、見てください、猫たちの集会に参加するユニの表情を。
この穏やかな微笑みを。
ユニは自らの意思で、異星人…いえ、「異星猫」との交流を楽しんでいるのです。
これは、ユニがひかるさんたちと数々の冒険をともにし、様々な交流を通していくなかで、少しずつ変化していっている証でもあります。
ほんの短いシーンでしたが、いろいろな想いが膨らむ素敵なシーンだったと思います。
※ちなみに、この場面でユニは正座をしています。
最初に見たときは、猫たちの座り方を真似ることで、猫たちに敬意を示しているのかとも考えましたが、よく思い出してみたら、レインボー星人のユニはもともと地べたに座るときは正座です。なので、「猫たちのやり方を真似ている」というよりは、どちらかというと「素の状態」だったと言えるかもしれません(スタプリ20話)
※ユニがみんなの輪に入ろうとしていなかった理由について考察しています。
カルノリと星奈ひかるの類似点
カルノリは初登場のスタプリ13話、ララの初登校回においても「異彩」ともいえる存在感を放っていましたが、今回はその活躍っぷりが顕著でした。
カルノリは、未知なる存在と遭遇としたとき、「変なの」「おかしい」「嫌だ」と身を引くのではなく、真っ先に「知りたい」「面白そう」だと考えて近づいていくタイプの人種です。それはララと初めて会ったスタプリ13話、ユニと初めて会ったスタプリ25話においても描写されていた通りです。
さて、今回は、みんなが姫ノ城さんの演説を聞いて微妙な反応をしているなか、カルノリだけが「おれは姫ノ城の方がいい」とはっきり言います。
カルノリ「あのさ、おれは姫ノ城の方がいい感じって思うんだよな」
ひかる「ええ?」
ララ「何でルン?」
カルノリ「あいつ、意外と面白いっしょ」
ひかる「まどかさんは、生徒会長を面白い面白くないでやってないよ」カルノリ「でもさ、どうして桜子の部屋をやりたいとか、お茶会やりたいとか、知りたくならねえ?」
カルノリの原動力は、「知りたい」という好奇心です。「面白そう」だと思える想像力です。カルノリはこの二つだけを持って、ララやユニ、そして姫ノ城さんとのあいだにあるはずの「見えない壁」を軽々と超えていきます。
ここまで考えたとき、カルノリって、誰かさんに似てないかな? と思うのです。
それは、星奈ひかるさんです。
ひかるさんも本当は他人のことを想像できる優しい心の持ち主なんですが、いかんせん自分のやろうとしていることを事前に説明するのが苦手で、周囲からは誤解されることの多かったキャラクターです。そのことは、主に出会ったばかりのララとのやり取りにおいて何度か描写されていた通りです。
ひかるさんは、本来であれば姫ノ城さんの「本当の想い」に気付けるポテンシャルを持っているキャラクターです。しかし、今回のひかるさんは選挙の対抗馬として出ることになり、慣れないことを懸命にやろうとしていたためにその余裕を失っていたわけで、それを思い出させてくれたのがカルノリであったと言えます。
カルノリを軸として物語は動く
ところで、カルノリはひかるさんの最初の演説を聞いたときにも、「おもしれ~」とひかるさんのことを賞賛していました。
生徒たち「き、きらやば? なんだそれ?」
カルノリ「ハハハ、おもしれ~!」(※1)
あのままひかるさんが自分のやりたいように突っ走っていたら、当選していたかはさておき、カルノリはひかるに投票してたかもしれないなと、そんな想像をしてしまいます。
ついでにもうひとつ。
カルノリは最後のひかるさんによる「応援演説」のシーンでもしっかり登場し、彼女のことを「おもしれ~」と褒めています。カルノリの脳裏には、「何でひかるは姫ノ城のことを応援しているんだろう?」「ちょっと前までは必死に選挙活動していたのに」「気になるな」「知りたいな」といった想いが爆発していたことでしょう。
物語の構成には「起承転結」というものがありますが、カルノリは「起」「承」「転」「結」のいずれのタイミングにも登場し、それぞれの場面でしっかり動いています。今回の物語はカルノリを軸としていたとも言えますし、影の主人公はカルノリであったと言っても過言ではないと思います。
※1 私たち視聴者はいわゆる神の視点で物語を俯瞰することができるため、姫ノ城さんが本当はとても学校想いのキャラクターなんだと理解できます。しかし、これが現実であれば、つまり個としての視点しか持ち合わせない状況であれば、姫ノ城さんの想いに気付くことが果たしてできたでしょうか? あの演説を聞くだけで、「面白い」「知りたい」と思うことができたでしょうか?
けっこう、難しいんじゃないかなと思います。
もちろん、演説の内容が独りよがりなものになってしまっていた姫ノ城さんにも責任がないわけではないので、そうした想像を膨らませることは一般的には難しく、それ自体が悪いわけではないと思います。しかし、その困難性を認識したうえで、カルノリというキャラクターを改めて見つめたとき、彼の、そして彼と同様の能力を持つ星奈ひかるさんの「特異性」がより際立つのではないでしょうか。
カルノリがひかるさんと似ているな~ということは13話の考察でも書いていました。
ひかララがこれまで描いてきた「軌跡」のまとめです。スタプリを何話か飛ばしてしまった方にも分かるように書いています。
なぜカッパードの武器はこれまで「イマイチ」だったのか?
カッパードさんはスタプリ13話でノリノリの武器を手にしていたものの、それ以降はずっとイマイチな武器で戦ってきました。しかし、今回ついにカッパードさんは「とっておきの歪んだイマジネーション」を見つけ、素晴らしい武器を手に入れます。
なぜカッパードさんがこれまでずっと不遇な目に遭ってきたのか、その理由がようやく発覚しました。今回、とっておきの歪んだイマジネーションを手にしたカッパードさんは、ひかるさんの発動した「謎の力」によって負けてしまいます。
この「謎の力」が発動したときにはスタープリンセスたちも大いに驚いていたカットが挿入されていたので、おそらくは「トゥインクルイマジネーション」に関するものだと予想されますが、その話はいったん横に置いておきます。
カッパードさんがこれまでイマイチな武器を強いられていたのは、端的にいうと、「今回の武器を強力なものとして位置づけたかったから」という脚本上の理由だと考えられます。まず、「今回のカッパードさんはひと味違うぞ」ということをテレビの前の子どもたちに見せつつ、実際に苦戦するプリキュアを描いて見せます。そのうえで、ひかるさんの出した「謎の力」が、カッパードさんのとっておきの武器に打ち勝つほど「強力な力」であることを印象付けようとしたのです。これまでずっと「イマイチな武器」を出していたのは、ギャップを大きく見せるためであったわけです。
※これまでのカッパードさんの武器の一覧をまとめています。
スタプリ35話の感想考察まとめ(前編)
- 星奈ひかるは「夢中」ではない
- ユニとみんなの距離が近くて尊い
- 今週のひかララも尊い
- カルノリとひかるは似ている
- 35話はカルノリを軸として動いていた
- カッパードの武器がこれまでイマイチだったのはギャップ作りのため説
「超重量級」でもあった、前回のスタプリ34話の感想考察です。「ミノタウロスの皿」にも触れつつ、34話のえげつなさについて考察しています。
トゥインクルイマジネーションっぽい謎の力が発動していましたが、スタープリンセスたちはそもそも完全な味方といえるのかな? と思って書いた考察です。
カルノリが出てくるとついヒヤヒヤしてしまうんですが、今回のカルノリはただただ賞賛したい気持ちでいっぱいです。カルノリ、とても魅力的なサブキャラだと思います。
35話の考察は姫ノ城さんについて書いてると少し長くなってしまったので、記事を前編後編で二分割しています。後編の記事では、大まかにいうと、
- 星奈ひかるから見た姫ノ城桜子
- 星奈ひかるの「知りたい」と姫ノ城桜子の「知りたい」
- ひかるはいつ姫ノ城の素敵なところを知ったのか?
- 観星中の銀河という最上級の賛辞について
- ひかるが姫ノ城に生徒会長を「譲らなかった」理由
などについて書く予定です。
→書きました
以上、スター☆トゥインクルプリキュア35話の感想考察(前編)でした。
※過去のスタプリの感想、考察記事については、このページのいちばん下にある「プリキュア考察」のボタンか(スマホ版)、いちばん上の「プリキュア感想考察」のボタン(PC版)から移動できます。